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平成二十六年十一月二十一日受領
答弁第七三号

  内閣衆質一八七第七三号
  平成二十六年十一月二十一日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員塩川鉄也君提出薬物依存症者の治療や社会復帰のための支援の充実・強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員塩川鉄也君提出薬物依存症者の治療や社会復帰のための支援の充実・強化に関する質問に対する答弁書



一及び四の前段について

 薬物依存症を含む依存症については、適切な治療と支援により回復が可能である一方、依存症の症状を有する者が必要な治療を受けられていないという現状があり、適切な治療を受けられるよう必要な環境を整備することが喫緊の課題となっている。政府としては、平成二十六年度から、薬物依存症を含む依存症の治療及び回復支援を目的として依存症治療拠点機関設置運営事業を新たに実施する等の取組を進めているところであり、引き続き、依存症対策を推進してまいりたい。

二について

 平成二十七年度概算要求において、薬物の使用による弊害を本人に気付いてもらうための認知行動療法を用いた治療・回復プログラムをより多くの精神保健福祉センターで実施するための予算を計上しているところであるが、当該事業は今後予算編成を経て実施するものであるため、お尋ねの実施状況等については現時点においてお答えすることは困難である。
 また、お尋ねの「それにとどまらない依存症という病気の側面を重視した新たな治療・回復支援策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、引き続き、依存症対策を推進してまいりたい。

三について

 お尋ねの危険ドラッグの取締りについては、平成二十六年七月に、政府として「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策」(平成二十六年七月十八日薬物乱用対策推進会議取りまとめ)を策定し、関係府省が連携を強化し、取組を進めてきたところである。御指摘の無承認の医薬品としての取締りについては、厚生労働省において、同年八月に、全国の地方公共団体に対して、取締りの手順及び判断基準を明確化した上で、取締りを行っている。また、「インターネット上の住所等の不正表示」については、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第十一条において通信販売における表示事項を義務付けているところ、危険ドラッグの通信販売サイトの運営業者に対して、同法第十四条第一項の規定に基づく行政処分を行ったところである。さらに、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第七十七条の規定に基づく指定薬物への迅速な指定や同法第七十六条の六の規定に基づく指定薬物である疑いのある物品としての検査命令等を平成二十六年八月に初めて発動する等、様々な角度から規制の強化を図っている。
 同年十一月十九日には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」(第百八十七回国会衆法第九号)が成立し、規制の更なる強化が図られたところであり、政府としては、同法の趣旨を踏まえ、実効性のある取締りを行ってまいりたい。

四の後段について

 依存症対策において、地域で本人や家族に対する相談支援を担う精神保健福祉センターの役割は重要であると考えており、薬物の使用による弊害を本人に気付いてもらうための認知行動療法を用いた治療・回復プログラムをより多くの精神保健福祉センターで実施する取組を行ってまいりたい。
 さらに、依存症治療拠点機関設置運営事業を実施するとともに、ダルク等の依存症回復施設における社会復帰支援の質の向上のため、施設の職員に対する研修を行い、依存症への対応力の強化を図っている。

五について

 依存症治療拠点機関設置運営事業については、平成二十六年十一月十七日現在、全国五か所の医療機関が依存症に関する専門的な相談支援等を試行的に実施する「依存症治療拠点機関」として指定されているとともに、全国一か所の医療機関が知見の集積、依存症の治療、回復プログラムの開発等を行う「全国拠点機関」として指定されており、平成二十七年度においても平成二十六年度と同額の概算要求をしているところである。
 また、平成二十六年度厚生労働科学研究費補助金による「様々な依存症の実態把握と回復プログラム策定・推進のための研究」において、より多くの医療機関において認知行動療法を用いた治療・回復プログラムの取組が行われるよう、医療従事者向けに研修を行っているところである。

六について

 御指摘の依存症回復施設職員研修等事業については、平成二十七年度概算要求において、薬物及びアルコールのそれぞれの特性を踏まえた研修を実施するための予算を計上している。

七について

 御指摘の「薬物依存症者の過量服薬の弊害」の意味するところが必ずしも明らかではないが、精神科医療において多種類の薬剤を処方することについては、多種類の向精神薬を処方した場合の診療報酬の減算措置、抗精神病薬及び睡眠薬の薬物ガイドラインの策定等の取組を行ってきたところである。今後も向精神薬の適切な処方を推進するための取組を行ってまいりたい。

八について

 依存症の症状を有する者の家族に対する支援としては、認知行動療法を用いた心理教育プログラムである「CRAFT」を精神保健福祉センターにおいて実施できるよう努めてまいりたい。

九について

 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律(平成二十四年法律第五十一号)附則第三条第二項の規定により、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について検討を加えようとするときは、障害者等及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとされている。政府としては、こうした関係者の意見や障害支援区分の認定状況等を踏まえつつ、支給決定の在り方について検討してまいりたい。

十について

 今回の生活扶助基準の見直しについては、社会保障審議会生活保護基準部会における検証結果を踏まえ、年間収入階級の第一・十分位の世帯の消費実態と現行の生活扶助基準の年齢、世帯人員及び居住地域別の較差を是正し、近年の物価の動向を生活扶助基準に反映させることにより、その適正化を図るものである。
 なお、今回の見直しに当たっては、生活保護受給世帯への影響を緩和する観点から、平成二十五年八月から三年程度かけて段階的に見直しを行うこととしている。

十一について

 お尋ねの生活保護を決定する支給決定機関については、「刑務所から自立準備ホームに入所した者」及び「自立準備ホームの六カ月が終了し、社会参加できず引き続き回復支援施設や医療機関に入る者」共に、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十九条第一項の規定により、その居住地又は現在地を所管する社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十四条に規定する福祉に関する事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が実施機関となる。
 また、お尋ねの障害支援区分の認定については、「刑務所から自立準備ホームに入所した者」及び「自立準備ホームの六カ月が終了し、社会参加できず引き続き回復支援施設や医療機関に入る者」共に、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号。以下「障害者総合支援法」という。)第十九条第二項及び第二十一条第一項の規定により、その居住地又は現在地の市町村が行うこととされている。

十二について

 依存症回復施設に対する支援としては、引き続き、依存症回復施設の職員に対して、依存症に関する医学的知識や関係機関との連携に関する研修を行うこと等により、依存症への対応力の強化を図ってまいりたい。

十三について

 お尋ねの「自立準備ホーム制度の支援期間」及び「自立準備ホーム制度の期間」の意味するところが必ずしも明らかではないが、保護観察の対象者については、更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第六十二条の規定により、保護観察所の長が、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して宿泊場所の供与等を行うことができるとされ、その委託の期間は、保護観察の期間の範囲内とされている。また、更生緊急保護の対象者については、更生保護法第八十五条の規定により、保護観察所の長が、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して宿泊場所の供与等を行うことができるとされ、その委託の期間は、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後最長で十二月を超えない範囲内とされている。いずれの対象者についても、個別の事案における委託の期間は、保護観察所の長が必要性及び相当性に照らして判断するものと考えている。
 また、お尋ねの「受け皿となる施設の入所期間」の意味するところが必ずしも明らかではないが、刑法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第四十九号)等の施行後についても、個別の事案における委託の期間は、保護観察所の長が必要性及び相当性に照らして判断するものと考えている。

十四について

 お尋ねの「自立準備ホーム制度では、医療を受ける指導がおこなわれている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自立準備ホームに入所している者が入所期間中に医療を受けるか否かについては、その者の自発的意思に基づくべきものであり、保護観察所の長が自立準備ホームを運営する事業者に対して委託する措置の内容には医療の受診は含まれておらず、国が自立準備ホームを運営する事業者に対して支弁する更生保護委託費の中に医療費に相当する経費は含まれていない。なお、当該入所者が障害者総合支援法に規定する自立支援医療費の支給対象者に該当する場合には、自立支援医療費の支給を受けることができる。また、当該入所者が生活保護受給者であって医療の必要性が認められる場合には、生活保護法に規定する医療扶助の給付を受けることができる。
 また、お尋ねの「改正「刑法」施行後の受け皿となる施設」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医療を受けようとする者が障害者総合支援法に規定する自立支援医療費の支給対象者に該当する場合には、自立支援医療費の支給を受けることができる。

十五について

 お尋ねの「高齢や精神障害と薬物依存症との重複障害を持っている出所者」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。なお、保護観察所においては、おおむね六十五歳以上であり精神障害があると認められることなどの要件を満たす受刑者については、出所後に福祉サービスを円滑に受けられるようにするため、特別の手続による生活環境の調整を行っており、これらの者が当該調整の結果、社会福祉施設等に入所するなどした場合には、当該社会福祉施設等において障害等の特性に応じた処遇が行われているものと承知している。

十六について

 御指摘のとおり、薬物依存離脱指導については、薬物に対する依存がある受刑者であれば、薬物事犯者ではなくとも受講の対象としている。罪名別の薬物依存離脱指導プログラムの受講者数は把握していないが、平成二十五年度に同プログラムの受講を開始した受刑者の人員は六千七百四十一人である。

十七について

 刑事施設においては、被収容者に対し、適正な処方薬の投与を始めとした適切な医療上の措置を講じているところであり、薬物依存についての知識を有する医師の配置も含め、社会一般の医療水準に照らし適切な医療上の措置を講ずることができるよう、今後とも配意してまいりたい。
 また、現在でも、刑事施設は、必要に応じ、釈放時に身元引受人等に対して、刑事施設内で処方した薬剤の情報も含め、釈放者の診療情報を提供しているところであり、今後も、その適切な実施に努めてまいりたい。

十八について

 平成二十七年度における保護観察官の増員の見込みは、現時点では不明である。



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