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平成三十一年二月八日受領
答弁第一〇号

  内閣衆質一九八第一〇号
  平成三十一年二月八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出外国人技能実習生に対する妊娠禁止規定は民法違反とした判決があること等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出外国人技能実習生に対する妊娠禁止規定は民法違反とした判決があること等に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 法務省入国管理局が策定する「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(以下「指針」という。)については、平成二十五年十二月に改訂を行っているところ、その際に、御指摘の「十三年判決」の内容を担当部局で共有の上、当該判決に係る事例の存在をも踏まえ、技能実習生がその意に反して強制的に帰国させられることのないよう、改訂後の指針において、「外国人の技能実習に係る不正行為」のうち「監理団体において、技能実習の継続が不可能となる事由が生じた場合の地方入国管理局への報告を怠る行為」(出入国管理及び難民認定法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成二十九年法務省令第十九号)第三条の規定による改正前の出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)の表の法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号ロに掲げる活動の項第十六号の表ルに掲げる行為をいう。以下「報告不履行」という。)の具体的内容として、「監理団体において、・・・技能実習生が実習期間を満了せずに途中帰国をするときに、地方入国管理局に対して報告しなかった場合等」と明記した上、監理団体が報告不履行を行った場合には、新たな外国人技能実習生の受入れができないこととなり得る旨を示したところである。また、厚生労働省においては、労働政策に関する情報収集は必要な範囲で行っており、指針の改訂に当たり、法務省と厚生労働省との間で協議を行ったところである。
 その上で、改訂後の指針は、法務省のホームページにおいて公表し、御指摘の「海外の送出機関、国内の技能実習実施者や監理団体」に対する周知徹底を図ったところである。

三について

 御指摘の「この事例」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、例えば、送出機関(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二十三条第二項第六号に規定する外国の送出機関をいう。以下同じ。)であって、相手国(我が国が二国間の技能実習制度に関する協力覚書(以下「覚書」という。)を作成した国をいう。以下同じ。)政府が覚書に規定する送出機関の認定基準を満たすものとして認定したもの(以下「認定送出機関」という。)又はその役員が、過去五年以内に、技能実習生の人権を侵害する行為を行ったおそれのある事例を把握した場合には、相手国政府に対し、当該認定送出機関が送出機関の認定基準に適合しない行為を行った可能性がある旨を通報し、これを受けた相手国政府が、調査等を行った結果、当該認定送出機関を相手国の認定送出機関のリストから除外したときは、当該認定送出機関は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成二十八年法務省・厚生労働省令第三号。以下「省令」という。)第二十五条に規定する送出機関の要件を満たさなくなるため、外国人技能実習機構において、当該認定送出機関から技能実習の申込みの取次ぎを受けていた実習実施者(法第二条第六項に規定する実習実施者をいう。以下同じ。)及び監理団体(同条第十項に規定する監理団体をいう。以下同じ。)に対し、当該認定送出機関からの取次ぎを受けないよう、指導等を行うこととなる。

四について

 現時点では、御指摘のような調査を行う予定はないが、相手国政府との定期的な情報交換の場及び相手国における送出機関への説明会を通じて、過去五年以内に、送出機関又はその役員が技能実習生の人権を侵害する行為を行った場合には、省令第二十五条第八号ハの規定及び覚書に基づく送出機関の要件を満たさないことについて、相手国政府及び送出機関への周知を図ってきているところであり、今後は、外国人技能実習機構に対して、技能実習生の私生活の自由を不当に制限することの禁止を規定している法第四十八条第二項の内容と併せて、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等を規定している雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号。以下「均等法」という。)第九条の内容を、実習実施者及び監理団体に対して周知するよう求めてまいりたい。
 また、政府として、引き続き、法第十四条第一項の規定により外国人技能実習機構に行わせる同項各号に掲げる事務、法第四十九条第一項の規定による技能実習生からの申告及び法第五十条第二項の規定による技能実習生からの相談により、不適切な事例の把握及びその適切な対応に努めてまいりたい。

五及び七について

 お尋ねの「学習機会」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、実習実施者が技能実習を行わせる事業所ごとに選任することとされている技能実習の実施に関する責任者、監理団体が監理事業を行う事業所ごとに選任することとされている監理責任者等については、いずれも、省令第十三条、第五十三条第二項等の規定に基づき、少なくとも三年ごとに、法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める講習を修了しなければならないこととされており、当該講習において、均等法や労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)を含めた労働関係法令に関する科目を受講することとされている。
 また、送出機関については、今後、相手国政府との定期的な情報交換の場において、相手国政府に対し、均等法第九条その他の必要な法令の内容について、送出機関への周知を図るよう求めてまいりたい。

六について

 お尋ねの「この指摘を受け・・・日本社会全体にどのようなメッセージを送るべき」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

八について

 お尋ねの「学習する機会」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、法務省においては、定期的に、入国管理局の職員を対象として均等法を含む女性の人権に関する研修を実施しており、厚生労働省においては、定期的に、担当部局の職員及び都道府県労働局の職員を対象とする研修において、均等法の規定等の重要性について周知啓発を行っている。

九について

 御指摘の「次のアからエのような相談」については、外国人技能実習機構において、技能実習生の個別の事情や希望を聴取した上で、技能実習生に対して必要な助言を行ったものと承知している。

十について

 法務省では、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(平成三十年十二月二十五日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議了承。以下「総合的対応策」という。)の策定に当たり、御指摘の「このような相談」があったことは認識していなかったものの、平成三十年九月十三日に同省に設置した「「国民の声」を聴く会議」において、技能実習生を含む外国人からヒアリングを行うなどし、技能実習生が抱える問題について理解を深めた上で、総合的対応策の検討を行ったところである。

十一について

 お尋ねの「送還された」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十二について

 御指摘の「同様に」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、均等法第九条の規定のほか、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置を規定している均等法第十二条の規定、産前及び産後休業を規定している労働基準法第六十五条の規定等については、技能実習生が妊娠、出産等をした場合も対象とするものである。

十三について

 監理団体が、労働基準法第六十五条を含め、法第三十七条第一項第五号に規定する「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき」に該当する場合には、同項の規定に基づき、法務大臣及び厚生労働大臣は、監理許可(法第二条第十項に規定する監理許可をいう。)を取り消すことができることとされている。

十四について

 お尋ねの「十三年判決が示す教訓」の具体的に意味するところが明らかではないが、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成三十年法律第百二号。以下「改正法」という。)による改正後の出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条の五第三項においては、「特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関」は、「法務省令で定める基準に適合するものでなければならない」とされ、当該基準については、同条第四項において「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしていないことを含むものとする」とされているところであり、改正法の施行に当たっては、適切な運用がなされるよう、当該基準の遵守について、関係する公私の機関に周知してまいりたい。



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