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答弁本文情報

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令和二年六月十九日受領
答弁第二四六号

  内閣衆質二〇一第二四六号
  令和二年六月十九日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出新型コロナウイルス感染症と労災および公務災害に関する再質問に対する答弁書


一の1及び2について

 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付(以下「労災保険給付」という。)は、同法に基づく補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者の同法に基づく請求(以下「労災請求」という。)に基づいて行うものであり、労災請求については、請求に要する期間並びに当該請求の調査及び審査に要する期間として一定の時間を要するものである。なお、御指摘の「千十三人」には、地方公共団体が開設する医療機関の医療従事者等同法に基づく補償の対象でない者も含まれているものと考える。
 医療従事者の新型コロナウイルス感染症に係る労災請求については、厚生労働省において、令和二年五月十四日付けで、公益社団法人日本医師会等医療関係団体宛てに医療従事者の労災請求の勧奨や請求手続における協力等に係る要請を行ったところであり、また、都道府県労働局においては、集団感染が発生した医療機関を把握した場合、当該医療機関に対して、同旨の要請を行っているところである。
 さらに、医療従事者以外の新型コロナウイルス感染症に係る労災請求についても、同省において、同日付けで、労使団体宛てに労働者災害補償保険法施行規則(昭和三十年労働省令第二十二号)第二十三条の規定の内容を含め、労災請求の勧奨等に係る要請を行っているところであり、引き続き、新型コロナウイルス感染症に係る労災請求の勧奨に努めてまいりたい。

一の3について

 令和二年六月十五日時点で、厚生労働省が把握していた社会福祉施設等において発生した新型コロナウイルス感染症の集団感染の事例は、六十一件であり、これらの事例について、同日時点で、労働基準監督署長が労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十七条の規定に基づく労働者死傷病報告(以下単に「労働者死傷病報告」という。)を受理した事例は七件、報告件数の合計は十八件であり、労災請求があった事例は七件、請求件数の合計は十五件である。

一の4の(1)について

 御指摘の「八十五件」については、令和二年五月十日時点で、厚生労働省が把握していた集団感染の事例のうち、医療機関において発生した事例の件数であり、このうち、同年六月一日時点で、労働者死傷病報告を受理した医療機関の数が十三件であり、労災請求があった医療機関の数が十一件である。

一の4の(2)について

 お尋ねの「死傷病報告の提出数が少ない原因」については、集団感染が発生した事業場において労働者死傷病報告の提出に至っていない理由は個々の事業場の状況によって様々であると考えられることから、一概にお答えすることは困難である。

一の5について

 新型コロナウイルス感染症にかかった者に係る労働者死傷病報告については、都道府県労働局及び労働基準監督署において、事業者に対して提出の勧奨に努めているところであるが、労働安全衛生規則第九十七条の違反が認められた場合には、事業者に対して、その是正の指導等を行うこととしている。

一の6について

 労災認定を行った事例に関する情報を公表することについては、個人情報保護の観点にも配慮しつつ、検討しているところであり、現時点で検討の期限をお示しすることは困難である。

一の7について

 御指摘の「今回該当するあらゆる労働者」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務に従事する者(以下「医療従事者等」という。)については、新型コロナウイルス感染症にかかった場合、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象としているところである。また、医療従事者等以外の労働者については、医療従事者等と異なり、医学的知見により業務と疾病との因果関係が確立されておらず、医療従事者等と同様の取扱いとしていない。

二の1について

 お尋ねの厚生労働省の職員については、令和二年六月十五日時点で、同省の補償事務主任者が調査中であり、公務上の災害と認められる場合には、人事院規則一六−〇(職員の災害補償)(以下「規則」という。)第二十条の規定に基づき、速やかに実施機関に報告を行うこととなる。また、お尋ねの海上自衛官については、特別職の国家公務員であり、防衛省の職員(一般職に属する職員を除く。以下「防衛省職員」という。)の公務上の災害に対する補償については、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)は適用されず、同条の規定に基づく報告は行われない。
 その上で、防衛省職員の公務上の災害に対する補償については、防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十七条第一項において国家公務員災害補償法の規定を準用するものとされており、防衛省職員の災害補償に関する政令(昭和四十一年政令第三百十二号)第一条の規定によりその例によるものとされる規則第二十条の規定による報告は、同月十日時点で、一件である。

二の2及び3について

 お尋ねの「「均衡」を損なう事実」の意味するところが必ずしも明らかではないが、補償事務主任者は、規則第二十条の規定に基づき、負傷し、若しくは疾病にかかった職員又は死亡した職員の遺族からその災害が公務上のもの又は通勤によるものである旨の申出があった場合は、速やかに実施機関に報告しなければならないとされ、実施機関は、この報告を受けたときは、規則第二十二条第一項の規定に基づき、その災害が公務上のものであるかどうか又は通勤によるものであるかどうかの認定を速やかに行わなければならないとされているところである。新型コロナウイルス感染症について、人事院においては、これまでも、実施機関に対して、規則第二十条の規定に基づく報告及び同項の規定に基づく公務上の災害であるかどうか又は通勤による災害であるかどうかの認定を速やかに行うよう指導しており、また、国家公務員災害補償法に基づく公務上の災害の認定状況については、毎年度、規則別表第一の各号に掲げる疾病ごとの認定件数を取りまとめ、公表しているところである。

三について

 地方公務員災害補償基金(以下「基金」という。)が行う補償は、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二十五条第二項の規定に基づき、補償を受けるべき職員若しくは遺族又は葬祭を行う者の請求に基づいて行うこととされており、請求件数の多寡について評価を行うことは困難であるが、総務省においては、令和二年三月二十六日付けで、各地方公共団体宛てに通知を発出し、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害及び通勤による災害に係る補償について職員に周知するよう依頼するとともに、基金においては、同年五月一日付けで、基金の主たる事務所から従たる事務所宛てに、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害の認定における取扱いについて通知を発出し、請求に係る相談があった場合には、公務上の災害の認定における具体的な取扱いを懇切丁寧に説明すること等としたところである。
 また、新型コロナウイルス感染症による公務上の災害及び通勤による災害に係る補償の請求及び認定の件数については、現在、基金のホームページで公表しているところであり、認定を行った事例に関する情報を公表することについては、個人情報保護の観点にも配慮しつつ、基金において適切に対応されるものと考えている。

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