答弁本文情報
令和三年三月五日受領答弁第五四号
内閣衆質二〇四第五四号
令和三年三月五日
内閣総理大臣 菅 義偉
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員江田憲司君提出普天間飛行場の返還及びその辺野古移設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出普天間飛行場の返還及びその辺野古移設に関する質問に対する答弁書
一から三までについて
戦後七十五年以上を経て、なお在日米軍の施設及び区域が沖縄県内に集中している現状は沖縄の大きな負担となっているものであり、このような現状は是認できるものではなく、その負担の軽減を図ることは政府の大きな責任である。
引き続き、沖縄県民の皆様の理解と協力を得ながら、また、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いつつ、政府としてできることは全て行うとの姿勢で沖縄の負担軽減に全力で取り組んでいく考えである。
四について
平成二十七年四月五日、翁長雄志沖縄県知事(当時)と菅内閣官房長官(当時)とが、沖縄ハーバービューホテルにおいて会談を行ったところであるが、お尋ねのような事実は承知していない。
五について
御指摘の沖縄振興交付金及び沖縄振興特定事業推進費を含む沖縄振興予算については、沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)第一条の規定の趣旨も踏まえ、沖縄振興を推進するために必要な額を計上したものであり、また、御指摘の再編関連特別地域支援事業補助金及び再編交付金についても、それぞれの制度の趣旨を踏まえ、適切に交付したものである。このため、御指摘のような批判は当たらないと考えている。
六及び七について
日米間のやり取りの詳細について明らかにすることは、米国との関係もあり、差し控えたいが、同国に対し、沖縄の負担軽減に関する我が国の立場や取組について説明する中で、沖縄県民の皆様の思いをしっかり伝えてきている。
また、普天間飛行場の移設については、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを、累次にわたり日米間で確認している。
八について
沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にある。こうした地理上の利点を有する沖縄に、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると考えている。
政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するためには、同飛行場の辺野古への移設を着実に進めることが必要であると考えている。
九の1について
第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転については、平成二十五年十月三日付けの日米安全保障協議委員会共同発表において、二千二十年代前半に開始されることを確認しており、日米両政府は、引き続き緊密に協力しながら、当該移転に向けた施設整備等の取組を着実に進めているところである。
九の2について
平成十八年五月一日の日米安全保障協議委員会の際に発表された「再編の実施のための日米ロードマップ」においては、「移転する部隊は、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第一海兵航空団司令部及び第十二海兵連隊司令部を含む」こととされていたところ、その後、必要な調整がなされた結果、平成二十四年四月二十七日の日米安全保障協議委員会共同発表においては、「沖縄に残留する米海兵隊の兵力は、第三海兵機動展開部隊司令部、第一海兵航空団司令部、第三海兵後方支援群司令部、第三十一海兵機動展開隊及び海兵隊太平洋基地の基地維持要員の他、必要な航空、陸上及び支援部隊から構成されることとなる」とされた。
さらに、政府としては、平成二十五年十月、沖縄からグアムへ移転する在沖縄米海兵隊の主な部隊は、「第三海兵機動展開旅団司令部、第四海兵連隊、第四戦闘後方支援部隊等」である旨を公表したところであるが、移転する部隊の詳細な計画については現時点で決定されていない。
九の3について
在沖縄米海兵隊の定員は平成二十四年四月時点で約一万九千人であったと承知しているところ、これを前提とすれば、政府としては、このうちの約九千人が日本国外に移転することにより、移転後の定員は約一万人となるものと認識している。
十について
政府としては、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であると考えており、同飛行場の一日も早い移設・返還の実現に向け、引き続き、普天間飛行場代替施設建設事業を適切に進めていく考えである。