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答弁本文情報

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令和三年三月十九日受領
答弁第六八号

  内閣衆質二〇四第六八号
  令和三年三月十九日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出食品香料ジアセチルによる呼吸器疾患の労災認定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出食品香料ジアセチルによる呼吸器疾患の労災認定に関する質問に対する答弁書


一及び二について

 お尋ねは個別の事業場に対する指導内容に関するものと考えられるところ、これを公にすることにより、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)又はこれに基づく命令を遵守させるための監督指導等の事務の性質上当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えは差し控える。

三について

 お尋ねの「労働者数」については把握していないが、「製造事業者数」及び「製造量」に関しては、平成二十八年度厚生労働科学研究費補助金食品の安全確保推進研究事業により、日本香料工業会が平成二十九年三月に取りまとめた「香料使用量に関わる調査研究」によれば、平成二十七年に国内で食品香料の製造に二・三−ブタンジオン(別名ジアセチル)(以下「二・三−ブタンジオン」という。)を使用した会社数は三十五社であり、二・三−ブタンジオンの使用量は二千三百七十九・五八キログラムであると承知している。

四及び五について

 御指摘の「労災認定事例」は現時点では個別の事業場における事案と承知しており、お尋ねの「注意喚起」を実施する必要がある状況にはないと認識している。お尋ねの「ばく露の低減対策の指導、労働者及び退職者について健康調査を実施する」ことについては、二・三−ブタンジオンについて、労働安全衛生法第五十七条の三第一項の規定に基づく危険性又は有害性等の調査及び労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第三十四条の二の八の規定に基づく当該調査の結果等の労働者への周知が事業者に義務付けられているほか、同法第五十七条の三第二項の規定に基づき、事業者は、同条第一項の規定に基づく調査の結果に基づいて、同法又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされていることから、これらについて引き続きその周知を図ることにより対応してまいりたい。
 また、労働基準監督署において、これらの規定に基づき二・三−ブタンジオンが適切に取り扱われているかどうかを必要に応じて確認し、法令違反がある場合には事業場に対して必要な監督指導等を行うこととしている。

六について

 御指摘の「認定事例」に関しては、現時点において二・三−ブタンジオンにさらされる業務と疾病との因果関係が必ずしも確立されておらず、お尋ねの厚生労働省ホームページの「職場のあんぜんサイト」において公開している二・三−ブタンジオンに係る「安全データシート」において「特定標的臓器毒性(反復ばく露)」の「根拠データ」として追加することは適当ではないと考えている。なお、「安全データシート」については、今後も必要に応じて改訂を検討してまいりたい。

七について

 御指摘の「三・三’−ジクロロ−四・四’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)による健康障害の防止対策について」(平成二十八年九月二十一日付け基安発〇九二一第一号厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)については、化成品等の製造事業場で複数の労働者及び退職者に三・三’−ジクロロ−四・四’−ジアミノジフェニルメタンによる健康障害が発生したことが判明したこと、また、当該化学物質を取り扱う業務に従事する労働者に係る特殊健康診断の項目に膀胱がんに関する項目が含まれていなかったこと等から発出したものであり、二・三−ブタンジオンについて対応する必要が生じた場合には、同様の対策を講ずることを検討してまいりたい。
 また、御指摘の「ジアセチルによる閉塞性肺疾患」については、現時点において二・三−ブタンジオンにさらされる業務と疾病との因果関係が必ずしも確立されていないため、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付の支給の決定又は不支給の決定(以下「労災認定」という。)に係る基準を示すことは現時点では考えていない。

八について

 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)別表第一の二に具体的に規定されている疾病は、医学的知見により業務と疾病との因果関係が確立されているものであるが、御指摘の「ジアセチルを起因とする疾病」については、現時点において二・三−ブタンジオンにさらされる業務と疾病との因果関係が必ずしも確立されていないため、同令に規定することは現時点では考えていない。
 また、業務と疾病との因果関係が必ずしも確立されていない疾病に係る労災認定に当たっては、個別の事案に応じて、業務と疾病との因果関係を慎重かつ適切に判断する必要があるため、十分な調査を必要とするところであるが、今後とも迅速かつ適正な処理に努めてまいりたい。

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