答弁本文情報
令和三年三月二十三日受領答弁第七三号
内閣衆質二〇四第七三号
令和三年三月二十三日
内閣総理大臣 菅 義偉
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員屋良朝博君提出沖縄振興特定事業推進費等に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出沖縄振興特定事業推進費等に関する第三回質問に対する答弁書
一について
沖縄振興特定事業推進費(沖縄振興特定事業推進費市町村補助金及び沖縄振興特定事業推進費民間補助金をいう。以下同じ。)は、沖縄振興特別推進交付金を補完し、内閣府が沖縄県内の市町村等(以下「市町村等」という。)と直接、速やかな調整を図ることを通じて、市町村等の意向を踏まえ政策課題に迅速かつ柔軟に対応するための事業に要する経費の一部を補助するものであり、これを活用することで、市町村等に対し、より的確かつ効果的な支援を図ることを目的として創設したものである。また、補助対象事業等の事業期間が複数年度にわたる場合においても、沖縄振興特定事業推進費で継続的に対応することによって、交付先の市町村等において、予見可能性をもって事業を実施することが可能になると考えている。
二について
先の答弁書(令和三年三月五日内閣衆質二〇四第五二号。以下「第二回答弁書」という。)二及び四の後段についてで述べたように、沖縄振興特定事業推進費については、内閣府が市町村等と直接、調整を図ることとしているところ、御指摘の「県を通じた場合」は想定されておらず、当該場合において要する期間を具体的に明らかにすることはできないことから、お尋ねの「迅速化できた具体的な期間」についてお答えすることは困難であるが、一般論として、「県を通じた場合」においては、沖縄県における処理期間が新たに必要になることから、同府が市町村等と直接、調整を図ることによって、当該場合よりも一定程度迅速に対応できるものと考えている。
三について
第二回答弁書三についてで述べた「令和元年度における沖縄振興特定事業推進費の執行実績」とは、沖縄振興特定事業推進費について、令和元年度の当初予算額の大部分を交付決定していた実績を指すものであるところ、これを勘案して令和二年度における新規事業に要する経費の所要額を積算したものであって、「予算額を増額する根拠にはなりえない」との御指摘は当たらないものと考えている。
四について
市町村等に対する沖縄振興特定事業推進費の交付決定額については、年度途中に生じた政策課題の有無や、当該政策課題への市町村等の対応方針に応じて変わるものであることから、御指摘の「割合」が市町村等によって異なることに問題はないものと考えている。
五について
沖縄振興特定事業推進費について、令和元年度における@繰越額(翌年度繰越額をいう。)及びA繰越しの理由を事業ごとにお示しすると、それぞれ次のとおりである。
沖縄アリーナ整備事業 @約二十一億六千二百万円 A台風の影響によって資材搬入が停滞したこと等による工事の遅延
「おきなわの歴史・文化体験」関連施設整備事業(現代版組踊の体験・発信拠点) @約三億三千二百万円 A擁壁の構造、形状等の検討に時間を要したことによる工事の遅延
沖縄の食の魅力発信拠点整備事業 @約二億六千百万円 A入札不調等による工事の遅延
「おきなわの歴史・文化体験」関連施設整備事業(エイサーの体験・発信拠点) @約七千三百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる工事の遅延
「古琉球」関連施設整備事業(浦添城跡・伊祖城跡周辺地域) @約二千三百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる設計及び工事の遅延
「古琉球・近世琉球」周遊促進事業 @約千九百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる周遊ルートの設定等の遅延
「おきなわの歴史・文化体験」周遊促進事業 @約千五百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる周遊ルートの設定等の遅延
「古琉球」関連施設整備事業(染物・織物の体験・発信拠点) @約七百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる用地取得の遅延
「古琉球」関連施設整備事業(首里城公園周辺地域) @約七百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる設計の遅延
「やんばるの歴史・文化」関連施設整備事業(名護漁港水産物直売所周辺地域) @六百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる設計の遅延
「近世琉球」関連施設整備事業(首里城公園周辺地域) @約五百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる設計の遅延
「やんばるの歴史・文化・自然」周遊促進事業 @約五百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる周遊ルートの設定等の遅延
「やんばるの歴史・文化」関連施設整備事業(今帰仁城跡周辺地域) @約四百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる工事の遅延
「やんばるの自然」関連施設整備事業(やんばる学びの森周辺地域) @約四百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる設計及び工事の遅延
「やんばるの自然」関連施設整備事業(ネオパークオキナワ周辺地域) @約四百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる設計及び工事の遅延
「やんばるの自然」関連施設整備事業(真栄田岬・ナビービーチ周辺地域) @約二百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる工事の遅延
「やんばるの歴史・文化」関連施設整備事業(伊江島蒸留所周辺地域) @約百万円 A関係機関との調整に時間を要したことによる工事の遅延
六について
沖縄アリーナについては、住民の健康増進や交流の拠点として、地域の活性化に大きく寄与するものと考えており、その工事について、総事業費は約百六十九億千八百万円、沖縄振興特定事業推進費の令和三年三月十七日までの累計の交付決定額(以下「沖縄振興特定事業推進費の交付決定額」という。)は約三十三億二千二百万円、総事業費に占める沖縄振興特定事業推進費の交付決定額の割合は約十九・六パーセント、沖縄振興特定事業推進費を除く補助金等の同日までの累計の交付決定額(以下「他の補助金等の交付決定額」という。)は約百九億四百万円、総事業費に占める他の補助金等の交付決定額の割合は約六十四・五パーセントである。
また、他の補助金等の交付決定額については、その全てが再編推進事業補助金に係るものである。
お尋ねの「沖縄県内企業の受注額及び県外企業の受注額」については、政府においては把握しておらず、かつ、調査に膨大な作業を要することから、お答えすることは困難である。
七について
沖縄振興特定事業推進費については、第二回答弁書七についてでお答えした平成三十年度の事例において、臨機応変な財源の捻出が困難であったこと等を参考にしつつ、令和元年度予算において創設されたものであることから、当該事例において沖縄振興特定事業推進費の交付決定は行っておらず、また、このような経緯に照らせば、「沖縄振興特定事業推進費に関する質問に対する答弁としては適切ではない」との御指摘は当たらないものと考えている。
当該事例については、内閣府における既存の事業によって、可能な範囲内で地元自治体の支援に努めたところである。