答弁本文情報
令和三年四月三十日受領答弁第一〇四号
内閣衆質二〇四第一〇四号
令和三年四月三十日
内閣総理大臣 菅 義偉
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員丸山穂高君提出公益通報制度の課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員丸山穂高君提出公益通報制度の課題に関する質問に対する答弁書
一の1について
国の行政機関においては、「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)を作成し、公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号。以下「法」という。)第二条第二項に規定する公益通報者に該当しない者についても、事業者の法令遵守を確保する上で必要と認められる者からの通報を受け付けること、通報者の同意を得ずにその特定につながり得る情報を当該事業者に開示しないこと等により、通報者の保護を図るとともに、事業者の法令遵守を推進することとしている。
また、消費者庁においては、「公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成二十九年七月三十一日消費者庁)を作成し、地方公共団体に対し、国の行政機関と同様の取組を促している。
一の2の前段について
公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和二年法律第五十一号。以下「改正法」という。)による改正後の法(以下「新法」という。)第十一条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置については、常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者の実態を踏まえて努力義務とされているものであり、まずは、改正法の施行後において、当該措置の実施状況を十分に把握し、改正の効果を見極めることが必要と考えている。
一の2の後段及び3の前段について
お尋ねの「内部通報の体制整備がない中小事業者に通報する場合」が新法第三条第三号ハに規定する「正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合」に該当するか否かについては、個別具体的な事案に即して判断される必要があり、一概にお答えすることは困難であるが、今後、同号に規定する公益通報を行おうとする者の判断に資する情報の提供に努めてまいりたい。
一の3の後段について
新法第十一条第一項及び第二項(これらの規定を同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置の実施状況については、新法第十五条の規定により事業者に対して報告を求めること等により、適切に把握してまいりたい。
一の4について
常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者に該当する地方公共団体については、新法第十一条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置が適切に実施されるよう、当該地方公共団体に対してこれらの規定の趣旨を周知する等の取組を進めてまいりたい。
二について
消費者庁が平成二十八年度に三千人の労働者等を対象に実施した調査において、元労務提供先の不正行為について退職後に通報又は相談をした経験がある旨を回答した者は百三十人であり、このうち当該通報又は相談をした後に不利益な取扱いを受けた経験がある旨を回答した者は五十七人であった。また、当該労働者等のうち連絡先の提供があった者に対し、同庁が実施した追加調査において、元労務提供先等の不正行為について退職後に通報又は相談をした後に不利益な取扱いを受けた経験がある旨を回答した者は十人であり、このうち退職から通報までの期間が一年以内である旨を回答した者は九人であった。
また、お尋ねの「退職後一年以内とせず、主観的起算点による期間にする必要はないか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、新法第二条第一項に規定する公益通報の範囲については、まずは、改正法の施行後において、改正法の施行状況を十分に把握し、改正の効果を見極めることが必要と考えている。