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令和四年五月十七日受領
答弁第五九号

  内閣衆質二〇八第五九号
  令和四年五月十七日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員長妻昭君提出欧米で禁止の農薬に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出欧米で禁止の農薬に関する質問に対する答弁書


 お尋ねの「殺虫剤チアクロプリド」及び「殺虫剤クロルピリホス」に係る「生殖毒性」については、食品安全委員会のウェブサイトに掲載している「食品の安全性に関する用語集」(以下「用語集」という。)にあるとおり「化学物質などが生殖・発生の過程に有害な反応を引き起こすこと」と解している。
 お尋ねの「殺虫剤クロルピリホス」に係る「神経毒性」については、用語集にあるとおり「化学物質へのばく露や物理的要因により、中枢神経系や末梢神経系の機能及び組織に生ずる有害影響」と解している。
 お尋ねの「殺虫剤クロルピリホス」に係る「発達神経毒性」については、用語集にあるとおり「化学物質や放射線等の因子が出生前から若齢期にかけて神経系の構造又は機能に及ぼす影響」と解している。お尋ねの「いわゆる発達障害に関係するもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米国環境保護庁は、「殺虫剤クロルピリホス」について「発達神経毒性」の評価を示した公表資料において、注意欠陥多動性障害、広汎性発達障害等の発生頻度と臍帯血中に含まれる「殺虫剤クロルピリホス」の濃度との間に因果関係があるとは結論付けられていない旨を記載していると承知している。
 お尋ねの「殺虫剤クロルピリホス」に係る「遺伝毒性」については、用語集にあるとおり「物質が直接的又は間接的にDNAに変化を与える性質」と解している。
 お尋ねの「除草剤であるパラコート」については、平成十六年に欧州連合において使用可能な農薬の有効成分としての登録がなされたが、平成十九年に欧州連合の裁判所において登録に必要な要件を満たしていないこと等の理由により、当該登録が無効であるとの判決が出されたため「EUで使用が禁止されている」と承知している。
 お尋ねの「健康影響への評価・検査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、チアクロプリド又はクロルピリホスの食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価(以下「食品健康影響評価」という。)を行い、直近では、それぞれ平成三十年十月二十三日及び同年七月二十四日に、その結果を取りまとめたところであり、当該結果等を踏まえ農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づきこれらの物質を有効成分とする農薬が登録されている。その後においても、当該農薬を適正に使用した場合における健康被害の報告等がないため、現時点において、食品健康影響評価を行う必要があるとは考えていない。
 「何年後までに評価・検査を終えるのか」とのお尋ねについては、農薬取締法第八条第一項の規定による再評価(以下単に「再評価」という。)に係る制度が農薬取締法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十三号)の施行により我が国で新たに導入されたものであり、全ての登録された農薬について有効成分ごとに評価を行うこととされているところ、現時点においては再評価を行った実績がないこと、再評価を受けるべき者から提出される試験成績、少なくとも過去十五年分の公表文献等を基に専門家の意見も踏まえながら農薬の安全性その他の品質に関する審査を行う必要があること等から、予断を持ってお答えすることは困難である。
 お尋ねの「実験・検査など」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農薬取締法第三条第一項の農薬の登録に係る審査と同様に、再評価においても同法第八条の規定において再評価を受けるべき者から提出される試験成績等を基に審査を行うこととされており、同条の規定において「政府や大学等の研究機関で」試験を行うこととはされていない。
 再評価を受けるべき者から提出される試験成績に係る試験のうち人に対する影響に関する試験(解毒方法又は救命処置方法の検索に関する試験等を除く。)については、経済協力開発機構が作成した試験方法に関するガイドライン及び試験を行う施設が満たすべき要件に関する基準に従って行われることとされており、当該人に対する影響に関する試験及びその試験成績の信頼性は確保されているものと考えている。また、欧州連合及び米国における再評価に相当する制度についても、農薬の製造者等から提出される試験成績等を基に審査を行うこととされており、このほかに「政府や大学等の研究機関で、改めて」試験を行うこととはされていないものと承知している。こうしたことから、再評価において、また、「現行の再評価の仕組みではなく」、「政府や大学等の研究機関で、改めて」試験を行うことが必要とは考えていない。
 再評価においては、御指摘の「海外の論文」も含め、「公表文献の収集、選択等のためのガイドライン」(令和三年九月二十二日農業資材審議会農薬分科会決定)及び「残留農薬の食品健康影響評価における公表文献の取扱いについて」(令和三年三月十八日食品安全委員会農薬第一専門調査会決定)に基づき、収集及び選択をされた人に対する影響に関する公表文献を含む最新の科学的知見に基づき審査を行うこととしているところである。
 お尋ねの「日本で、健康上の理由で使用が禁止された農薬」については、例えば、PCP(ペンタクロロフェノール)、CNP(二・四・六−トリクロロフェニル−四′−ニトロフェニルエーテル)及びPCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)を有効成分とする農薬は、ダイオキシン類を含有することを理由として、農薬取締法第十八条第二項及び第二十四条の規定によりその販売及び使用が禁止されているところである。
 食品安全委員会事務局長(以下単に「事務局長」という。)について、お尋ねの「歴代事務局長の出身省庁」は全て農林水産省であり、これまでに事務局長の職を退任した者(以下「事務局長経験者」という。)六人のうち五人が当該職の退任後同省へ出向した。事務局長経験者の国家公務員の退職後における再就職の状況については、公務を離れた個人の情報であり、一般に政府が把握すべき立場にないことから、お尋ねの全てにお答えすることは困難であるが、「公務員制度改革大綱」(平成十三年十二月二十五日閣議決定)、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百六条の二十五の規定等に基づき既に公表されている範囲において調べた限りでは、事務局長経験者が食品関連企業に再就職した事例がある。食品安全委員会は、食品安全基本法第十一条第三項、第二十三条第一項第二号及び第二十四条の規定に基づき、その時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を行わなければならず、また、事務局長は、同法第三十七条第三項の規定に基づき、委員長の命を受けて、局務を掌理し、適正な事務の遂行に努めていることから、「農薬へのチェックが甘くなる」との御指摘は当たらないと考えており、お尋ねの「事務局長は就任したら出身省庁に戻れない」こととする措置が必要であるとは考えていない。
 御指摘の「EUでは予防原則という有害性が確実に認定される前に規制するという考え方がある」及び「欧米では健康上の理由で禁止されている農薬が日本では野放しにされている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国においては、農薬の安全性その他の品質及びその安全かつ適正な使用並びに食品の安全性を確保するため、食品安全基本法、農薬取締法及び食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づき、関係府省が連携し、科学的知見に基づく評価等を行い、その結果を踏まえ、農薬取締法に基づき、安全性その他の品質に問題がないと確認された農薬を使用可能なものとして登録し、販売及び使用の規制等を行っているところである。

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