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令和四年六月三日受領
答弁第六九号

  内閣衆質二〇八第六九号
  令和四年六月三日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員階猛君提出国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員階猛君提出国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問に対する答弁書


一について

 過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条第一項に基づき損害賠償請求訴訟が提起され、国に訴状が送達された訴訟の全件数については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、令和三年一月から令和四年四月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、令和三年は二千百六十件、令和四年一月から四月までの間は六百件である。

二について

 過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法第一条第一項に基づき提訴され、国の敗訴(一部敗訴を含む。)が確定した訴訟の全件数及びその賠償額の合計等については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、令和三年一月から令和四年四月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、令和三年に確定した右件数は十四件、認容された賠償額の元本の合計額は五億千五百三十三万五千三百七十九円であり、令和四年一月から四月までの間に確定した右件数は三件、認容された賠償額の元本の合計額は千五百九十三万二千四百十円であった。各事案の概要は、以下のとおりである(括弧内は認容された賠償額である。)。
 (1) 令和三年
  @ 旧労働大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(一億七千九百三十三万六千六百六十三円)
  A 旧入国管理局職員が違法な事務処理をしたとするもの(四十四万円)
  B 旧労働大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(二億千八百四万七千五百円)
  C 防衛省職員が弁護人選任権を侵害したとするもの(十一万円)
  D 刑務所職員が受刑者に違法な処遇をしたとするもの(三千円)
  E 拘置所職員が違法な事務処理をしたとするもの(二千四百八十四円)
  F 防衛省の公用車が交通事故を起こしたとするもの(五百六十四万五千五百六十五円)
  G 拘置所職員が被収容者に違法な処遇をしたとするもの(一万円)
  H 検察官が弁護士の接見を妨害したとするもの(十万円)
  I 裁判所職員が違法な事務処理をしたとするもの(八十万三百十三円)
  J 旧厚生大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(二千六百七十五万円)
  K 検察官の捜査活動が違法であったとするもの(七千四百六十八万九千八百五十四円)
  L 旧入国管理局職員が違法な事務処理をしたとするもの(六十万円)
  M 旧労働大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(八百八十万円)
 (2) 令和四年一月から四月まで
  @ 財務局職員が情報公開請求について違法な開示決定をしたとするもの(三十三万円)
  A 拘置所職員が違法な事務処理をしたとするもの(十万円)
  B 旧社会保険事務所職員が違法な事務処理をしたとするもの(千五百五十万二千四百十円)

三について

 二についてで述べた十七件のうち、判決文において、国家公務員の故意が認められたものは(2)@の一件であり、重大な過失が認められたものはない。

四について

 過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法第一条第一項に基づき提訴され、国が請求を認諾した訴訟の全件数及びその賠償額の合計等については、網羅的に把握していないため、お答えすることは困難であるが、法務省において、現時点で把握している範囲では、右件数は二件であり、認諾した賠償額の元本の合計額は一億八百二十二万八千十七円である。各事案の概要は、以下のとおりである(括弧内は認諾した賠償額である。)。
 @ 外務省の行政文書に対する情報公開請求について違法な不開示決定をしたとするもの(百十万円)
 A 財務局職員に対する安全配慮義務を怠ったとするもの(一億七百十二万八千十七円)

五について

 三についてで述べた一件については、現在、対応を検討中である。四についてで述べた二件については、公務員に故意又は重大な過失があったとはいえないため、国が国家賠償法第一条第二項の規定に基づく求償権を有するとは考えていない。

六について

 三についてで述べた一件については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項の処分事由等に該当するため、関係者に対し、それぞれ、停職、減給若しくは戒告の処分を行い、又は厳重注意若しくは職務上の注意の措置を執った。また、把握している範囲では、右一件については公訴提起されたとは承知していない。
 四についてで述べた二件については、特定の職員に対して行政処分を行う必要があるとは考えておらず、行政処分はしていない。また、把握している範囲では、右二件については公訴提起されたとは承知していない。

七について

 国家公務員制度改革基本法(平成二十年法律第六十八号)第九条第三号に定める措置として、平成二十三年四月五日付けで、全ての国務大臣により構成される国家公務員制度改革推進本部(当時)において「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について」(以下「本部決定」という。)を決定した。本部決定においては、国家賠償法に基づく求償権の適正かつ厳格な行使について、「各府省において、国家賠償法の求償に係る規定について関係職員に周知するとともに、求償権の存否を判断する体制、手続等を明確にすること」等とされた。
 なお、直近では、令和四年二月二十五日、内閣人事局から本部決定の内容につき改めて各府省に周知し、現時点で、全ての府省において、本部決定を踏まえた必要な措置が執られている。

八について

 お尋ねについては、令和四年二月二日の衆議院予算委員会において、鈴木財務大臣が「今回の訴訟において、赤木さんが当時、森友学園案件に係る様々な業務に忙殺をされ、本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、国として安全配慮義務を十分に尽くせなかったこと、このことについて、国として責任を認め、認諾をしたものであります。赤木さんにつきましては、国といたしましても、赤木さんを含む森友学園案件に関わる職員の業務負担を軽減すべく、人員の追加配置でありますとか業務配分の見直し等を行ったほかにも、赤木さんの休職後におきましても、リハビリ出勤を開始するなど復帰に向けた配慮に努め、また、・・・文書改ざんにつきましても、赤木さんを含む近畿財務局職員の反発の後、本省理財局幹部と近畿財務局幹部との間で相談がなされまして、結論として、赤木さんを含む統括国有財産管理官の配下の職員の方々にはこれ以上作業に関与させないとされたところでございます。当時、業務負担の軽減等の対応がなされたということを申し上げたところでございます。以上を踏まえますと、国として安全配慮義務を十分尽くせなかったといたしましても、重大な過失があるとは考えておらないところでございまして、求償権を有するとは考えていないところでございます。」と述べ、また、同月十七日の同委員会第三分科会において、階猛分科員の「私は、佐川氏に故意又は重過失がないとは言えないのではないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。」との質問に対し、同大臣が「重大な過失と故意のことですけれども、・・・赤木さんが、本当に御不幸なことで申し訳ないことでありますが、公務に起因して精神疾患による自死に至るような結果までもあらかじめ認容して一連の様々な問題行為が行われたとは考え難いということでありまして、個々の職員において、求償要件である故意又は、前にも述べておりますけれども、重過失に当たると言うことは困難ではないかな、そんなふうに考えております。」と述べたとおりである。

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