答弁本文情報
令和四年六月十四日受領答弁第八九号
内閣衆質二〇八第八九号
令和四年六月十四日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員奥野総一郎君提出「専守防衛」及び「サイバー攻撃」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員奥野総一郎君提出「専守防衛」及び「サイバー攻撃」に関する質問に対する答弁書
一の1について
「専守防衛」とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。
一の2の前段について
「専守防衛」の定義にいう「相手から武力攻撃を受けたとき」には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むと解している。
一の2の後段及び3並びに二の2及び3について
憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも「武力の行使」の三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られているが、いかなる場合にいかなる態様の行為が「武力の行使」の三要件を満たすかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、お尋ねについて、一概にお答えすることは困難である。
一の4について
お尋ねの「自衛隊法第七十六条第一項第二号(存立危機事態)に基づき防衛出動する場合に必要な防衛力」の意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第九条の下で保持することが許容される「自衛のための必要最小限度の実力」の具体的な限度については、本来、そのときどきの国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有するものであり、一概にお答えすることは困難である。
二の1及び4について
特定のサイバー攻撃が武力攻撃に該当するかどうかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難である。
また、どの時点で我が国に対する武力攻撃の発生、すなわち武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、個別具体的な状況に即して判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難である。
二の5について
我が国の対応については、個別具体的な状況に照らして判断すべきであり、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国としては、関係する国内法令及び国際法に照らし、適切に対応することとなる。
なお、政府としては、サイバーセキュリティ戦略(令和三年九月二十八日閣議決定)を踏まえ、サイバー攻撃に対する防御力、抑止力及び状況把握力を向上させるとともに、我が国の安全保障を脅かすようなサイバー空間における脅威に対しては、同盟国・同志国とも連携し、政治、経済、技術、法律、外交その他のとり得る全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応をとることとしている。
二の6について
お尋ねの「サイバー攻撃の予兆を探知すること」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。