答弁本文情報
令和六年六月十一日受領答弁第一〇八号
内閣衆質二一三第一〇八号
令和六年六月十一日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員山井和則君提出定額減税の実施に伴う事業者の負担等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出定額減税の実施に伴う事業者の負担等に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「定額減税のことを、給与明細に明記しなかった場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二百三十一条第一項の給与等の支払をする者が、同項に規定する支払明細書を当該支払を受ける者に同項の規定による交付をせず、若しくはこれに偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者又は同条第二項の規定による電磁的方法により偽りの事項を提供した者に該当する場合は、同法第二百四十二条の規定により、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処することとされているところ、当該支払をする者が、所得税法施行規則(昭和四十年大蔵省令第十一号)第百条第一項第四号に掲げる事項を記載せずに当該支払を受ける者に支払明細書を交付した場合に、同法第二百四十二条第七号に掲げる者に該当するとして処罰がなされるかどうかについては、個別具体的な事情により、個別の事案ごとに判断されるべき事柄である。
二について
お尋ねの「定額減税のことを給与明細に明記すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、所得税法第二百三十一条第一項の給与等の支払をする者が、当該支払を受ける者に交付する支払明細書に所得税法施行規則第百条第一項第四号に掲げる事項を記載することについては、令和六年二月二十七日の衆議院財務金融委員会において、青木財務省主税局長が「定額減税の効果を国民の皆様によりしっかり感じていただくために、・・・給与明細に減税額を明記していただくことによりまして、賃上げと所得減税の双方の効果を実感できるようにする」と答弁したとおりであり、同法第二百三十一条第一項の給与等の支払をする者の義務としたものである。
三について
お尋ねの「定額減税のことを給与明細に明記する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、所得税法第二百三十一条第一項の給与等の支払をする者が、当該支払を受ける者に交付する支払明細書に所得税法施行規則第百条第一項第四号に掲げる事項を記載することを含めた今般の定額減税に伴う事務負担については、令和六年三月八日の参議院本会議において、鈴木財務大臣が「企業では税務処理の方法が様々であるため、定額減税に要するコストを試算することは困難であると考えております。」と答弁したとおりであり、お尋ねの「推定」を行うことは困難である。
四について
お尋ねについては、お尋ねの「定額減税を給与明細に明記する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年五月二十一日の記者会見において、鈴木財務大臣が「企業の源泉徴収義務者について一定の負担が生じるということは事実だと思います。・・・しかしここは毎年の税制改正などにおいても、企業などの源泉徴収義務者にとって、負担と言えば負担ですが、それを受け止めてやっていただいておりますので、今回もぜひご協力をお願いしたいと、このように思っています。」と述べたとおりである。
五について
お尋ねについては、令和六年五月二十七日午前の記者会見において、林内閣官房長官が「一人四万円の所得税・住民税減税を行い、可処分所得を下支えすることによって、物価高を上回る所得の実現につなげてまいりたいと考えております。その上で、昨年の与党税制改正大綱におきましても、「今後、賃金、物価等の状況を勘案し、必要があると認めるときには、所要の家計支援の措置を検討する」と記載をされているものと承知をしております。政府としては、「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する」と申し上げてきておりまして、力強い賃上げの流れに加えて、本年の定額減税を始めとする施策の実施に全力を注いでいくことにしておりまして、現時点で、こうしたお約束している経済の道行きに変更が生じる事態は想定をしていないところでございます。」と述べたとおりである。
六について
御指摘の「子育て支援金の徴収額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、事業主が、今国会で審議され、令和六年六月五日に成立した子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律第二条の規定による改正後の健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百五十五条第一項の保険料を同法第百六十七条第一項等の規定により報酬等から控除したときは、同条第三項の規定により、その控除額を被保険者に通知しなければならないこととされているところ、当該規定に違反した場合の罰則は存在しない。