答弁本文情報
令和六年六月二十五日受領答弁第一五二号
内閣衆質二一三第一五二号
令和六年六月二十五日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出副業の納税義務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出副業の納税義務に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、令和五年三月二十九日の衆議院財務金融委員会において、星屋国税庁次長が「副業等に対しましては、副業等がある方々を含めまして、納税者に自発的に納税義務を履行していただくことが重要と考えておりまして、こういった副業等収入がある納税者の方々による自発的な適正な申告に向けまして、申告等の税務手続や申告が必要な取引に関する課税上の取扱いにつきまして、国税庁ホームページへの掲載や報道機関に対する情報提供、仲介事業者や業界団体等を通じた適正申告等の呼びかけ等の取組を行っているところでございます。」と答弁しているところであり、引き続きこれらの取組を行ってまいりたい。
二について
お尋ねの「納税教育」及び「副業での収入の取扱いについて指導」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、これまでも、お尋ねの「就職前の大学生や専門学校生」や高校生等に対する租税の役割や納税の義務等を正しく理解して社会の構成員として社会の在り方を主体的に考える資質や能力を育てることを目的とした租税教育の充実に向けて、国税庁、文部科学省、総務省等による協議の場を設け、高等学校等での租税教育に関する授業(以下「租税教室」という。)に、税務署が関係機関等と連携して講師を派遣するなど、関係省庁等が連携して取り組んでいる。また、租税教室やお尋ねの「就職前の大学生や専門学校生」等に対して行う講演会において、税務署の職員等が納税の義務や副業の収入がある場合の所得税の取扱いについて説明を行うなど、継続的に租税に関する啓発活動を行っている。
政府としては、引き続き、これらの取組の一層の充実に努めてまいりたい。
三について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「企業の意識改革」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省労働基準局が作成した「モデル就業規則」(令和五年七月改訂)において、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」との就業規則の規定例を示すとともに、「労働者の副業・兼業について、裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であることが示されている」旨を示し、その周知を図っているところである。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「副業収入」、「副業分の住民税」及び「勤め先に副業収入を知られずに済む」の意味するところが必ずしも明らかではないが、給与所得者(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百二十一条の三第一項に規定する給与所得者をいう。)に係る個人の市町村民税の均等割及び所得割については、同条第二項において、「給与所得者について、当該給与所得者の前年中の所得に給与所得以外の所得がある場合においては、市町村は、当該市町村の条例の定めるところによつて、当該給与所得以外の所得に係る所得割額を同項本文の規定によつて特別徴収の方法によつて徴収すべき給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額に加算して特別徴収の方法によつて徴収することができる。ただし、第三百十七条の二第一項の申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるときは、この限りでない」とされ、また、個人の道府県民税の均等割及び所得割については、同法第四十一条第一項において、「特別の定めがある場合を除くほか、当該道府県の区域内の市町村が、当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収(均等割の税率の軽減を除く。)の例により、当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収と併せて行うものとする」とされているように、お尋ねの「周知」については、各市町村において対応されるものと考えている。
四及び五の前段について
お尋ねの「追跡」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国税当局においては、様々な機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析し、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、適正かつ公平な課税の実現に努めているところであり、お尋ねの「こうした副業収入」及び「個人で多額の取引をしている人」に係る事案についても、今後とも、このような考え方に基づき、厳正に対処していく。
五の後段について
お尋ねについては、国税当局が事業者から情報提供を受けるための制度として、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第七十四条の七の二において特定事業者等への報告の求めが、同法第七十四条の十二において当該職員の事業者等への協力要請が、それぞれ定められており、お尋ねの「サイト運営者から高額の取引をしている個人や事業者」に係る事案についても、必要に応じ、これらの制度を活用することになる。