答弁本文情報
令和六年六月二十八日受領答弁第一八三号
内閣衆質二一三第一八三号
令和六年六月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員早稲田ゆき君提出公立図書館の振興に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員早稲田ゆき君提出公立図書館の振興に関する質問に対する答弁書
一について
図書館の設置及び運営上の望ましい基準(平成二十四年文部科学省告示第百七十二号。以下「望ましい基準」という。)においては、「市町村教育委員会は、市町村立図書館の館長として、その職責にかんがみ、図書館サービスその他の図書館の運営及び行政に必要な知識・経験とともに、司書となる資格を有する者を任命することが望ましい。」等と定められているところであり、公立図書館の館長の任命については、設置者である地方公共団体において、この規定や地域の実情等を踏まえて適切に判断されるべきものと考えており、望ましい基準について御指摘のような改正を行うことを前提とした「公開の有識者会議」を立ち上げることは考えていない。
二について
前段のお尋ねについては、望ましい基準においては、「市町村立図書館が専門的なサービスを実施するために必要な数の司書及び司書補を確保するよう、その積極的な採用及び処遇改善に努める」等と定められているところであり、文部科学省としては、望ましい基準の内容について、地方公共団体に対する各種会議等の機会を通じて周知を図ることとしており、今後とも、周知に努めてまいりたい。
中段のお尋ねについては、一についてでお答えしたとおり、「公開の有識者会議」を立ち上げることは考えていない。
後段のお尋ねについては、同省が令和五年に公表した令和三年度の社会教育統計によれば、公立図書館の専任の館長のうち司書の資格を有する者の割合は約三十八パーセントであり、館長以外の職員のうち司書の資格を有する者の割合は把握していないが、いずれにせよ、公立図書館の職員の任命については、設置者である地方公共団体において、望ましい基準の規定や地域の実情等を踏まえて適切に判断されるべきものと考えており、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
三について
望ましい基準においては、「郷土資料及び地方行政資料の電子化に努めるものとする」及び「図書館は・・・国立国会図書館・・・等との連携にも努めるものとする」と定められているところであり、御指摘の「地域資料や歴史文化資料のデジタル化とその公開」については、公立図書館において必要に応じて国立国会図書館との連携が図られているものと承知しており、お尋ねのように「国立国会図書館と連携しながら促進されるべきことを「望ましい基準」に明確に書き込む改定を行うべき」とは考えていない。
四について
前段のお尋ねについては、一について及び三についてでお答えしたとおり、お尋ねの「問一及び問三で述べた内容の改定」を行うことは考えていないが、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(令和五年三月二十八日閣議決定)では、「図書館の健全な発展に資することを目的として、平成二十四年に策定された「望ましい基準」について、国は、関係者の意見を聴き、読書バリアフリー法やICTの急速な発展等を踏まえた見直しを検討する。」としており、文部科学省としては、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第四十九号)の施行等を踏まえ、望ましい基準の必要な見直しについて検討してまいりたい。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「国から十分な財政措置を行う」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公立図書館に対しては、点字図書等を含め、図書や視聴覚資料の購入費等に係る地方財政措置が講じられているほか、同省においては、障害者による図書館の利用の促進のためのモデル事業等を実施しているところであり、引き続きこれらの取組を進めてまいりたい。
五について
個々の職にどのような職員を任用するかについては、各地方公共団体において、対象となる職の職務の内容や責任などに応じて、任期の定めのない常勤職員や臨時・非常勤職員などの中から適切に選択されるべきものと考えており、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
六について
指定管理者制度については、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度であり、個々の施設に対し、指定管理者制度を導入するかしないかを含め、幅広く地方公共団体の自主性に委ねる制度となっているところ、公立図書館における指定管理者制度の導入についても、設置者である地方公共団体において適切に判断されるべきものと考えており、お尋ねのように一概に「指定管理者制度の導入がなじまないと評価できる」とは考えておらず、「社会教育施設の中でも指定管理者制度の導入がなじまないと評価できる」「ことについて分析」することは考えていない。