答弁本文情報
令和六年六月二十八日受領答弁第一八五号
内閣衆質二一三第一八五号
令和六年六月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出レアアースの開発に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出レアアースの開発に関する質問に対する答弁書
一について
政府としては、第三期戦略的イノベーション創造プログラムの「海洋安全保障プラットフォームの構築」(以下「プロジェクト」という。)において、南鳥島海域のレアアースに着目した国産資源の開発を進めており、プロジェクトの実施に当たっては、研究開発のテーマについて情報提供を広く依頼し、その結果を整理してフィージビリティ・スタディを実施した上で研究内容を検討しているほか、プロジェクトの代表者を公募により選定するとともに、国立研究開発法人海洋研究開発機構を中心とした推進体制を構築したところである。東京大学については、こうした過程において直接の提案や関与がなかったため現在の推進体制には入っておらず、外部資金を獲得して独自の取組を進めているものと認識しているが、プロジェクト内で開催されている外部有識者による会議には同大学の関係者も参加しており、意見交換を実施してきたところであり、今後も必要な連携を図っていく。
二について
まずはプロジェクトの最終年度である令和九年度までに、南鳥島海域において一定規模のレアアースが含まれる堆積物の採鉱、分離及び精製の技術実証を行う計画としており、その詳細については、現在、関係省庁や関係地方公共団体と調整を行っているため、お尋ねの「操業開始」の時期については現時点でお答えすることは困難であり、また、お尋ねの「拠点整備等の計画」については現時点ではない。
三について
お尋ねの埋蔵量及び成果については、経済安全保障上の理由から、お答えを差し控える。
四について
お尋ねについては、プロジェクトにおいて実施しているレアアースの生産に係る一連の技術実証を経て検討する必要があるため、お尋ねの「採算が合うのはいつ頃を見込んでいるか」については現時点でお答えすることは困難であり、また、「収支について」の「見通し」については現時点でお示しすることは困難である。
五について
お尋ねについては、非常に深い海中での作業となるため、安全性を最優先で確保する観点から海中での作業は全て無人化された装置により行うこととしており、具体的には、周辺海域の調査には自律型無人探査機(以下「AUV」という。)を、船上と海底をつなぐパイプによる採鉱には遠隔操作型無人潜水機を、環境モニタリングには国内で開発された観測装置である「江戸っ子1号」をそれぞれ使って作業することを想定している。
六について
海洋鉱物資源の開発に当たっては周辺環境の監視が必須であり、決められた地点で観測を行う「江戸っ子1号」や、状況に応じ周囲を航行しながら観測を行うAUVも活用しながら周辺環境を監視することを想定している。これらの装置は、ビデオカメラによる撮影のほか、各種音響装置による観測も行う仕様であるため、仮に監視している海域において不審な船舶等が調査を始めた場合には察知できるようになっている。