答弁本文情報
令和六年六月二十八日受領答弁第一九三号
内閣衆質二一三第一九三号
令和六年六月二十八日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出韓国海軍による脅迫行為の事実究明棚上げに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出韓国海軍による脅迫行為の事実究明棚上げに関する質問に対する答弁書
一について
平成三十年十二月二十日に海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射された事案に関する政府の立場は、平成三十一年一月二十一日に防衛省が公表した「韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について」(以下「最終見解」という。)のとおりである。
二について
令和六年六月一日に開催された日韓防衛相会談(以下「今般の会談」という。)について、協議の詳細を明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えたい。
三について
御指摘の「合意した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府として重要と考えている自衛隊の部隊の安全確保に資するとの判断の下、艦艇や航空機の間の「安全な距離」に係る基準である御指摘の「CUES(海上衝突回避規範)」の規定の趣旨を改めて日韓間で確認しているところである。
四について
お尋ねについては、最終見解において「韓国側は、海自P−一哨戒機が、「人道主義的救助作戦」に従事していた韓国駆逐艦に対し、近接した距離において「低空で脅威飛行した」と主張し、謝罪を求めています。・・・海自P−一哨戒機は、安全を確保するため、国際民間航空条約に則った我が国航空法に従って飛行しており、韓国駆逐艦に脅威を与えるような飛行は一切行っていません。(中略)なお、韓国駆逐艦からの無線による呼びかけもなかったことから、海自P−一哨戒機は、韓国側が救助作戦を行っていることを認知できませんでした。」と記載しているとおりである。
五について
お尋ねについては、令和六年六月六日の参議院外交防衛委員会において、木原防衛大臣が「御指摘の火器管制レーダー照射事案につきまして、まず、韓国駆逐艦から火器管制レーダーの照射があった、また海上自衛隊の哨戒機は韓国側の主張するような低空脅威飛行を行っていない、そういった事実関係に関する防衛省の立場は一切変わっておりません。火器管制レーダーの照射は、火器の使用に先立って実施する行為であり、極めて危険なものです。私が防衛大臣に就任して以降、現場で任務に当たる海上自衛官の安全に関わる再発防止策が取られていない状況が過去五年以上にわたって継続してきたこと、このことを極めて深刻に捉えてきました。また、日韓の防衛協力・交流も大きな停滞を余儀なくされ続けてきました。(中略)防衛大臣として、自衛官の預かる立場である私にとりましては、自衛官の安全を確保することは、我が国の平和と安全を守ることと同様に重大な責務です。日本海及びその上空では日韓両国の海空アセットが恒常的に活動しており、日韓の懸案をこのまま放置すれば、類似の事案がいつ再発するか、再発する可能性というのは残り続けることになります。事実関係をめぐる日韓双方の立場は依然として違いはありますが、このことを理由に自衛官諸君を危険にさらし続け、日韓の防衛協力を停滞させ続けることは私にはできません。今回、私は、その決断が我が国の国益にかなうものと確信をしており、今後とも、二十七万人の自衛隊員の先頭に立って我が国の平和と安全のために邁進してまいる所存です。」と答弁しているとおりであり、この趣旨について、海上自衛隊の関連部隊に対しては、指揮命令系統を通じて適切に周知しているところである。
六及び七について
個別の報道に関するお尋ね及び個別の報道の内容を前提とするお尋ねであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。
八について
お尋ねについて、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたいが、政府としては、今般の会談後に公表された「海上自衛隊と韓国海軍の艦艇及び航空機の円滑かつ安全な運用のための意図表明文書の概要」において「海上自衛隊と韓国海軍の間の定例協議体を通じ、本意図表明文書の実施状況を必要に応じて確認し、改善策及びその他の事項について協議」するとしていることを踏まえ、海上自衛隊と韓国海軍が定例的に行う協議等を通じて、「海上自衛隊と韓国海軍の艦艇及び航空機の円滑かつ安全な運用のための意図表明文書」の内容の確実な実施を確保していく考えである。