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令和六年十一月二十二日受領
答弁第三六号

  内閣衆質二一五第三六号
  令和六年十一月二十二日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員山崎誠君提出原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務運営に関する命令における経理的基礎の毀損に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山崎誠君提出原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務運営に関する命令における経理的基礎の毀損に関する質問に対する答弁書


一の1について
  
 御指摘の「経常利益や余剰金がなくなり」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、経常損益及び純損益が赤字となることが見込まれる状況であれば、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務運営に関する命令(平成二十三年内閣府・経済産業省令第一号。以下「省令」という。)第八条第二号に規定する経理的基礎が毀損されると解釈される場合があると考えている。

一の2について
  
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)は、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)の経常損益及び純損益が赤字となることが見込まれることから、省令第八条第二号の規定に基づき、令和四事業年度の特別負担金の額を零円としたものと承知している。

一の3について
  
 一般負担金の年度総額については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)第三十九条第二項の規定に基づき、機構の業務に要する費用の長期的な見通しに照らし、当該業務を適正かつ確実に実施するために十分なものであること及び各原子力事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないものであることを要件として定められるものであり、廃炉等積立金の額については、機構法第五十五条の四第二項の規定に基づき、廃炉等の実施に関する長期的な見通しに照らし、廃炉等を適正かつ着実に実施するために十分なものであること及び廃炉等実施認定事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないものであることを要件として定められるものであり、また、特別負担金の額については、機構法第五十二条第二項の規定に基づき、認定事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保に支障を生じない限度において、認定事業者に対し、できるだけ高額の負担を求めることを要件として定められるものである。したがって、御指摘のように「特別負担金よりも一般負担金、廃炉等積立金が優先的に資金確保されている」ものではない。

二の1について
  
 お尋ねの「資金的協力することは認められるのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の点を含め、東京電力による個別の経営判断については、御指摘の「第四次総合特別事業計画」に示された廃炉や賠償の費用の捻出に向けて、企業価値を高め、国民負担の抑制を実現するとの方針に適合しないことにより、廃炉、賠償及び安定供給に大きな支障を及ぼすようなおそれがある場合を除いて、東京電力の経営陣の責任において行われるべきものと考えている。

二の2から4までについて
  
 お尋ねの「経産省は、そうした東電HDの対応を認めた」及び「監督、指導する経産省は、「経理的基礎」の毀損のおそれがあっても、損害賠償に優先して「前払費用」の資金協力を容認した」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「東京電力による経営改革の取組等の検証・評価結果」(令和五年十二月一日原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会決定)によれば、「賠償(被災者賠償)・廃炉に関して、年間約五千億円の資金を確保する」との目標に対し、「新々・総特及び四次総特の期間中(二千十七〜二千二十二年度)、東京電力が賠償・廃炉に確保した資金(一般負担金、特別負担金、廃炉等積立金の合計)は、年平均で四千九十四億円であった」ものの、「東京電力からは、上記の各取組を通じ、二千二十三年度以降利益を回復させ、年間約五千億円の資金確保が可能になるとの見通しが示された」とされており、また、令和六年三月に機構が東京電力の収支の状況に照らして決定した東京電力が納付すべき令和五事業年度の一般負担金の年度総額、特別負担金の額及び廃炉等積立金の額の合計額は約五千五百七十七億円に増加したことから、政府としては、御指摘のように「賠償に支障を及ぼしていた」及び「福島原発事故の賠償よりも、日本原電への資金的協力を優先した」ものとは考えていない。

二の5について
  
 御指摘の「「経理的基礎」を毀損するおそれのある東電EP」及び「「経理的基礎」を毀損するおそれのあった東電EP」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「東海第二原発の「経理的基礎」」については、「日本原子力発電株式会社東海第二発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(発電用原子炉施設の変更)の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に規定する許可の基準への適合について」(平成三十年九月二十六日原子力規制委員会決定)において、「申請者は、本件申請に係る重大事故等対処設備他設置工事に要する資金については、自己資金及び借入金により調達する計画としている。申請者における総工事資金の調達実績、その調達に係る自己資金及び外部資金の状況、工事に要する資金の額、調達計画等から、工事に要する資金の調達は可能と判断した。このことから、申請者には本件申請に係る発電用原子炉施設を設置変更するために必要な経理的基礎があると認められる。なお、審査の過程において、当委員会は、過去の借入れにおいては、取引銀行から受電電力会社による債務保証が融資条件とされていたことから、申請者に対して借入れによる調達の見込みが確認できる書面を示すよう求めた。これに対し申請者は、東海第二発電所の受電電力会社である東北電力株式会社及び東京電力ホールディングス株式会社が資金支援を行う意向を表明した書面を提出した。これにより、本件申請に係る工事に要する資金のうち、借入金による調達の見込みがあることを確認した。」としているとおりである。

二の6について
  
 お尋ねの「規制委員会の適合性審査で求められる「経理的基礎」とは何か」については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の八第一項に規定する発電用原子炉の設置変更の許可の基準として、同条第二項において準用する同法第四十三条の三の六第一項第二号において、「その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。」と規定されており、当該許可に係る申請を行う者が当該申請の内容に係る工事に要する資金を調達できる見込みがあるか否かを判断するためのものである。
 また、「支援機構が毀損をおそれる「経理的基礎」」及び「支援機構がいう「経理的基礎」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、省令第八条第二号において、特別負担金の額の設定基準の一つとして「収支の状況に照らして経理的基礎を毀損しない範囲でできるだけ高額の負担をするものであること。」と規定している趣旨は、機構法第四十七条第一項に規定する認定事業者がその収支の状況に照らして過度に高い特別負担金を課されることにより、当該認定事業者の事業運営が不可能となり、機構法の目的を達することが困難とならないようにするためのものである。

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