答弁本文情報
令和七年二月二十一日受領答弁第五三号
内閣衆質二一七第五三号
令和七年二月二十一日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員有田芳生君提出拉致問題等と国民の知る権利に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員有田芳生君提出拉致問題等と国民の知る権利に関する質問に対する答弁書
一及び六について
警察が捜査・調査している、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の数は、令和七年一月一日現在で八百七十一名である。
都道府県警察においては、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第十条の三に基づき、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の親族等に対し、捜査・調査に支障のない範囲で、その状況を説明しているものと承知しており、お尋ねのように「政府が、国民の知る権利を侵害している」とは考えていない。いずれにせよ、いわゆる国民の知る権利については、十分尊重されるべきものと認識しており、今後とも、これらの親族等の心情等に配慮しつつ、適切な対応を行っていくものと認識している。
二について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般に、行政機関の保有する行政文書については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第三条の規定により、何人も、同法の定めるところにより、行政機関の長に対し、その開示の請求をすることができるとされているところであり、当該行政機関の長は、当該請求があったときは、同法第五条の規定により、当該請求に係る行政文書に同条各号に定める不開示情報が記録されている場合を除き、当該行政文書を開示しなければならないとされているところである。また、行政機関又は地方公共団体の機関の保有する自己を本人とする保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。以下同じ。)については、個人情報の保護に関する法律第七十六条第一項の規定により、何人も、同法の定めるところにより、行政機関の長又は地方公共団体の機関に対し、その開示の請求をすることができるとされているところであり、当該行政機関の長又は当該地方公共団体の機関は、当該請求があったときは、同法第七十八条第一項の規定により、当該請求に係る保有個人情報に同項に規定する不開示情報が記録されている場合を除き、当該保有個人情報を開示しなければならないとされているところである。さらに、地方公共団体の保有する行政文書の開示の請求については、一般に、それぞれの地方公共団体の情報公開条例に基づき、当該行政文書を保有する地方公共団体の機関に対して行うこととなるものと承知している。
他方で、訴訟に関する書類については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五十三条の二第一項の規定により、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定は適用しないこととされ、また、訴訟に関する書類に記録されている個人情報については、同条第二項の規定により、個人情報の保護に関する法律第五章第四節の規定は適用しないこととされている。
三について
前段のお尋ねについては、御指摘の「拉致被害者等の捜査・調査に関する情報」が具体的にどのようなものを指すのか明らかではないが、一般に、特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。以下同じ。)の指定については、対象となる情報について、同項に規定する要件を満たすかどうかを個別具体的な状況に即して判断する必要があり、一概にお答えすることは困難である。
後段のお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、その上で、一般論として申し上げれば、特定秘密の取扱いの業務に従事する者については、同法第二十三条第一項において、「その業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する」こととされている。
四について
お尋ねについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えは差し控えたい。
五について
お尋ねについては、御指摘の「この文書」の指すところが明らかではないため、お答えすることは困難である。