答弁本文情報
令和七年三月十一日受領答弁第七五号
内閣衆質二一七第七五号
令和七年三月十一日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員島田洋一君提出集団的自衛権の憲法解釈変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員島田洋一君提出集団的自衛権の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書
一について
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(昭和二十七年条約第六号)と憲法との関係については、昭和二十六年十月十六日の参議院本会議において、吉田茂内閣総理大臣(当時)が「安全保障條約と憲法第九條の関係についてのお尋ねでありますが、憲法第九條は、この九條に明記してある通り、国際紛争の手段として兵力を使うとか威嚇を用いるとかいうようなことはしない。(中略)保障條約については、これは自国の自衛に関する問題であつて、おのずからその間に区別があるので、保障條約があつたからといつて、これが憲法第九條の改訂を必要とすることはないはずと私は考えます。」と答弁したとおりであり、御指摘のように「憲法違反の条約」であるとは考えていない。
二について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府は、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められないとしており、また、御指摘の「一九七二年十月十四日の内閣法制局より参議院決算委員会に提出された資料」で示された政府見解は、憲法第九条の下でも例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるという基本的な論理を示した上で、これに当てはまる場合は我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという当時の認識の下で、結論として、この基本的な論理に当てはまる例外的な場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしたものであり、憲法第九条の解釈を変更したものではない。
三について
御指摘の「旧安保条約時代における「集団的自衛権の行使は合憲」という憲法解釈」の意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られており、集団的自衛権の行使一般を認めるものではなく、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められない。