答弁本文情報
令和七年三月二十五日受領答弁第一〇三号
内閣衆質二一七第一〇三号
令和七年三月二十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員原口一博君提出スパイクタンパク質の毒性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員原口一博君提出スパイクタンパク質の毒性に関する質問に対する答弁書
一の1及び三について
御指摘の「米国ソーク研究所」が令和三年四月に発表した論文「(Circulation Research Vol.128, No9)」及び御指摘の令和五年に公表された論文「スパイクタンパク質の毒性に関する総説論文」(以下「両論文」という。)の「情報」の詳細については、厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)において承知していない。また、「厚生労働大臣が厚生科学審議会や薬事審議会等の委員・・・として任命した学識経験者」が両論文の「情報」を承知していたのかについては、政府として把握していない。
一の2及び五について
御指摘の「審議会」においては、御指摘の「情報」そのものについては審議したことはないが、いずれにせよ、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第六十八条の十第一項及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第二百二十八条の二十第一項第二号ロの規定による研究報告に係る報告等の状況について、医薬品医療機器等法第六十八条の十二第一項の規定により、厚生労働省において、必要な「審議会」における議論を踏まえながら、適切に評価することとしていることと同様に、御指摘の「情報」についても適切に対応してまいりたい。
二及び四について
御指摘の「審議会委員」については、厚生科学審議会令(平成十二年政令第二百八十三号)第二条及び薬事審議会令(平成十二年政令第二百八十六号)第三条の規定により、学識経験のある者のうちから、厚生労働大臣が任命するものとされているところ、厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第八条及び第十一条に定める厚生科学審議会及び薬事審議会の所掌事務についての議論を行うことを踏まえ、公衆衛生等に関する知識や経験等を総合的に判断して任命しているところである。また、「審議会」において、両論文のような情報に限らず、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「新型コロナ予防接種」という。)に使用するワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の安全性については、新型コロナ予防接種を受けたことによるものと疑われる症状について、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第十二条第一項の規定により、医師等から厚生労働大臣に報告されているほか、医薬品医療機器等法第六十八条の十第一項及び第二項の規定により、新型コロナワクチンの製造販売業者等から同大臣に報告されているところ、新型コロナ予防接種の開始以降、これらの制度により収集した情報等に基づき、継続的に評価を行うこととしており、直近では令和七年一月二十四日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、「副反応疑い報告に関する論点」等が議論され、「ワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められない」及び「現時点では引き続き、ワクチンの安全性等に関する国内外の情報を収集しつつ、ワクチンの接種を継続すること」と評価されていると承知している。
六について
お尋ねの「スパイクタンパク質の毒性との関係を否定できる根拠」の趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「mRNAワクチン」の接種により発現されるスパイクタンパク質の身体への影響も含めて治験において有効性及び安全性に係るデータを収集しており、例えば、ファイザー社の新型コロナワクチンでは、十六歳以上の四万三千四百四十八例を対象とする治験等が行われ、また、当該新型コロナワクチンに係る機構の特例承認に係る報告書において、「本剤を筋肉内投与した場合、本剤は主に投与部位に分布し、一部は全身(主に肝臓)へ一時的に分布し、それぞれでタンパク質を発現するが、いずれの部位でも時間の経過とともに本剤及び発現したタンパク質は消失すると推察された。」とされており、当該報告書等を踏まえ、令和三年二月十二日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において審議が行われ、その結果を踏まえて承認を行ったものである。
なお、これらの承認後においても、「mRNAワクチン」を含む新型コロナワクチンによる健康被害を示唆する情報があれば、予防接種法第十二条第一項並びに医薬品医療機器等法第六十八条の十第一項及び第二項の規定による報告等に基づく評価を行い、新型コロナ予防接種の安全性を確認することとしている。