答弁本文情報
令和七年三月二十八日受領答弁第一一七号
内閣衆質二一七第一一七号
令和七年三月二十八日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員吉川里奈君提出外免切替制度の懸念と国際免許の制度的抜け穴に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員吉川里奈君提出外免切替制度の懸念と国際免許の制度的抜け穴に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「外国籍の者による外免切替の申請件数及び国籍別の件数」については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難であるが、令和五年における御指摘の「外免切替」の手続により我が国の運転免許証を交付した件数(以下「令和五年外免切替件数」という。)のうち、外国籍等を有する者に対して交付した件数は五万六千二十二件であり、平成二十五年における件数と比較した場合の増加率は約百三十五パーセントである。
また、令和五年外免切替件数のうち、当該運転免許証の交付を受けた者が有していた本邦の域外にある国又は地域(以下「外国等」という。)の運転免許の発給国別の上位五箇国とその件数をお示しすると、ベトナム社会主義共和国が一万五千八百七件、中華人民共和国が一万千二百四十七件、アメリカ合衆国が四千二百五十件、ブラジル連邦共和国が三千二百六件及び大韓民国が三千百六十五件であり、平成二十五年における件数と比較した場合の増加率は、ベトナム社会主義共和国が約八百四十一パーセント、中華人民共和国が約百九十三パーセント、アメリカ合衆国が約二パーセント、ブラジル連邦共和国が約百三十一パーセント及び大韓民国がマイナス約二十一パーセントである。
さらに、お尋ねの「外国人に対する国際運転免許証の交付件数」のうち、その「国籍別の件数」については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難であるが、令和五年における、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第百七条の七第一項に規定する国外運転免許証を外国籍等を有する者に対して交付した件数は二万千四百十六件であり、平成二十五年における件数と比較した場合の増加率は約九十七パーセントである。
二について
御指摘の「外免切替」に係る制度については、自動車等の運転に関する外国等の運転免許を有する者が、その受けようとする運転免許に係る自動車等を運転することに支障がないことの確認内容に関し、必要となる知識に関する質問等に係る改善すべき点があると認識しているほか、様々な意見があることを承知しており、政府としては、各方面から寄せられている意見や諸外国における制度も踏まえつつ、道路交通の安全確保の観点から、制度及び運用の両面について検討を進めているところである。
三について
御指摘の「外国人ドライバーの事故が特定地域に集中し」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、外国籍等を有する者である運転者(以下「外国人運転者」という。)による交通事故の発生状況の地域的な偏りについては、外国人運転者が第一当事者であった交通事故の発生件数や、交通事故の発生件数の総数のうち外国人運転者が第一当事者であったものが占める割合のほか、人口動態や都道府県又は市区町村等の地域区分等様々な観点から判断すべき事柄であることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、我が国の運転免許証の交付を受けている外国籍等を有する者及び訪日外国人の増加に伴い、外国人運転者が第一当事者であった交通事故の発生件数は増加傾向にある。その上で、外国人運転者が我が国で安全に自動車等を運転するためには、日本の交通ルールや交通事情等を外国人運転者に周知することが重要であると認識していることから、警察においては、日本の交通ルールについて多言語で記載したリーフレットの作成及び配布を行うなどして外国人運転者への周知を強化しているほか、例えば、「一時停止」の規制標識について英語表記を併記し、外国人運転者にも分かりやすい道路標識の整備を推進するなどしている。また、二についてでお答えしたとおり、政府としては、道路交通の安全確保の観点から、御指摘の「外免切替」に係る制度及び運用の両面について検討を進めているところである。
四及び五について
お尋ねの「日本の運転免許制度の運用が日本発行の国際運転免許証の受入条件や国際的な信頼に与える影響」及び「ジュネーブ条約締約国として、国際免許の適正な運用を担保する責任を負う立場にある」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国の運転免許制度は、道路交通に関する条約(昭和三十九年条約第十七号)に整合的であると考えており、引き続き適正な運用に努めてまいりたい。