答弁本文情報
令和七年四月四日受領答弁第一二五号
内閣衆質二一七第一二五号
令和七年四月四日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員杉村慎治君提出統計調査を民間に委託する際の管理体制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員杉村慎治君提出統計調査を民間に委託する際の管理体制に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「過去五年間に政策決定の根拠として用いた統計データ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和元年度から令和四年度までの間(以下「当該期間」という。)に国が実施した統計調査(統計法(平成十九年法律第五十三号)第二条第五項に規定する統計調査をいう。以下同じ。)については、同法第五十五条第一項の規定に基づき、民間事業者への委託の状況についての報告を求めていたところであり、これにより総務大臣が把握したところによると、当該期間に国が実施した統計調査の数(同法第九条第二項第一号又は同法第十九条第二項において準用する同法第九条第二項第一号の調査の名称の数をいう。以下同じ。)に占める当該統計調査に関する事務の一部を民間事業者に委託した統計調査の数の割合は、七十八・五パーセントである。
一の2について
お尋ねの「調査主体」及び「サンプル数」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、統計法第九条第二項の規定に基づく申請及び同法第十一条の規定に基づく変更の申請により、令和七年三月末現在における@基幹統計調査を実施する府省、A同法第九条第二項第五号に掲げる報告を求めるために用いる方法並びに同項第四号に掲げる報告を求める個人又は法人その他の団体のB数及びC選定の方法を把握しているところ、当該統計調査に関する事務の一部を民間事業者に委託し、当該期間に実施した基幹統計調査に係る上記@からCまでを、当該基幹統計調査ごとにお示しすると、それぞれ次のとおりである。
国勢調査 @総務省 A同法第十四条に規定する統計調査員又は国の実施する統計調査に関する事務に従事する者であって当該統計調査を実施する府省の職員でないものが調査票を配布及び取集することにより行う方法(以下「調査員調査」という。)、郵送調査並びに統計調査を行う行政機関の長が識別符号を記載した書類を配布し、及び当該行政機関の長が報告者の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)から電気通信回路を通じて当該識別符号を用いて送信された調査事項に係る情報を当該行政機関の長の使用に係る電子計算機において受信する方法により行う方法(以下「オンライン調査」という。) B約一億二千六百万 C全数調査
個人企業経済調査 @総務省 A郵送調査及びオンライン調査 B約三万七千 C無作為抽出法
科学技術研究調査 @総務省 A郵送調査及びオンライン調査 B約一万八千 C全数調査及び無作為抽出法
就業構造基本調査 @総務省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約百六十二万 C無作為抽出法
全国家計構造調査 @総務省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約九万九百 C無作為抽出法及び統計調査を実施する府省が、その知識、経験等により、当該統計調査の母集団の中で典型的な又は代表的なものと考える個人又は法人その他の団体を選定する方法(以下「有意抽出法」という。)
社会生活基本調査 @総務省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約二十八万五千 C無作為抽出法
経済センサス基礎調査 @総務省 A郵送調査及びオンライン調査 B約六百十四万 C全数調査
法人企業統計調査 @財務省 A郵送調査及びオンライン調査 B約四万九千七百 C無作為抽出法
民間給与実態統計調査 @財務省 A郵送調査及びオンライン調査 B約二万七千 C無作為抽出法
人口動態調査 @厚生労働省 A郵送調査及びオンライン調査 B約千九百 C全数調査
毎月勤労統計調査 @厚生労働省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約九万八千 C無作為抽出法
薬事工業生産動態統計調査 @厚生労働省 A郵送調査及びオンライン調査 B約四千九百 C全数調査
医療施設調査 @厚生労働省 A郵送調査及びオンライン調査 B約十八万千 C全数調査
患者調査 @厚生労働省 A郵送調査及びオンライン調査 B約一万三千八百 C無作為抽出法
賃金構造基本統計調査 @厚生労働省 A調査員調査、郵送調査、オンライン調査等 B約百七十八万 C無作為抽出法
国民生活基礎調査 @厚生労働省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約四十万千 C無作為抽出法
農林業センサス @農林水産省 A調査員調査、郵送調査、オンライン調査等 B約百二十六万九百 C全数調査
牛乳乳製品統計調査 @農林水産省 A郵送調査、オンライン調査等 B約九百二十 C全数調査及び有意抽出法
木材統計調査 @農林水産省 A調査員調査、郵送調査、オンライン調査等 B約二千六百八十 C全数調査及び無作為抽出法
経済産業省生産動態統計調査 @経済産業省 A郵送調査及びオンライン調査 B約一万三千 C全数調査
ガス事業生産動態統計調査 @経済産業省 A郵送調査及びオンライン調査 B約千六百 C全数調査
石油製品需給動態統計調査 @経済産業省 A郵送調査及びオンライン調査 B約二百 C全数調査
商業動態統計調査 @経済産業省 A郵送調査、オンライン調査等 B約二万六千五百 C全数調査及び無作為抽出法
経済産業省特定業種石油等消費統計調査 @経済産業省 A郵送調査及びオンライン調査 B約千三百 C全数調査
経済産業省企業活動基本調査 @経済産業省 A郵送調査及びオンライン調査 B約四万五千 C全数調査
港湾調査 @国土交通省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約六百六十 C全数調査
造船造機統計調査 @国土交通省 A郵送調査及びオンライン調査 B約千三百 C全数調査
建築着工統計調査 @国土交通省 Aオンライン調査等 B約五十五万 C全数調査及び無作為抽出法
鉄道車両等生産動態統計調査 @国土交通省 A郵送調査及びオンライン調査 B約二百二十 C全数調査
建設工事統計調査 @国土交通省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約十二万二千 C無作為抽出法及び有意抽出法
船員労働統計調査 @国土交通省 A郵送調査及びオンライン調査 B約千九百 C全数調査及び無作為抽出法
自動車輸送統計調査 @国土交通省 A郵送調査及びオンライン調査 B約二万六千三百 C全数調査及び無作為抽出法
内航船舶輸送統計調査 @国土交通省 A郵送調査及びオンライン調査 B約三百 C全数調査及び無作為抽出法
経済センサス活動調査 @総務省及び経済産業省 A調査員調査、郵送調査、オンライン調査等 B約七百八十五万 C全数調査
経済構造実態調査 @総務省及び経済産業省 A郵送調査及びオンライン調査 B約三十九万二千 C有意抽出法
工業統計調査 @総務省及び経済産業省 A調査員調査、郵送調査及びオンライン調査 B約三十万五千 C全数調査
一の3について
統計法第三条第二項の規定により、統計調査に関する事務の一部を民間事業者に委託した場合も含め、公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならないこととされており、これを踏まえ、各府省において適切に対応しているところである。
二について
お尋ねの「調査手法やデータ処理の信頼性をどのように検証しているのか」及び「データを再検査した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、公的統計の整備に関する基本的な計画(令和五年三月二十八日閣議決定)に記載のある「有識者からなるチームを総務省から派遣し、各府省の個々の統計の作成プロセス」の「改善を進める」際の「診断及びアドバイス」の「基準となる」ものとして「統計委員会が取りまとめた」事項においては、統計調査を実施する府省は、名簿の作成、調査の対象の抽出、集計等の委託の内容について、その実施状況を「受託等機関からの報告等に基づいて把握・管理しなければならない」こととされており、これに基づき、委託した民間事業者からの報告等について必要な確認を行うなど、適切に対応しているものと考えている。
三の1について
御指摘の「不透明な形で受託する」及び「契約プロセスの透明性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国の実施する統計調査に関する事務の一部を民間事業者に委託した場合における契約についても、「公共調達の適正化について」(平成十八年八月二十五日付け財計第二〇一七号財務大臣通知)に基づき、当該「契約に係る情報の公表」を適切に行っている。
三の2について
「統計調査における民間事業者の活用に係るガイドライン」(平成十七年三月三十一日統計企画会議申合せ。以下「ガイドライン」という。)において、「各府省は、統計調査に係る業務が、国民、企業等の秘密に関する情報や市場に影響を与える情報を取り扱うことを踏まえ、委託先とする民間事業者・・・については、国民に無用の不安や疑義を生じさせ、政府統計全体の信頼を損なうことがないよう、取り扱う情報や業務の特性等に応じて適切に選定するもの」とされており、また、当該「委託先とする民間事業者」は、統計法第三十九条の規定において、同法第二条第十一項に規定する調査票情報等の適正な管理のために統計法施行規則(平成二十年総務省令第百四十五号)第四十一条第六項に規定する必要な措置を講じなければならないとされており、これらの規定に基づき、各府省において適切に対応していることから、国が実施する統計調査に関する事務の一部を受託する民間事業者について、お尋ねの「より厳格な資格要件」を課すことは、考えていない。
三の3及び4について
御指摘の「過去に問題を起こした事業者」及び「再発防止策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「総務省における物品等の契約に係る指名停止等措置要領」(平成十七年三月三十日付け総務省大臣官房会計課長決定)等の各府省において定める規程に基づき、各府省が当該各規程中の「契約違反」の要件に該当する事業者に対しては指名停止の措置を講じるなど、適切に対処しているところであり、ガイドラインにおいてお尋ねの「違約金の設定や業務停止措置の基準を明確化する」等の措置を行うことは考えていない。
三の5について
国の実施する統計調査に関する事務の一部の委託については、特定非営利活動法人及び一般社団法人が特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二十八条の二及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十八条の規定に基づく公告を行っていないことをもって、当該法人が当該委託に係る一般競争入札に参加することを排除する定めはない。
四について
お尋ねの「出典・調査手法・調査主体を公的な場で明示するルール」及び「データの信頼性を国民に説明するための透明性確保策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「PDCAサイクルによる公的統計の品質確保・向上のためのガイドライン」(令和二年七月三十日統計行政推進会議申合せ)において「調査の実施状況や集計結果等」の「点検・評価」を行うに当たっての「観点」として、「品質の表示」などが定められており、その中で、「調査の対象」、「抽出方法」、「民間事業者を経由する場合」の「仕様書、入札状況及び契約事項の概要」を含む「調査の方法」等が掲げられているところであり、これを踏まえ、各府省において適切に対応していることから、新たに定めを設けることは考えていない。