答弁本文情報
令和七年四月八日受領答弁第一二八号
内閣衆質二一七第一二八号
令和七年四月八日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員屋良朝博君提出沖縄県の離島からの住民避難・受入れに係る取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出沖縄県の離島からの住民避難・受入れに係る取組に関する質問に対する答弁書
一の1について
九州各県及び山口県は、「国民保護法における受入れに係る初期的な計画の作成について(依頼)」(令和六年六月十一日付け閣副事態第二百五十一号・府政防第九百六十号・消防災第百二十号内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)付内閣参事官、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(被災者生活再建担当)、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(避難生活担当)及び消防庁国民保護・防災部国民保護支援調整室長連名通知)に基づく「国民保護法における受入れに係る初期的な計画」の作成に向けた検討の前提として、国の依頼に基づき、令和五年度に宿泊施設の客室数を調査しており、福岡県内の当該客室数は六万三千四百二十室であったと承知している。当該検討における、避難住民を受け入れる施設の全室が空室であるという前提条件は、まずは初期的な段階の想定として設定したものである。
一の2について
お尋ねの「収容能力」及び「実現」の意味するところが必ずしも明らかではないが、避難住民の宿泊施設等への受入れについては、令和七年度以降、関係地方公共団体、民間事業者等と連携を深め、災害時の状況も参考にしつつ、更に検討を深めてまいりたい。
二の1について
お尋ねの「どこまで確保が可能となっているのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、武力攻撃事態等であると認定されている状況ではないことから、関係地方公共団体において、バス事業者との契約によりバスによる輸送を準備する等の対応をすることまでは予定していないと承知している。
二の2について
福岡県は、令和六年度の検討においては、鹿児島空港からの輸送について、北九州市内及び久留米市内への輸送手段の検討を行ったが、いずれも貸切バスに加えて新幹線を利用する案を第一の案として整理し、同案を念頭に今後検討していく予定であると承知している。いずれにしても、輸送手段については、同県において検討していくものと承知している。
三について
お尋ねについては、関係地方公共団体からの意見があることは承知しているが、令和七年度以降、関係地方公共団体、民間事業者等と連携しつつ、公営住宅、賃貸住宅等への受入れ及び県内飲食店による食事の提供も含めて対応を検討してまいりたい。
四について
九州各県及び山口県が全国の御指摘の「医療福祉関係者」と議論を重ねながら、「医療福祉関係者」を確保する内容を含む「受入れ基本要領」を令和八年度までに作成することができるよう、国として支援してまいりたい。
五について
お尋ねの「住民に向けてどのように安全に移動できるのか」及び「避難先への不安解消」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和八年度に予定している「沖縄県国民保護共同実動・図上訓練」に向け、先島諸島の市町村等で開催される住民意見交換会等に参加し、住民との意見交換を重ねることにより、関係地方公共団体の住民の理解促進に努めてまいりたい。
六の1について
今回の検討においては、あくまでも訓練上の想定として、国が先島諸島の市町村を武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)第五十二条第二項第一号の要避難地域として示した上で避難措置の指示をするとともに、国から九州各県及び山口県への入域の自粛要請をすることにより、航空機については、避難元の空港に係る定期便は原則として全便が運休となり、また、受入れ先の空港に係る国内便は離島の生活路線等の一部の便を除き大部分が運休となる前提条件を設定したものである。船舶を利用した輸送については、前提条件も含め、令和七年度以降に検討することを予定している。
六の2について
避難元市町村において利用することが想定される各空港における駐機場の最大限の活用等により、一日約二万人を先島諸島の島外へ輸送する能力を確保できる見通しとなっているが、避難に要する時間の短縮については、今後も更に検討を深めてまいりたい。
七の1について
国民保護法第三十二条第一項に基づき定められた国民の保護に関する基本指針(平成十七年三月二十五日閣議決定)において、「沖縄県の住民の避難については、沖縄本島や本土から遠距離にある離島における避難の適切な実施のための体制づくりなど、国が特段の配慮をすることが必要である。このため、国は、九州各県をはじめとする地方公共団体との広域的な連携体制を整え」るとされていることや、九州各県、山口県及び沖縄県において「九州・山口九県武力攻撃災害等時相互応援協定」が締結されており、県域を越える住民の避難及び受入れを検討する素地があることから、「沖縄県国民保護共同図上訓練」上の想定として九州各県及び山口県を受入れ先としているところである。
なお、武力攻撃事態等について、その具体的態様を予断することは困難であることから、いずれの地域がお尋ねの「避難先として安全」であるかについて、お答えすることは困難である。
七の2について
先島諸島は、沖縄本島や本土から遠距離にある離島であり、輸送手段の確保等、避難の困難性が高いと考えられることから、沖縄県及び先島諸島の五市町村と協議し、まずは先島諸島の避難を検討することとなった。
同県は、当該検討の成果を踏まえて沖縄本島を含む同県全体の避難の在り方を検討していく必要があると認識していると承知しており、今後の進め方については、同県と国でよく相談してまいりたい。