答弁本文情報
令和七年四月十八日受領答弁第一三九号
内閣衆質二一七第一三九号
令和七年四月十八日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員藤原規眞君提出仮装身分捜査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員藤原規眞君提出仮装身分捜査に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、これを明らかにすることにより、今後の捜査活動(捜査の端緒を得る活動を含む。以下同じ。)に支障をもたらすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、警察庁においては、都道府県警察に対し、「仮装身分捜査実施要領の制定について(通達)」(令和七年一月二十三日付け警察庁丙刑企発第一号警察庁刑事局長通達。以下「通達」という。)を発出し、捜査員が犯罪の実行者の募集に応じ、当該募集に係る関係者と接触した際に、架空の本人確認書類等を使用する手法を用いた捜査活動(以下「仮装身分捜査」という。)を実施するに当たっては、通達に基づき適正に実施するよう指示したところであり、都道府県警察において、必要な取組が進められていると承知している。
二及び三について
御指摘の「令状主義の例外」及び「裁判所のスクリーニング等、司法によるコントロール」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百九十七条第一項ただし書にいう「強制の処分」については、昭和五十一年三月十六日最高裁判所第三小法廷決定において「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するもの」と示されているところ、通達に基づき実施する仮装身分捜査については、「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する」ものではないことから、「強制の処分」に当たるとは考えておらず、現行法下においても令状によらず実施することが可能な捜査活動であると解されることから、新たな立法措置は必要ないと考えている。
四について
御指摘の「廉潔性の問題」及び「警察官が人を騙すということ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、警察に対する国民の信頼を揺るがすことはあってはならないと考えており、都道府県警察において、通達に基づき仮装身分捜査が適正に実施されることが重要であると考えている。
五の1及び2について
仮装身分捜査については、御指摘の「捜査期間中、親兄弟や友人等との接触を断たれ、公私共に別人格の人間として生活しなければならない」こととなるような手法を用いて実施することは想定していないところであるが、いずれにせよ、仮装身分捜査に従事する捜査員の人選及びその従事する期間については、個別具体的な事情により判断されるため、一概にお答えすることは困難である。
五の3について
五の1及び2についてで述べたとおり、仮装身分捜査については、御指摘の「捜査期間中、親兄弟や友人等との接触を断たれ、公私共に別人格の人間として生活しなければならない」こととなるような手法を用いて実施することは想定していないところであり、それを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。
六について
御指摘の「過去の例の如く、一般求人に紛れるなど巧妙化すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮装身分捜査の実施と犯罪の実行者の募集内容の変化との間に必ずしも因果関係が認められるとは考えていない。