答弁本文情報
令和七年四月二十五日受領答弁第一四七号
内閣衆質二一七第一四七号
令和七年四月二十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出相続税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出相続税に関する質問に対する答弁書
一について
我が国の相続税については、十パーセントから五十五パーセントまでの八段階の累進税率を採用しているところ、例えば、英国の相続税は四十パーセントの単一税率を採用しているなど、御指摘のように「日本の相続税の税率が他国と比較して極めて高い」とは必ずしも言えないと考えている。
二について
相続税については、平成十五年度税制改正により七十パーセントの最高税率が個人所得課税の最高税率を踏まえて五十パーセントに引き下げられるなど、累次にわたる最高税率の引下げを含む税率構造の緩和及び基礎控除の引上げにより、その再分配機能が低下していたが、平成二十五年度税制改正において、再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する等の観点から、相続税の基礎控除の引下げや、最高税率の引上げが行われたところであり、御指摘の「相続税の税率の引下げや基礎控除の引上げ」については、現時点では、検討することは考えていない。
三について
お尋ねの「法人版事業承継税制について、令和八年四月一日以降まで延長すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「法人版事業承継税制」の特例措置の適用を受けるための計画の提出期限が令和八年三月三十一日までとなっているところ、仮に、お尋ねが、その期限の延長についての政府の見解を問うものであれば、まずは当該特例措置の最大限の活用を図ることが重要であると考えている。
四について
お尋ねの「激変緩和措置」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、税務署長の許可を得て、相続財産のうち不動産などにより物納をすることが認められている。また、被相続人等の居住や事業の用に供されていた宅地等については、居住や事業の継続への配慮から、その価額の一定割合を課税価格に算入しないこととする小規模宅地等に係る特例を設けている。
以上のとおり、相続により不動産を取得した者に係る相続税の納付等については、一定の配慮がなされているところであり、新たな措置を講ずることは検討していない。
五について
お尋ねの「相続税制度の見直し」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、今後の相続税の在り方については、令和六年十二月三日の衆議院本会議において、石破内閣総理大臣が「今後の相続税、贈与税の在り方につきましては、経済社会の構造変化に加え、再分配機能をどの程度発揮させるべきかという観点も踏まえつつ、税制全体の中で考えていくべき課題であると認識をいたしております」と答弁しているとおりである。