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令和七年六月三日受領
答弁第一九九号

  内閣衆質二一七第一九九号
  令和七年六月三日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員杉村慎治君提出動物実験制度の透明性と国際的整合性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員杉村慎治君提出動物実験制度の透明性と国際的整合性に関する質問に対する答弁書


一の1について

 動物実験に関する情報の公開については、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成十八年文部科学省告示第七十一号。以下「文部科学省基本指針」という。)、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成十八年六月一日付け科発第〇六〇一〇〇五号厚生労働省大臣官房厚生科学課長通知別添。以下「厚生労働省基本指針」という。)及び「農林水産省の所管する研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成十八年六月一日付け農林水産省農林水産技術会議事務局長通知。以下「農林水産省基本指針」という。)において、研究機関等の長は、当該研究機関等における動物実験について「代替法の利用」や実験動物の「苦痛の軽減」に関する内容を含む各基本指針への適合性に関し自ら点検及び評価を行い、当該点検及び評価の結果等の動物実験に関する情報の公開を行うこととしており、各研究機関等において適切に実施されるべきものであると考えている。
 また、動物実験計画に対する評価については、文部科学省基本指針、厚生労働省基本指針及び農林水産省基本指針において、研究機関等の長は、「動物実験等の開始前に動物実験責任者に動物実験計画を申請させ、その動物実験計画について動物実験委員会の審査を経て」、「その申請を承認し、又は却下する」こととしており、各研究機関等において適切に実施されるべきものと考えているところ、各基本指針において、研究機関等の長は、動物実験の各基本指針への適合性に関し自ら点検及び評価を実施した結果について「当該研究機関等以外の者による検証を実施することに努める」こととしており、動物実験の実施に当たり、お尋ねの「外部からの評価」の機会についても各研究機関等において適切に確保されるべきものであると考えている。
 以上のことから、これらに加えて、お尋ねの「国内で統一された登録・報告・公開制度を整備する」ことや「公開された動物実験の計画に対する外部からの評価制度・・・を義務付ける」ことは考えていない。

一の2について

 お尋ねの「実験計画の事前登録制度および研究成果との連動による動物実験の追跡可能性の確保」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、動物実験計画及びその実施の結果の把握については、文部科学省基本指針、厚生労働省基本指針及び農林水産省基本指針において、研究機関等の長は、一の1についてで述べた動物実験計画の申請の承認を行った上で、当該動物実験の終了後に、動物実験計画の実施の結果について「報告を受け、必要に応じ適正な動物実験等の実施のための改善措置を講ずる」こととしており、このような仕組みの下で、各研究機関等において適切に実施されるべきものであると考えていることから、これに加えてお尋ねの「実験計画の事前登録制度」を導入することや動物実験計画と「研究成果との連動による動物実験の追跡可能性」を「確保」することは考えておらず、お尋ねの「導入の可否と課題」についてお答えすることは困難である。

二の1について

 お尋ねの「動物実験に関する倫理委員会」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが文部科学省基本指針、厚生労働省基本指針及び農林水産省基本指針における「動物実験委員会」を意味するものであれば、当該委員会に関する情報を公開するか否かについては、各研究機関等において適切に判断されるべきものであると考えており、お尋ねの「制度設計」は検討していない。

二の2について

 お尋ねの「現行の機関ごとの倫理審査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省基本指針、厚生労働省基本指針及び農林水産省基本指針において、研究機関等の長は、一の1についてで述べたとおり、「当該研究機関等以外の者による検証を実施することに努める」こととしていることから、これに加えてお尋ねの「第三者審査機関を制度化する考え」はない。

三の1について

 お尋ねの「原則禁止とする制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「代替技術が存在する場合」であっても、各研究機関等における実験の実施上の都合等により代替法の利用が難しい場合もあると考えられるところ、実験動物の利用を否定すべきとは考えていないことから、実験動物の利用を何らかの形で禁止することは考えていない。

三の2について

 お尋ねの「定義の明確化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成十八年環境省告示第八十八号。以下「実験動物基準」という。)における「実験動物」の定義については、実験動物基準が対象とする動物の分類群は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第十条第一項の規定により取扱いを業として行う場合に第一種動物取扱業の登録が必要となる同項に規定する動物の分類群や、同法第四十四条第一項から第三項までの規定により虐待行為等が禁止されている同条第四項に規定する愛護動物の分類群と同様のものであり、また、当該定義に起因する問題が生じているとは政府として認識していないことから、お尋ねの「保護対象の拡大」を含む定義の変更は検討していない。

四について

 お尋ねの「代替技術に対する開発支援基金」及び「臓器チップやシミュレーション技術等の標準化・実装センターおよび民間企業・大学・行政の共同研究拠点」への「支援制度」並びに「中小企業や化粧品・化学産業における代替技術導入の初期コストに対する補助制度」については現時点で検討していないが、いずれにせよ、政府としてはこれまでも動物実験に係る代替技術の活用促進に関する支援を行っており、引き続き、必要な支援を行ってまいりたい。

五について

 教育訓練の機会については、文部科学省基本指針、厚生労働省基本指針及び農林水産省基本指針において、研究機関等の長は、動物実験の実施者等の資質向上を図るために必要な教育訓練等の措置を講ずることとし、各研究機関等において適切に確保されるべきものであると考えていることから、お尋ねの「教育訓練制度を義務付ける」ことや「資格制度や更新時の教育の導入によって、動物実験の質の均質化と制度的信頼性を高める」ことは考えていない。

六について

 お尋ねの「監視委員会」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、実験動物基準、文部科学省基本指針及び厚生労働省基本指針の策定等に際し、多様な有識者や関係者が参画する審議会において議論や関係団体からの意見聴取を行うとともに、パブリックコメントを実施するなど、動物実験に係る施策については、広く国民の意見を踏まえて実施しているところであり、これに加えてお尋ねの「対話型政策形成を推進するための仕組みを整備する」ことは考えていない。

七について

 お尋ねの「動物避難や管理体制」については、実験動物基準において、「管理者は、関係行政機関との連携の下、地域防災計画等との整合を図りつつ、地震、火災等の緊急時に採るべき措置に関する計画をあらかじめ作成するものとし、管理者等は、緊急事態が発生したときは、速やかに、実験動物の保護及び実験動物の逸走による人への危害、環境保全上の問題等の発生の防止に努めること」としており、各研究機関等において適切な措置が講じられるべきものであると考えているところ、これに加えてお尋ねの「法的・制度的な整備」を行うことは考えていない。

八の1について

 お尋ねの「実験動物との制度的ギャップ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、動物実験に係る施策については、六についてで述べたとおり、広く国民の意見を踏まえて実施しているところであり、これに加えてお尋ねの「国民的対話の場を設ける」ことは考えていない。

八の2について

 お尋ねの趣旨及び「教育機関」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)、中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)及び高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)において、生命を尊重する態度を養うこと等について規定していることに加え、例えば、動物実験については、「高等学校学習指導要領(平成三十年告示)解説理科編 理数編」(平成三十年七月文部科学省・令和三年八月一部改訂)において、「動物を用いた実験を行う際には、・・・動物の愛護及び管理に関する法律(いわゆる動物愛護管理法)など、関連法令に従い適切に行う必要がある」としており、お尋ねの「整合性」に問題があるとは考えていない。

九について

 お尋ねの「科学的信頼性・倫理的正当性・社会的説明責任」に関しては、実験動物基準、厚生労働省基本指針、文部科学省基本指針及び農林水産省基本指針において、「動物実験責任者」は、「動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する等の観点から」「動物実験等を適正に実施する」こと、「科学上の利用に必要な限度において、できる限りその実験動物に苦痛を与えない方法」により動物実験を行うこと、研究機関等の長は動物実験の各基本指針への適合性に関し自ら点検及び評価を行った結果等の動物実験に関する情報を適切な方法により公表すること等としており、お尋ねの「制度設計を中長期的に構築する」こと、そのための「具体的なロードマップを策定する」こと及び「動物実験制度の再構築に取り組む」ことは考えていない。

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