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答弁本文情報

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令和七年六月十三日受領
答弁第二一四号

  内閣衆質二一七第二一四号
  令和七年六月十三日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員阿部知子君提出看護基礎教育現場におけるハラスメント防止と看護師養成教育の質の保障に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出看護基礎教育現場におけるハラスメント防止と看護師養成教育の質の保障に関する質問に対する答弁書


一について

 看護師等養成所における御指摘の「ハラスメントの実態」については、令和四年度に厚生労働省が都道府県を対象として実施した「看護師等養成所における学生支援体制に関するアンケート」等を通じて把握しているところ、同省が令和六年度から実施している御指摘の「地域強化型看護基礎教育カリキュラム調査検証事業」については、「地域強化型看護基礎教育カリキュラム調査検証事業一式 仕様書」に基づき、「次回のカリキュラム改正の検討に必要な情報の収集と、令和四年度からの新カリキュラムの効果を検証するため、実習場所・教育内容や方法・卒業時到達度等の調査を行う」こととしているが、当該調査の中で、御指摘の「ハラスメントの実態に関する調査」を行う予定はない。

二の1について

 お尋ねについて、「専任教員養成講習会及び教務主任養成講習会ガイドライン」(平成二十二年四月五日付け医政看発〇四〇五第三号厚生労働省医政局看護課長通知別添。以下「講習会ガイドライン」という。)において、都道府県に対して、「教員に求められるもの」として「教員として学生の人権を擁護するとともに、学生が人間の尊厳や倫理について考察できるように指導を行うこと」等と示し、また、保健師助産師看護師法施行令(昭和二十八年政令第三百八十六号。以下「施行令」という。)第十四条第一項の規定において、「指定学校養成所の設置者は、毎学年度開始後二月以内に、主務省令で定める事項を行政庁に報告しなければならない」と、施行令第十五条の規定において、「行政庁は、指定学校養成所につき必要があると認めるときは、その設置者又は長に対して報告を求めることができる」とし、さらに「第十一条第一項に規定する主務省令で定める基準に照らして、指定学校養成所の教育の内容、教育の方法、施設、設備その他の内容が適当でないと認めるときは、その設置者又は長に対して必要な指示をすることができる」としているところ、行政庁である各都道府県において、御指摘の「特に退学・留年・休学が多発している看護専門学校」も含め、「専任教員として適切な人材の採用が担保されているか」等の「教育現場の実態」について、適切に把握されるべきものと考えており、現時点において、政府として当該実態の調査を行う予定はない。

二の2について

 御指摘の「専任教員の採用」については、二の1についてで述べたとおり、各都道府県において、その実態について適切に把握されるべきであり、その上で、適切に対応すべきものと考えており、御指摘のような「性暴力と同様に、・・・教員採用段階において何らかの取組」を講ずることについては、慎重に検討すべきものと考えている。

三の1及び四の1について

 御指摘の「看護基礎教育の基盤となる能力の習得に照らして、・・・カリキュラムは十分」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、お尋ねの「何時間か」については把握していないところ、令和四年十一月八日の参議院厚生労働委員会において、政府参考人が「パワーハラスメント防止も視野に入れた学生との関わり方に関する教材を作成いたしまして、都道府県等が開催しております看護教員を対象とした研修会でも使用しているところでございます」と述べているとおり、御指摘の「専任教員養成講習会」及び「教務主任講習会」も含め、当該研修会を開催する都道府県等において、当該教材を使用し、御指摘の「ハラスメントに関する研修」が適切に実施されているものと承知しており、引き続き、当該研修の実施について周知してまいりたい。

三の2及び四の3について

 御指摘の「専任教員資格要件」及び「教務主任資格要件」を「義務化すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これらの「資格要件」を保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和二十六年文部省・厚生省令第一号。以下「指定規則」という。)に規定すべきとの御質問であるとすれば、施行令第十六条第一項の規定において、「行政庁は、指定学校養成所が・・・主務省令で定める基準に適合しなくなつたと認めるとき・・・は、その指定を取り消すことができる」としているところであり、これらの「資格要件」を指定規則に規定することは、その影響等も踏まえ、慎重に検討すべきものと考えている。
 なお、御指摘の「専任教員養成講習会」及び「教務主任養成講習会」の受講を促進するため、平成二十五年度から、就労しながらでもこれらの講習会を受講できるよう、講習会ガイドラインに示す「eラーニング」を導入するとともに、受講の機会を拡大するため、平成二十六年度から、地域医療介護総合確保基金事業による「看護師等養成所における教育内容の向上を図るための体制整備」事業において、都道府県等におけるこれらの講習会の開催経費の補助等の支援を行っているところである。

四の2について

 看護師等養成所における教員の配置状況、教育の内容、教育の方法等に関しては、各都道府県において、施行令第十四条第一項及び第十五条の規定に基づき、各看護師等養成所からの報告の内容に応じ、必要な指示を行っているものと承知しており、政府としては、御指摘の「指導」は行っていない。

五について

 御指摘の「外部の第三者による相談体制の整備」に関しては、令和六年に厚生労働省が一般社団法人日本看護学校協議会に委託して作成した「看護師等養成所におけるハラスメント対応事例収集事業報告書」(以下「ハラスメント対応事例収集事業報告書」という。)において、「相談窓口が内部のみでは、ハラスメントを相談すること自体を躊躇することも想定されることから、看護学校として外部機関の相談窓口も用意することが理想」と、また、御指摘の「学生保護者等への周知徹底」に関しては、ハラスメント対応事例収集事業報告書において「大学などでは、リーフレットを利用して、ハラスメントの概念やハラスメントを受けたり発見したりした場合の相談窓口を周知しているところも多い。看護学校においても検討する必要がある」と記載され、さらに、御指摘の「通報や相談に対して解決までのフロー」に関しては、ハラスメント対応事例収集事業報告書の「事例集」により、「考えられる対応案」として、「行政」、「養成所」及び「法律家」の「立場から」のもの等が記載されているところ、これらについて、「「看護師等養成所におけるハラスメント対応事例収集事業報告書について」(周知)」(令和六年五月十七日付け厚生労働省医政局看護課事務連絡)において、都道府県を通じて各看護師等養成所に対して周知を図るとともに、同省のホームページで公表しており、引き続き、こうした周知を進めてまいりたい。

六の1について

 御指摘の「学生からのハラスメントに関する個別の相談」の内容は様々であることから、一律に「各都道府県の看護師等養成所の所管部局において対応する」のではなく、「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」(平成二十七年三月三十一日付け医政初〇三三一第二十一号厚生労働省医政局長通知別添。以下「看護師等養成所運営指導ガイドライン」という。)において、看護師等養成所で、「学生の生活やハラスメント等に対する相談、カウンセリング等を行う者が定められ、当該者が必要な支援を受けられる体制の確保等の工夫を講じることが望ましいこと。加えて、看護師等養成所内のハラスメント防止に必要な体制を整備することが望ましいこと」と示し、また、ハラスメント対応事例収集事業報告書においては、学生からの「相談」に対する「行政の立場」からの考えられる対応案についても記載がされているところであり、相談内容に応じて、都道府県又は看護師等養成所のいずれも、御指摘の「相談窓口」になることがあると考えている。

六の2について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「教員から学生へのハラスメント禁止」については、ハラスメント対応事例収集事業報告書や研修等を通じて、明確にしているものと考えており、また、指定規則に規定することについては、慎重に検討すべきものと考えている。

七について

 御指摘の「当該臨地実習に必要な書類の作成等」については、様々な内容等が考えられるため、当該作成等に係る時間について、一律に「臨地実習」の時間に含むべきではないと考えており、看護師等養成所運営指導ガイドラインにおいて、「臨地実習は、実践活動の場において行う実習のみを指すものであること。ただし、臨地実習を充実させるために、実践活動の場以外で行う学習の時間を臨地実習に含めて差し支えない」と示しているところである。

八について

 お尋ねについては、先の答弁書(令和七年三月七日内閣衆質二一七第六七号)一及び二についてでお答えしたとおりである。

九について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「義務」等について指定規則に規定することについては、三の2及び四の3について並びに六の2についてで述べたとおり、慎重に検討すべきものと考えており、また、御指摘の「配置基準」については、指定規則第四条において規定しているところである。

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