答弁本文情報
令和七年六月二十四日受領答弁第二六一号
内閣衆質二一七第二六一号
令和七年六月二十四日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員中谷一馬君提出同姓同名の者が立候補する選挙に係る問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中谷一馬君提出同姓同名の者が立候補する選挙に係る問題に関する質問に対する答弁書
一の1について
選挙における通称(戸籍簿に記載された氏名(以下「本名」という。)以外の呼称で本名に代わるものとして広く通用しているものをいう。以下同じ。)に係る選挙長の認定(以下「通称認定」という。)については、公職選挙法施行令(昭和二十五年政令第八十九号。以下「令」という。)第八十八条第八項(同条第九項及び第八十九条第五項において準用する場合を含む。)及び第八十八条の三第七項(令第八十八条の五第七項において準用する場合を含む。)に規定されており、通称認定を受けることにより、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第八十六条第十三項の告示等に、候補者届出政党の届出に係る候補者等の氏名が記載され、又は使用される場合において、本名に代えて通称が記載され、又は使用されることとなる。
令の通称認定に係る規定については、昭和三十九年に設けられたものであるが、それ以前から本名以外の呼称による立候補は認められていたところ、これが濫用された事例もあったこと等から、明文の規定として設けられたものである。また、その趣旨は、当該候補者等によっては、通称を有している場合に、本名により立候補するときは著しく不利な立場に置かれることも考えられるため、通称認定を受けた場合に限り、通称が記載され、又は使用されることを認めているものである。
一の2について
候補者届出政党等が、法第八十六条第十三項の告示等に、本名に代えて通称が記載され、又は使用されることを求めようとするときは、令第八十八条第八項等の規定により、通称認定申請書を提出するとともに、選挙長に申請された呼称が本名に代わるものとして広く通用しているものであることを説明し、かつ、そのことを証するに足りる資料を提示しなければならないとされており、選挙長はこれらの説明及び提示された資料を踏まえ、当該選挙の行われる区域において本名に代わるものとして申請された呼称が広く通用していると認められる場合に限って、通称として認定をするべきものと解されている。
一の3について
過去十年間の衆議院比例代表選出議員及び参議院比例代表選出議員の選挙において、衆議院名簿届出政党等及び参議院名簿届出政党等から通称認定申請書が提出された呼称のうち、選挙長が通称として認定しなかったものは存在しない。
また、衆議院比例代表選出議員及び参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙については、把握していない。
二の1について
同一の選挙に、同一の氏名の公職の候補者がある場合において、これらの候補者に対する投票については、例えば、氏名のほかに投票に記載された職業、身分又は住所の類により、区別されることがあるものと考えられる。
二の2について
衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙においては、法第六十八条の二第一項の規定により、同一の氏名、氏又は名の公職の候補者が二人以上ある場合において、その氏名、氏又は名のみを記載した投票は、法第六十八条第一項第八号の規定にかかわらず、有効とすることとされており、当該投票は、法第六十八条の二第四項の規定により、開票区ごとに、当該候補者のその他の有効投票数に応じてあん分し、それぞれこれに加えるものとされている。
また、参議院比例代表選出議員の選挙においては、同条第三項の規定により、氏名、氏又は名が同一である参議院名簿登載者(公職の候補者たる者に限る。)が二以上ある場合において、その氏名、氏又は名のみを記載した投票は、法第六十八条第三項第十号の規定にかかわらず、有効とすることとされており、当該投票は、法第六十八条の二第五項の規定により、開票区ごとに、当該参議院名簿登載者のその他の有効投票数に応じてあん分し、それぞれこれに加えるものとされている。
二の3について
御指摘の「同姓同名の候補者が同じ選挙に立候補している状態を意図的に作り出す行為」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、法第八十六条の八等の規定により公職の候補者となることができない者ではない限り、公職の候補者となることができるものである。
なお、市町村の選挙管理委員会は、法第百七十五条第一項及び第二項の規定により、投票所内の投票の記載をする場所その他適当な箇所又は期日前投票所内の適当な箇所に、参議院比例代表選出議員の選挙にあっては参議院名簿届出政党等の名称及び略称並びに参議院名簿登載者の氏名の、衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙にあっては公職の候補者の氏名及び党派別(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあっては、当該候補者に係る候補者届出政党の名称)の掲示をしなければならないとされているほか、同一の選挙に同一の氏名の公職の候補者がある場合には、例えば、当該掲示に年齢等を付記する例もあると承知しており、選挙人がこれらの候補者を区別することができるよう努めているものと承知している。