答弁本文情報
令和七年八月十五日受領答弁第一九号
内閣衆質二一八第一九号
令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員鈴木敦君提出政見放送の情報アクセシビリティに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木敦君提出政見放送の情報アクセシビリティに関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねについては、令和七年三月二十五日の参議院政治改革に関する特別委員会において、政府参考人が「NHKによりますと、全国のほとんどの放送局では字幕付与に対応できる専門的なノウハウと技術を持った人材や会社が地域にないのが実態で、加えて、字幕を付与するための機材の整備などの課題もあるとのことであり、現状としては限られた期間に全ての選挙区で対応することは困難な状況であるとのことで、事情は変わっていないというふうに聞いてございます。」と答弁しているとおりである。
一の2について
公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第百五十条第一項の規定により、候補者届出政党又は公職の候補者が録音し又は録画した政見をそのまま放送する場合においては、政見放送に手話通訳や字幕を付することが可能であるが、手話通訳や字幕を付するかどうかは、各候補者届出政党又は公職の候補者により判断されているものと考えている。
一の3について
お尋ねの「参議院比例代表選挙と同等もしくはそれ以上の水準」及び「導入する制度整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、衆議院比例代表選出議員の選挙及び都道府県知事の選挙の政見放送において手話通訳を付することは可能であり、また、字幕を付することについては、一の1についてでお答えした理由により、現時点では困難であると考えている。
都道府県知事の選挙の経歴放送(法第百五十一条の経歴放送をいう。以下同じ。)において手話通訳や字幕を付することについては、手話通訳や字幕を付することに関する要望の有無や日本放送協会(以下「協会」という。)及び基幹放送事業者(法第百五十条第一項に規定する基幹放送事業者をいう。以下同じ。)の実務上の課題等現状の把握に努めてまいりたい。
一の4について
お尋ねの「導入する制度整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一の2についてでお答えしたとおり、手話通訳や字幕を付することが可能である。
二について
経歴放送において手話通訳や字幕を付することについては、手話通訳や字幕を付することに関する要望の有無や協会の実務上の課題等現状の把握に努めてまいりたい。
三の1について
お尋ねの「政見放送における手話通訳や字幕の付与の現状が、同条約と同法律の趣旨を満たしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)の趣旨も踏まえ、聴覚障害者等に配慮し、手話通訳士の確保状況や協会及び基幹放送事業者の体制等、環境が整った選挙から順次政見放送において手話通訳や字幕を付することを可能としており、政見放送が実施されている選挙においては、手話通訳又は字幕のどちらか一方は付することが可能となっている。
また、政府としては、障害者に対する公職の候補者等に関する情報提供の充実を図ることは重要な課題であると認識しているが、政見放送において手話通訳や字幕を付することを義務付けることについては、選挙運動の在り方に関わる問題であることから、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えている。
三の2について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、手話通訳については、政見放送が実施されている全ての選挙において付することが可能となっており、お尋ねのように「現状の対応策が十全でない」とは考えていない。
四について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「動画共有プラットフォームで政党や候補者が公開している動画を以て政見放送の不足を補う」という考えを有していないため、お尋ねの「自動字幕機能の精度が公的情報の補完手段として適切な水準にあるか」について評価することは困難である。
五の1について
協会又は基幹放送事業者が行う政見放送及び経歴放送に係る経費の支払基準については、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律(昭和二十五年法律第百七十九号)第十一条の規定により、総務大臣が定めることとされているところ、総務省において、手話通訳や字幕を付した場合における経費についても、それぞれ算定しており、協会又は基幹放送事業者に周知の上、衆議院比例代表選出議員の選挙及び参議院比例代表選出議員の選挙については同基準により同省が協会又は基幹放送事業者に支払っており、これら以外の選挙についても同基準により支払うことを各都道府県選挙管理委員会に要請している。
五の2について
お尋ねの「政府が公的に支援する計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省において、政見放送における手話が可能な手話通訳士を十分に確保するため、平成二十九年度から研修会を開催しており、引き続き必要な研修を実施してまいりたい。
五の3について
協会又は基幹放送事業者が行う政見放送及び経歴放送に係る経費の支払基準については、物価変動等を踏まえて改定しており、今後も同様に改定していくこととしている。