答弁本文情報
令和七年十二月五日受領答弁第九一号
内閣衆質二一九第九一号
令和七年十二月五日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員長友よしひろ君提出法人版事業承継税制の特例措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長友よしひろ君提出法人版事業承継税制の特例措置に関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「政府は本特例措置の利用に関する数値目標を設定していない旨の説明を従来より行っている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「法人版事業承継税制」は中小企業が事業承継を行う際に活用することができる非上場株式等に係る相続税及び贈与税の納税猶予の特例であり、中小企業における資産及び負債の状況や株主構成が様々であることに加え、事業承継の時期が異なることから、お尋ねの「本特例措置」については具体的な数値目標を設定することは困難と考えているためである。
一の2について
お尋ねの「納税猶予の適用件数」及び「実行率」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。その上で、「本特例措置」が創設された平成三十年度から令和六年度までの間の各年度における@「特例承継計画の提出件数」及びA「認定件数」について、中小企業庁が各都道府県を通じて調査した結果をお示しすると、令和六年度末時点で次のとおりである。なお、令和六年度におけるAの件数については現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。
平成三十年度
@二千九百三十六件 A九百三十九件
令和元年度
@三千四百五十一件 A千六十件
令和二年度
@二千八百八件 A千百十二件
令和三年度
@二千六百六十一件 A千百四十八件
令和四年度
@二千六百九十件 A千四十三件
令和五年度
@五千五百三十一件 A九百五十三件
令和六年度
@千六百七十一件
一の3について
前段のお尋ねについては、中小企業庁が設置した「中小企業の親族内承継に関する検討会」(以下「検討会」という。)において、御指摘の「法人版事業承継税制の特例措置」の効果検証等を実施しているところ、第二回検討会において同庁が提出した資料一「親族内承継に係る施策の効果検証と今後の検討の方向性について」において示しているとおり、「法人版事業承継税制について、一般措置については、平均二百五十件/年程度の活用件数であった」一方、一の2についてでお示しした御指摘の「認定件数」に基づくと、「本特例措置」の「認定件数」は年平均約千件に増加していることから、「法人版事業承継税制」の活用の促進に一定の効果があったと考えている。
後段のお尋ねについては、今後、御指摘の「特例承継計画の提出期限」等が到来することを見据え、事業承継を検討している中小企業の経営者が「本特例措置」の最大限の活用を図るように促していくことが重要であると考えている。
二について
事業承継に係る政策の在り方については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)において「事業承継税制(特例措置)に関し、令和七年度与党税制改正大綱の記載に鑑み、事業承継に係る政策の在り方の検討を進めるとともに、後継者の経営能力の育成に取り組む。」としていること等を踏まえ、今後必要な検討を進めていくこととしているため、お尋ねの「適用期限の延長、又は本特例措置終了後に類似の新たな特例措置の創設を検討しているか否か」、「いつ頃を目途に今後の事業承継税制の在り方に関する具体的検討を行うのか」及び「どのように制度設計する必要があると認識しているのか」については現時点でお答えすることは差し控えたい。

