答弁本文情報
令和八年七月七日受領答弁第二一号
内閣衆質二二一第二一号
令和八年七月七日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 森 英介 殿
衆議院議員長妻昭君提出看護・介護・保育分野における有料職業紹介手数料の透明化及び上限規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出看護・介護・保育分野における有料職業紹介手数料の透明化及び上限規制に関する質問に対する答弁書
一について
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十二条の十三、職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)第二十四条の五第二項等の規定に基づき、有料職業紹介事業者(職業安定法第三十二条の三第一項に規定する有料職業紹介事業者をいう。以下同じ。)は、求職者に対し、求職の申込みを受理した後、速やかに、取り扱う職種の範囲、徴収する手数料に関する事項、苦情の処理に関する事項等について、書面の交付等の方法により明示しなければならないこととされており、厚生労働省としては、求職者が有料職業紹介事業者を選択するに当たって、各有料職業紹介事業者におけるこのような事業の内容全般に関する基本的な事項をあらかじめ把握することは重要であると考えているが、求職者が御指摘のような「自らの就職・転職に伴い求人者側に発生する」個別の「紹介手数料の金額又は料率」を把握することまでは必ずしも必要となるものではなく、お尋ねの「実態」自体が問題であるとは考えておらず、また、お尋ねのように「有料職業事業者に対し、(中略)義務付ける」ことまでは必要ではないと考えている。
二について
御指摘の「手数料実績公開制度」については、職業安定法第三十二条の十六第三項及び職業安定法施行規則第二十四条の八第三項の規定に基づき、「取扱職種ごとの常用就職一件当たりの平均手数料率」等の「実績」を「公開」するものであるところ、厚生労働省としては、「求職者本人」が「自らの就職・転職に伴って具体的にどの程度の紹介手数料が発生するのか」について「公開」することまでは必ずしも必要ではないと考えている。「現行の手数料実績公開制度が、求職者本人に対する情報提供として十分であると考えているのか」とのお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「求職者本人に対する情報提供」については、一についてで述べたとおり、求職者が有料職業紹介事業者を選択するに当たって、職業安定法第三十二条の十三、職業安定法施行規則第二十四条の五第二項等の規定に基づき、必要な「情報提供」がなされているものと考えている。
三について
御指摘の「紹介手数料」の水準は労働市場の需給の状況に応じて変動し得るものであり、また、職業紹介に要する経費も求人の内容に応じて様々であるため、お尋ねのような「紹介手数料について年収に対する一定割合又は一定金額を上限とする規制」を一律に設けることは困難であると考えており、また、令和八年六月二日の参議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「仮に上限を高く設定した場合は、高い水準に収れん、固定化してしまうリスクがある、また、過度に低く設定した場合には、現場の体制維持が困難となるおそれがあるというようなお話もいただいておりますので、上限規制自体については厚生労働省としても同様の観点から慎重な検討が必要だと考えております」と答弁しているとおりである。
四について
御指摘の「求職者への情報提供」については、一について及び二についてで述べたとおり、「不十分」であるとは考えておらず、お尋ねの「求職者への」自らの「紹介手数料の事前告知」のような「制度見直し」は考えていない。
お尋ねの「手数料上限規制」に関しては、三についてでお答えしたとおりである。
お尋ねの「短期離職時の返戻金制度の義務化」については、「短期離職時」に、有料職業紹介事業者と就職先との間に「紹介手数料」の支払に関する問題が生じているとの指摘を踏まえ、職業安定法第四十八条の規定に基づき定めた「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(平成十一年労働省告示第百四十一号。以下「職業紹介事業者等指針」という。)において、「返戻金」制度を設けることを推奨しているところであるが、有料職業紹介事業者が提供するサービスの内容や、職業紹介のあっせんに要する費用等が様々であること、また、離職の原因は必ずしも有料職業紹介事業者によるものとは限らないことを踏まえると、有料職業紹介事業者に対して一律に「返戻金」の支払を義務付けることまでは困難であると考えている。
お尋ねの「過度な転職勧奨への規制強化」については、職業紹介事業者等指針において、有料職業紹介事業者が求職者に対して金銭等を提供すること及びその紹介により就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る。)に対して当該就職した日から二年間転職の勧奨を行ってはならない旨を示しており、さらに、令和七年一月からは、職業安定法第三十二条の五第一項及び第三十二条の九第一項第三号の規定並びに令和六年九月三十日付け厚生労働省職業安定局長通達「「職業紹介事業の業務運営要領」の一部改正について」別添「職業紹介事業の業務運営要領」に基づき、これらを行わないことを有料職業紹介事業の許可の条件とするとともに、当該条件に違反した場合には、当該許可の取消しを行うことができることとしているところであり、現時点で更なる「規制強化」を行うことは考えておらず、こうした取組を適切に進めてまいりたい。

