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昭和二十五年七月十七日提出
質問第一九号

 反米鬪争の取締対策並びに吉田総理大臣の施政方針演説に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十五年七月十七日

提出者  (注)田甚太(注)

          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿




反米鬪争の取締対策並びに吉田総理大臣の施政方針演説に関する質問主意書


一 最近反米鬪争取締の名において武裝警官が盛んに活動し、各種民主団体の事務所を襲い、その関係者を検挙しているが、反米鬪争対策というものは、出版物の禁止、事務所の搜索、押收、集合の禁止、階級組織体の関係者検挙等、いわゆるコン棒とピストルにものをいわせた彈圧政策一点張りであるが、それ以外に取締対策があれば明示されたい。
二 占領が長期にわたつた結果として、反米鬪争参加者が増加したか、減少したか、政府の取締対策より総合して、結果を数的に示されたい。
三 親米政策一偏倒の戰後日本政治の下で、どうして反米鬪争の取締が問題にされねばならなくなつて来たのか、反米派のよりどころとする処を政府は何と見るか。
四 吉田首相は、その施政方針演説において「今回の地方税法の改正案によれば、税種によつて若干負担が増加するものもある。」といつているが、その税種とは何で、どの程度負担が重くなるか。
五 吉田首相は「朝鮮戰争に対する国連の措置は、わが国人心の安定に益する処が大きい。わが国としては、可能な範囲でこれに協力することは当然である。」と不見識な見栄を切つているが、日本人と在日米軍の場合、米軍は占領軍であり、占領は日本の地域を事実上米軍並びにその同伴国軍隊権力の下に支配することではないか。日本に勝ち、強いと思われている軍隊が、そのままであり、北鮮軍が鎭圧されるものとしての仮定の上で、吉田首相はわが国人心の安定に益するところが大きいといつているのか。それとも日本は米軍の軍事力の中にあるものだという点がハツキリしたから、安心せよといつているのか。「わが国としては可能な範囲でこれに協力する」という可能なる範囲をどの程度いかなる資格でなすのか、具体的に示されたい。軍事上の秘密に属するから答えられぬというならば、その点をも明示されたい。
  武裝警官をふやし、海上保安隊を増員し、古船を修理し、日本の鉄道でどしどし軍需品を運搬していれば良いということか。
六 「独立心、愛国心なきものが国際的に寄與する筈がない。」といつているが、独立心、愛国心ということは、親米、反ソ、反中共的ということか。
  国際的に寄與するとは、米国とは戰わず、ソ連、中共をも敵視せず、ともに親しく接近するということでないのか。
  「全面講和や永世中立、又は戰争不介入などの論議は自らを共産党の謀略に陷しいれる危險思想である。」とは、いかなる目的でいつているのか。首相は第二次大戰(日支事変、大東亜戰争とも呼ばれていた。)の際、日本は初め何国といかなる理由で戰つたと思つているのか。近衞の対支三原則は、何国に出したのか。戰争は中国と始まり、途中において米国が戰争に卷き込まれて来たのではないか。戰争の原因発端は中国とであり、その原因であり、当事国であつた中国と講和を結び、貿易を盛んにせずして、日本敗戰後の経営が全くできたと思つているのか。その中国本土は、すべて吉田政府が嫌う中共政権であるということをハツキリ認識しているのか。全面講和のどこが危險なのか。ポツダム宣言より見て、吉田首相がいう單独講和への独断こそ老人の短慮より出た世界の全面講和に寄與しない危險思想ではないか。
  戰争不介入の論議は何故惡いのか。日本は、国連加盟国でもなければ、国連もまた二つの陣営に分かれて紛争が常に絶えないではないか。国連にも入れてもらえないでいる今の日本は、この二つの陣営にともに信じて貰らわねば国連に加盟できぬ敗戰下占領が未だ続いている日本であるということを吉田首相にはわかつているのか。
  いかに占領下とはいえ、吉田首相は現在日本の首相であるが、日本の歴史は長いのだ。一時の圧力に屈して日本百年の大計を誤つてはならぬ。米英とは講和を結ぶが、ソ連、中共には敵対するというようなことをいわねばならないような何か武力的な圧力でも感じているのか。
  朝鮮の内戰は、一国の一民族が自らの国の政治の形を決めるために、西欧民主主義なんて勝手なことをいつている米英の先人達も、かつては自国内でやつた先例に従つて国を思う赤心より北と南に分かれてやつている政治行動ではないか。
  国連にも加盟できない日本が、北鮮が惡くて、南鮮が良いなんて下手に力みかえつて、日本を損う愚策をとるべきではない。
  吉田政府は日本国内の失業苦、重税苦、農業恐慌等の解決のために一意專心これ努めた方が分相応ではないか、何故全面講和や、永世中立、戰争不介入が危險なのか答えられたい。
七、ソ連、中国(中共)と講和が結べないように宣伝する政府見解の基礎を明らかにされたい。ソ連、中共のどのような点が日本に対して侵略的なのか、具体的事例を挙げて明示されたい。
八、吉田首相は、施政演説で公務員の給與ベースについては、公務員諸君の協力を得て来たといつているが、公務員は現行給與ベース反対及びその改訂を望んだ者の方が多いのではないか。政府が協力を得たという理論的、数的根拠は何か。又現行給與ベース改訂のために種々なる形式で政府に対して陳情、請願、ストが行われている筈であるが、給與べース改訂に関する紛争の一切を数的に発表されたい。
九 「公務員の給與ベースは、国家財政の許す限度及び時間において給與ベースの増額に努力せん。」といつているが国家財政の許す限度とはどの位か。又その限度をいつ頃より、いかなる方法で、どの機関で調査中であるか。いつ頃よりどの位増額するかということを、どういう形式でいつ発表する考えか。
十 日本共産党機関紙アカハタは、期日が来ても発行禁止は解かないつもりか。

 右質問する。





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