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昭和二十六年五月三十一日提出
質問第八二号

 果実エツセンスの物品税に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和二十六年五月三十一日

提出者  上林與市(注)

          衆議院議長 林 讓治 殿




果実エツセンスの物品税に関する再質問主意書


一 食品加工用の果実エツセンスは、もつぱらし好的に用いられるという答弁であるが、し好的な物品であるかないかの判定規準は、われわれ日常生活を基礎として各種物品が他物品に比しより必要であるかどうかという見地よりその使用上の相関的価値判断のいかんに基くものと考えられるもので、同答弁書第三項の沢あん漬その他の漬物類等の著色に使用する食用色素が、果実エツセンスに比較してよりし好的性格が少ないという理論は成立しない。
  すなわち沢あん漬その他の漬物類自体は果実エツセンスより必要度が高いことについては何等異論はないが、この漬物類はその物自体自然の色彩を有し色素を用いないことによりわれわれが食用に供するとき特に醜汚の感覚をじやつ起せしめる等、特に予測される不都合は全くないものと考えられる。
  又食用色素について特に漬物類の著色を強張して答弁されているが、われわれ日常生活上この色素について恩惠にあずかる率は漬物類よりむしろ果実エツセンスの用途と全く同様の用途部面に多いことは衆知の事実である。しかも色素にこの漬物類及びその他用途に対しても絶対の要件とはならぬものであるが、各種食品飮料等に芳香がない場合を想起すれば、食用色素と比較して果実エツセンスがいかにわれわれにとり必要度の高いものであるかは論をまたぬところである。ことにわが国現在の食糧政策として一般国民に対し極力粉食を奬励されているが、米食の粉食への切換えが思わしくないのはただわれわれの習慣によるばかりでなく現状粉食加工技術の拙劣なるためで適当なる調味加工料により進んで国民のし好を粉食に切り換える積極的な努力を必要としこの点においても果実エツセンスの役割は今後益々高まるものと思われる。
  また従来物品税法課税品目中に各種食品加工料は、同種物品として一括取扱いをなされていたものであるが、以上述べた通り御答弁中食品加工料の内、特に果実エツセンスをし好物とされる根きよがないように思われるのでこの点について御伺いしたい。
二 御答弁中第二項について、重ねて果実エツセンスがし好品なる点くり返して御答弁されているがこの点については第一項において述べたので申し上げない。又同項中特にぶどう糖、水あめ等と果実エツセンスを比較されているが、このぶどう糖、水あめ等は砂糖と同種物品であり、人工甘味料と並んで砂糖消費税の関連により課税の均衡を図る目的をもつて特に物品税を課されているものと思うが、果実エツセンスとこれら甘味料は同一種類物品とは見なされない。
  戰時統制経済より自由経済に復帰しつつある今日、政府において現在の財政状況より特に一定産業を圧迫する物品税の如き惡税になお依存せねばならぬ苦衷は了解されるとしても、明烽ネる正しき政治を標傍せられる政府が同一種類物品に対し片手落の措置を採られることは誠に遺憾のきわみというべく、本質問の主旨は課税の均衡が問題であるのでこの点御考慮願いたい。
三 われわれ日常生活面においてそれぞれ異種の物品相互間の重要度の軽重は判断致し難いものであることは了解されると思うが、御答弁第四項にこのそれぞれ異種の物品の比較を問題としておられる点はまつたく当を逸したもので、われわれの概念上食品加工料として同一種類と目される物品の中から特に果実エツセンスのみ別扱いされる理由が判然としない。
  又昭和二十六年度果実エツセンス物品税額推定は業者五十余名に対し約壱千七百万円(業者平均約参拾万円)で同程度の收入は物品税中決して零細なものでないと認めるということであるが、この種複雑なる徴税を行わんとすれば、嚴格なる監督を要し、これが査察による時間の徒費等業者の迷惑はもちろん徴税費用を差引き国庫の実收入として幾ばくもなしと断ぜられ、いわば徴税官の生活保証のために徴税を続けられることとなり一方事業所得税等について課税の不均衡をうんぬんせられ、徴税の適正化を要望されている現況より考慮しても誠に不適当なる徴税というべく、以上の諸点について徴税を主張される理由を御伺いしたい。

 右質問する。





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