質問本文情報
昭和三十年六月八日提出質問第一二号
外地から引揚げた遺家族に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和三十年六月八日
提出者 並木芳雄
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
外地から引揚げた遺家族に関する質問主意書
東京都南多摩郡稲城村字大丸六百三十稲城寮の斎※(注)留太郎氏一家は、終戦まで樺太名好郡名好町北四条四―十六で製材業を営んでいたが、昭和二十年二月に長男栄氏(当時二十二才)は現地で入営し、すぐ敗戦となり、引揚げてきたところ、栄氏の消息はまつたくと絶した。
引き揚げてきた斎※(注)氏は、戸籍がないので、家庭裁判所八王子支部に栄氏を含め、一家十一人の就籍願(新しく戸籍を作る手続)を出し、二十七年七月に許可となつた。
ところが、昨年十一月になつて、栄さんは二十三年二月ソ連で戦病死したとの公報が入つた。
そこで、家庭裁判所八王子支部では「公報によれば栄氏は二十三年に死亡しているから、二十七年許可になつた就籍は無効である。よつて、栄氏の戸籍は抹消する」との決定を二月二日に行つた。
二月末、斎※(注)氏は栄氏の遺骨を引き取り、三月はじめ弔慰金、扶助料の下附を申請したが、戸籍に栄氏の名がないため、親子であつた証拠を添えなければ金は渡せないとて、書類が逆送されてきて、いまだ結末はついていない。まことにお気の毒である。
右質問する。