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昭和三十一年五月二十六日提出
質問第一五号

 高松国税局の不当な行政措置及び権利の濫用等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十一年五月二十六日

提出者  小川豊明

          衆議院議長 (注)谷秀次 殿




高松国税局の不当な行政措置及び権利の濫用等に関する質問主意書


 伊豫三島市高石準一は、控訴人として被控訴人高松国税局長を相手取つて高松高等裁判所に控訴中の公売処分取消請求事件は、昭和三十年三月十日高松国税局長敗訴の判決となり、五月一日判決書を交付され、その内容、事実が明白になつた。
 この審理、経過及びその後における高松国税局の行政措置、態度について不当性、権利の濫用並びに憲法違反の疑義が充分にあるので、次の諸点についてお伺いしたい。

一 伊豫三島市高石準一の工場、宅地一千百九十二坪(四筆)が高松国税局によつて差し押えられたが、差押調書送達日が昭和二十五年十二月二十日で公売日が昭和二十五年十二月二十五日である。これは国税徴収法がこの期間を十日間という不変期間として定めているのに、五日の日数不足をもつて差押えを行なつている。
二 同時に高松国税局は、高石準一所有の工場建物二百六十坪(九棟)に対して差押えをしたが、この差押えには差押調書送達の証拠がない。したがつて法律上差押効力の発生していないまま差押えを強行している。
三 しかるに機械類六、七十点及び附属機械多数は国税徴収法に封印その他により占有すべきものであるに差押えをしない。
四 土地建物等の不動産は差押調書の送達によつて、その差押の効力は発生するものである。ところが右の建物九棟の登記謄本は次のごとく

「昭和二十六年九月六日の登記簿謄本」
登記簿謄本

  改ざんの後があり、事後に訂正したかあるいは宅地四筆の差押登記が建物九棟の差押登記と両者同一日時、同一要領による差押えの登記嘱託であると誤信した重大な過失が存する。
  この事実について、高松国税局は二回にわたつて昭和二十四年十月十五日に公売したと主張するが、これを立証する証拠がない。
五 さかのぼつてこの差押え当時、株式会社伊豫銀行三島支店長小島常一は税務署によつて公売してもらへば銀行は手間がはぶけて便利であるからやつてもらいたいと請託し、税務署長福家五百里も銀行の小島支店長が来訪して請託あつたと認めている。
六 公売日(二十五日)の前日(二十四日)に税務署の担任横山事務官が入札者(唯一人の入札参加者)宅を尋ねて物件の価格を参考に聞いたと証言し、入札社員の岡崎整吾と横山事務官との間に二百万円以下で落札という約束を交した。こうして横山事務官は岡崎に土地建物その他の価格を秘密えい泄し、それには株式会社伊豫銀行も連絡関与している。
  これは前記社員の岡崎が、高石準一の土地建物は百七十九万円で入札する。その中二十二万円は税務署が銀行に優先徴収し、右の建物土地に対する銀行の抵当権百五十七万円は銀行が受け取る入札価格はこの両者の合計総額として算出された。
七 右の疑点について税務署は見積書(敷札)の原本を紛失して所有せずというが、見積書は永久保有物であつて一見書類とともに、綴込を必要とするものと思う。なおこの物件の評価は最高一千二百三十七万八千百五十円、最低五百二十八万円のものである。この評価の平均額八百七十二万三千円と公売の百七十九万円との比は約四・九分の一である。
八 しかも業者側の入札書の単価金額六十七点は横山事務官が代書をし、合計金額百七十九万円は業者が記入したこと。これは入札者以外の者である担当官が記入すれば変造である。
九 公売前日の新聞広告を見て、当日高石準一の代理として大西茂(押収された工場長)が優先徴収分の二十二万円納入方を税務署に行つて提供したが税務署はこれを拒否したこと。
十 これらの諸事実には公売という国家公権力の下に、一民間銀行の請託によつて一人(特定者)の入札者に謀議により、不法に工場を目的とした公売処分の濫用が行なわれている。同時に買得者に多額の利得を与え、奪取されたる者に多額の損害をこうむらしめたことは憲法第二十九条に反する明確な違法処分である。
十一 以上の諸点によつて、国税局の職権濫用、憲法違反の事実があるにもかかわらず、五年の長きにわたつて争訟が続けられてきた。高松高裁は昭和三十年三月十日、高松国税局の敗訴を判決した。
  ところがその後において高松国税局は理由なしの上告をし争訟を継続するの態度に出てきた。このことは、長年月の訴訟によつて精神的にも財政的にも疲弊している個人に対して、行政庁が国家という公権力を背景にして圧迫することで、明らかに権利の濫用と考えられるがどうか。

 右質問する。





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