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昭和三十三年十一月二十七日提出
質問第四号

 国立演劇大学創設に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和三十三年十一月二十七日

提出者  竹谷源太(注)

          衆議院議長 星島二(注) 殿




国立演劇大学創設に関する質問主意書


 わが国文化の進展には、なお多大の費用と献身的努力を必要とし、これが実効をあらわすまでには長年月を要する。特に演劇界は陽の当らない場所であつた。しかし演劇は国民の文化生活に重要な役割を演ずる事は万人の認めるところである。従つて、次の点について政府の見解を伺いたい。

一 従来伝統的演劇(歌舞伎・能・文楽)にたずさわる役者、道具方等の養成は世襲、あるいは徒弟的方式により科学的合理的な養成が行われていないが、かかる方策は日本の伝統的演劇の保存発展及び育成のあい路となつていると思考するがどうか。
二 従来の大学では演劇史、戯曲論等にのみ比重がおかれ、工学的、技術的素養のかん養は等閑にふされている。しかし近代演劇は単なる俳優としての演技の習得のみで終るものではなく、プロデユーサー、デレクター、シナリオライター等としての素養はもちろん音楽、美術、建築、電気工学等の教養を必要とする。従つて学校組織による養成方法がもつとも望ましいと思考するがどうか。
三 現在の国語教育は読み、書き、聞き方の国文学であつて、正しい日本語の「しやべり方」についてはなんの配慮もされていないが、正しい日本語の「しやべり方」は重要な事ではないであろうか。思想の表現法において発声法、イントネーシヨン、所作、話の間を活用し、美しい会話のできる人は少数の演劇家に限られている。それゆえに国語教育の基礎は正しい美しい会語であるという事を自覚させ指導できうるような演劇家が生れる事は必要であると思考するがどうか。
四 十五世紀以来の演劇史の伝統を持つている日本は、米国、ソ連、フランス、オーストリヤ、イタリヤ等の演劇後進国におい抜かれているが、これらの国々では、国立の独立した演劇大学又は国立劇場の附設演技学校を有して、国家の手によつて要員の養成が行われている。しかしわが国では、私立大学や一部の劇団などの経営する養成機関があるが、財源が豊かでない上、非生産的人員の養成と見なされているので満足な状態ではない。ここに国立演劇大学を新設し、国力によつて強力な総合的組織を持つ養成機関を創設する事が急務であると思考するがどうか。
  最近伝えられるところによれば、パレス・ハイツ跡に国立劇場を建設するといわれているが、この事は誠に喜ばしい。しかし右に申し述べた立場よりすると、劇場よりもその中で演出される立派な演劇を育成すべきではないかと考えられるので、国立劇場と併行して、否これよりも優先して国立演劇大学(又は芸術大学に演劇学部を設置する。)の創設は重大な急務であると思考するがどうか。

 右質問する。





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