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昭和四十年七月二十六日提出
質問第一号

 山一証券等に対する日本銀行の特別融資等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十年七月二十六日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 (注)田 中 殿




山一証券等に対する日本銀行の特別融資等に関する質問主意書


 日本銀行は、去る五月二十八日夜、日本銀行法第二十五条を発動し、大蔵大臣の認可を受け、運用預りの解約増で資金繰りに苦しむ証券界に対し、関係主要銀行を通じて事実上無担保の特別融資を行なうという画期的措置を決定し、それ以来これに基づき山一証券等に対し巨額の救済融資を行なつている。
 ついては、右に関し、次の諸点につき政府の見解等を承りたい。

一 日本銀行の山一証券等に対する特別融資は、山一証券等が振り出した単名手形の八掛相当額については無担保であるため、これに伴うリスクが問題であるが、もし将来回収不能となつた場合に損失帰属の最終責任は何人がこれを負担することとなるものであるか。大正十二年の震災手形特融並びに昭和二年の金融恐慌特融の例に徴するときは、当然政府が損失補償の責任を負うべきものとなるように考えられるがどうか。
二 山一証券等の再建の成否いかんによつては、日本銀行の特別融資には巨額の損失を生ずることとなるおそれがあるが、このような最終的には政府の責任となるリスクを伴うおそれがある日本銀行の特別融資について、大蔵大臣が日本銀行法第二十五条に基づいて認可を与えたことは、財政法上国庫債務負担行為に関する第十五条の規定に抵触するおそれがあると考えられるがどうか。少なくも財政法の精神に違反するおそれなしとしないと認められるがどうか。
三 七月二十一日の大蔵委員会における宇佐美日銀総裁の参考人としての陳述によれば特別融資に伴う損失処理については、政府と日本銀行との間に話し合いがあるとのことであるが、その話し合いの内容を明確に示されたい。また、右特別融資に関する日本銀行の認可申請書並びにこれに対する大蔵大臣の認可書の内容をそれぞれ提示せられたい。
四 山一証券等に対する特別融資は、信用不安の防止と信用制度の保持という大義名分に基づくものであるとはいうものの、同時に特定の証券会社に関する救済措置であることも否定できない。この意味において、これは自由主義経済の自己責任原則を無視し、かつ、憲法第十四条の国民平等の原則をじゆうりんする異例の措置であり、このことが他の企業並びに社会人心に及ぼす悪影響にははなはだしいものがあると考えられるがどうか。
五 現下の深刻な不況は、企業の優勝劣敗と弱肉強食を誘発し、そのため経済的弱者である中小企業の倒産を続出させている。
  政府は、中小企業の経営難を救済する一助として、日本銀行と協議し、この際昭和二十三、四年当時実施された日銀中小企業別わく融資制度を復活し、これを現状に即するよう改善して中小企業金融を強化すべきものと考えられるがどうか。

 右質問する。





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