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昭和四十四年四月八日提出
質問第四号

 行政機関政府職員の定員に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十四年四月八日

提出者  谷口善太郎

          衆議院議長 石井光次郎 殿




行政機関政府職員の定員に関する質問主意書


 行政機関政府職員の定員に関し、本院における審議にかかわらず、今後の行政組織の変化、及びこれと関連した国家公務員の身分保障の問題について、なお不明確な点があるので次の点について質問する。
 昭和四十三年度、四十四年度の二箇年の予算定員をみると、国民にとつて必要な部門で働く国家公務員労働者が大幅に縮小され、治安部門が全面的に強化されている。具体的にみるならば、この二年間で削減された行一職は約四千百名、行二職は約四千九百名であり、増員の面では、行一職約二千七百名、行二職はわずか五十三名である。行二職の膨大な削減は、公共事業の第一線で働く現場職員、大学及び病院関係の技能労務職員が約八十パーセントをしめている。このことは、建設現場工事の下請化、病院における給食、洗たく、清掃などの下請化によるものである。
 行一職の削減についてみると、農林省と労働省で行なつた削減が、全体の約八十パーセントをしめている。農林省は食糧庁、統計事務所の減員が主であり、労働省は、職業安定官署および労働保護官署が主である。
 また、大学の教育職、医療職では若干の増員はあるが、これはいずれも国民の要求からみて問題にならないものである。たとえば、大学の教官一人当たりの学生数は、昭和二十九年五月一日当時の六・五人から昭和四十三年四月一日現在、八・二人に増加し、相対的には教官の数が減つている。一方、自衛官は、この二年間で六千八百七十二名の増員、警察・公安官等で二百八十名の増員、加うるに地方警察は、昭和四十四年度だけでも五千名を増員している。また、裁判官、検察官、税務職、指定職などは、約四百六十三名の増員になつている。
 以上をみてもあきらかなように、この二年間に政府が、いわゆる五パーセント削減をめざして行なつた定員の削減と再配分は、治安機関の定員をふやし、徴税機関を強化し、高級官僚を増員しながら国民にとつて必要な行政部門を大幅に切りすてて行なつたものである。
 さらに政府は、今後、行政機構の改革で、労働省では失業保険、労災保険事務の整理統合、婦人少年室の廃止、厚生省では国民年金、厚生年金、健康保険等の事務をとり扱つている社会保険庁の公社化、農林省では統計調査事務所の廃止と、食糧管理制度の改悪にともなう食糧事務所の縮小、その他、関係各省にある検査、検定機関の民間移譲、研究機関の筑波移転による統廃合、各省におけるコンピユーターの全面的利用等検討されており、国民に必要な行政部門をいつそう「合理化」縮小し、一方では、日米軍事同盟の強化による自衛隊の増強、七十年治安対策と称する治安機構の強化など、反動的国家行政組織の再編強化を行なおうとしている。
 以上の点からみても、今回、提案されている行政機関の職員の定員に関する法律の改正は、国の行政組織と、国家公務員労働者の身分保障に関し、重大な内容をもつものである。
 したがつて私は、次の点について政府の見解をもとめる。

一 行政機関政府職員の総定員の最高限度を法律できめて、その範囲内であれば、国会の議決を経ずに政令で各省の定員を増減できることになる。
  政府は、予算の審議は、定員の配置をふくめて審議され、国会で議決されるので、その面で国会の規制をうけるといつているが、年度途中、政令によつて定員の変更を行なつても、総定員の最高限度を超えない限り、法律的な規制はうけないことになる。
  行政機関の規模は機構と職員の定員によつて規制されるものであり、国の行政組織は、国民の要求する行政需要に応えるため、どのような機構で、どのような人員の配置でこれに応えるか、政策と関連してきめられるべきものであり、行政機関の基幹となる定員については、当然、国会において審議をつくし、各省ごとに法律で規制すべきものである。
  これについての政府の見解をもとめる。
二 国家公務員労働者の身分保障について
 1 行政機関政府職員の総定員の最高限度、五十万六千五百七十一名の範囲内で、政令による各省定員の合計数を削減した場合、国家公務員法第七十八条第一項第四号の規定による分限免職が法制的に適用できるのか。
 2 政策の変更によつて、定員が削減になる省が生ずることもありうるが、政令による各省定員の合計数の変更がない場合、定員が削減される省において、国家公務員法第七十八条第一項第四号による分限免職を行なうことはできないと思うがどうか。
 3 もし、1及び2の場合、いずれも国家公務員法第七十八条第一項第四号の規定により分限免職が適用されるとすれば、現在、争議権も、団交権も奪われている国家公務員の身分保障は、総定員の最高限度の範囲内であれば、なんら法律的に規制をうけずに政令による一方的な定員削減によつて、もつとも基本的な生存権さえも侵害されることになる。
   この点についての政府の見解をもとめる。

 右質問する。





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