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昭和四十七年一月二十七日提出
質問第一号

 個人企業に対する税制に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年一月二十七日

提出者  竹本孫一

          衆議院議長 (注)田 中 殿




個人企業に対する税制に関する質問主意書


 中小企業団体は、企業課税の基本的なあり方として、経営近代化のために個人企業の事業主報酬を税制として制度化せよと、久しく要望している。この要望は、昭和四十四年いらい、全国規模の中小企業諸団体の統一要望となつている。政府は、これに対して、昭和四十六年度税制改正において「青色事業主特別経費準備金」を創設し、また昭和四十七年度税制改正においては、これを廃止し新規に「青色申告控除(年十万円)」を創設せんとしている。このような、二ヵ年度連続しての青色申告課税についての税制改正が、中小企業者の要望する企業課税のあり方の方向に合致するのかどうか。政府の税制改正は、この点がきわめて不明確なので、ここに、個人企業についての税制の基本的見解を政府に問うものである。

一 税制理論上、個人企業所得は、資産所得と勤労所得との共同所得と観念されているが、現行の所得税法においては、個人企業所得のうちの勤労所得部分は一括して事業所得とみなされており、地方税法においても、勤労所得部分についてまで個人事業税が課せられている。
  わが国の現行税制の創設に際して、第一次シャウプ勧告は、「勤労控除は、個人の勤労年数の消耗に対する一種の減価償却の承認であること、また勤労による努力および余暇の犠牲に対する表彰であること」と指摘し、「所得の大部分が財産の所有に基因するのでなく個人の努力によつて得られたという点において、農業所得及び中小企業所得にも、勤労控除は同様に適用さるべきである」と述べている。政府は、勤労控除についての、かかる原理的な観念が、現在も農業個人所得及び中小企業所得全般につき適用するものと認めるかどうか。現行税制は、かかる税制の基本観念が不明確であると考えるがどうか。
二 同じ企業でありながら、看板を個人から法人に塗りかえれば税金が安くなるという理由から、いわゆる法人成りが激増している。このような不合理な現象は、法人企業では事業主報酬が役員報酬として損金算入がみとめられ、個人企業ではこれが必要経費として認められていないから起こつているのである。
  企業が実質的に同一であるにもかかわらず、法人か個人かの企業形態上の形式的な差異によつて、課税上の不均衡が生じているのである。これを是正する必要からも、個人企業の事業主報酬についての税制は、根本的に再検討すべきではないか。
三 政府は、昭和四十六年三月三十一日の大蔵省告示第二十七号をもつて、青色申告の記帳要件を改正し、事業主貸については、月決め事業主貸とその他の事業主貸とに区分して記載できることにした。これにつき大蔵省も国税庁も、個人企業の近代化を図るために事業主報酬を区分経理する必要があることを考慮しそのような経理の仕方を税務執行上みとめるものと説明している。しかし、これはあくまで企業経理上の問題たるにとどまり、事業主報酬制度確立の要請にこたえるものではないと考えるが政府の見解はどうか。
四 さらに政府は、昭和四十六年度税制改正として「青色事業主特別経費準備金制度」を創設したが、これをわずか一ヵ年度をもつて廃止し、昭和四十七年度税制改正の一環として、新たに「青色申告控除(十万円)」を創設せんとしている。これは申告者、すなわち事業主に対する控除ではあるが、青色申告奨励のための税制措置の域にとどまつているものにすぎない。従つて個人企業の事業主報酬について、なんら根本的な解決をもたらすものではないと考えるがどうか。
五 個人企業は生業的色彩が強く、特に小規模企業においてそれが著しいが、個人企業全般について、可及的に経営の近代化合理化を促進するために、税制上の助成が望ましいのである。すなわち個人企業も正しい原価計算と損益計算をすることができるように、税法上も経営と家計の分離を促進すべきである。
  ただし、この場合、青色申告者と、これ以外のいわゆる白色申告者を通じ、画一的な税制を適用することは適当ではない。正しい記帳を前提としている青色申告者には事業主報酬制度を採用し、正しい記帳を困難とする白色申告者に対しては、事業所得のうちの一定部分を勤労所得部分とみなし、この部分について特別勤労控除制度を創設し、給与所得控除に準じた控除を行なうべきである。この点についての政府の見解を伺いたい。

 右質問する。





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