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昭和四十七年十一月一日提出
質問第一号

 はしけ・曳船船員の雇用政策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十七年十一月一日

提出者  和田春生

          衆議院議長 (注)田 中 殿




はしけ・曳船船員の雇用政策に関する質問主意書


 港湾運送部門においては、コンテナ船の就航、専用埠頭の増設、長距離カーフェリーの就航、ラッシュ船の出現と港湾荷役の機械化などによつて大きな変革をきたしつつある。そのため、港湾運送事業に従事する労働者、はしけ・曳船乗組船員の職場はしだいに縮小し、雇用不安が増大している。
 このような輸送革新に対する港湾運送業界の対策として、現在、六大港(東京 横浜 名古屋 大阪 神戸 関門)において、現有はしけ・曳船約二〇〇万トンを、昭和五十年までに約五〇パーセント減船整理することを目標に、大量のはしけ・曳船の買上げ、解撤など処分の方策が具体的に進められようとしているが、港湾で働くはしけや曳船船員の職場が大多数整理されようとし、雇用と生活の不安が著しく増大しつつあるにもかかわらず、具体的な雇用対策が明らかにされないまま、政府と当該業者との間で、もつぱら船腹や業界を対象とする整理の話合いが進められようとしていることは、重大な問題である。
 はしけ・曳船船員の雇用対策について次の事項に関し、政府の見解と施策を明確にされたい。

一 運輸省は、はしけ業に対する行政指導として、はしけ事業協同組合を設立する方針であつたが、八月十八日港湾運輸特別委員会専門委員会の報告は百八十度変転した内容である。変更した理由は何か。
二 はしけ・曳船の現有数および総トン数と船員数について正確な数字を示されたい。
三 通称ヤミはしけといわれるはしけが京浜港に二〇万トン、阪神港に五万トンあるというが、その実態について総トン数と隻数と船員数を示されたい。
四 昭和四十八年度予算要求として、港湾運送構造改善対策一般会計六億五三四〇万円が計上されているが、昭和五十年までに現有はしけ・曳船総量を三〇パーセント程度整理する方針であるという。年次別、港湾別の整理隻数と船員数について、どのように見込んでいるか。
五 はしけ買上げ希望業者数およびその数量についてどのように見込んでいるか。
六 はしけ・曳船の大量整理について、そこで働く船員の雇用および離職対策について、運輸省と労働省と十分な協議のもとに具体的な対策をたてているか。対策がたてられているとするなら、その内容を明らかにされたい。
七 全日本海員組合の調査によれば、対象となるはしけ・曳船船員の平均年齢は、はしけ船員は四三・三歳、曳船船員は四〇・一歳である。永年にわたりはしけや曳船の職場で働き、年齢的にも転業は困難であるが、高齢者の具体的な離職対策について示されたい。
八 政府は、今日、輸送革新により余剰のはしけや曳船を整理する方針を打ち出している。かつて炭鉱閉山に際し、失職労働者に国の手厚い救済策がとられたが、はしけ・曳船船員についても、同様、離職対策、就職促進手当、職業訓練手当などの救済措置を財政的にも、はつきり講ずべきである。どのように考えているか。
九 はしけによる貨物の運送量は減少するが、はしけは今後も一定数量必要であり、良質の労働者の確保が必要である。港湾労働者、はしけ・曳船船員を確保し、雇用の安定を図る必要がある。そのため、政府は港湾利用者、運送業者と協同して関係船員労働者の生活安定基金(仮称)を設置すべきだと考えるがどうか。
十 官労使で構成する港湾船員雇用対策協議会(仮称)を設置し、雇用対策を早急に確立すべきである。政府が指導して積極的に推進すべきであると思うがどうか。
十一 はしけ・曳船大量整理の方向にあるが、景気が上昇すれば、またもや業者の中には無定見にはしけを建造する動きが出ることが想定される。港湾運送事業のあり方に関し、きびしい建造規制をする必要があると思うがどうか。
十二 はしけ・曳船を大量整理しながら、一方において功利的にヤミはしけを使用するような意図を許してはならない。早急に具体策を明示して業界の秩序を整え、労働者の不安を解消する必要があるが、その対策いかん。

 右質問する。





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