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昭和四十九年四月十一日提出
質問第二二号

 成田パイプラインの安全対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年四月十一日

提出者  木原 実

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田パイプラインの安全対策に関する質問主意書


 昭和四十八年九月十八日に提出した「成田パイプラインの安全対策に関する質問主意書(質問第二〇号)」に対し、同年九月二十八日、内閣衆質七一第二〇号の答弁書の送付を受けた。
 それによれば、標記パイプラインの安全は、「石油パイプライン事業法による技術基準」の告示を待つて所定の手続きが講じられ、新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)に対し、適切なる指示を与えるとのことであつた。
 「石油パイプライン事業法による技術基準」は、右の答弁書の送付された同年九月二十八日に告示され、既に六か月を経た。それゆえ政府においては、空港公団に対し適切なる指示を与えられたものと推察する。
 本質問は、右に基づき、政府並びに空港公団の措置及び六か月間に空港公団がパイプラインの工事及び保全について実施したる事実行為につき、石油パイプライン事業法に関係するすべての法令に基づき問う次第である。

一 石油パイプライン事業法の省令に基づき、昭和四十八年九月二十八日技術上の基準の細目等が告示された。さきの答弁書によるならば、この告示後早急に工事計画の認可の申請がなされるとのことであるから、申請〜認可という手続きはなされたと推察される。よつて、次の各項目に対し、明確な回答を求める。
 (1) 空港公団に対し、石油パイプライン事業法第十五条に基づく工事認可を与えた年月日はいつか。
 (2) かかる工事認可を与えていないならば、その理由はなにか。具体的に示されたい。
 (3) 空港公団より工事認可の申請がなされていない場合、空港公団が工事認可の申請をしない理由及び申請できない理由をそれぞれ具体的に明らかにされ、今後の方策も併せ明示されたい。
 (4) 昨年末、運輸、自治両大臣により、かかる工事計画の認可の申請期限が昭和五十年三月三十一日と指定されたと聞くが、何ゆえこのように大幅な期間(余裕)を与え、空港公団をあまやかさねばならないのか。
二 空港公団が、千葉市内を起点とし新空港間に至る区間に埋設した石油パイプラインは、石油パイプライン事業法の全面適用を同法施行時より受けていることは明らかである。
 (1) 空港公団法第二十四条に基づく業務方法書に基づき運輸大臣の承認を受けた空港公団航空機給油施設の建設及び管理規程(昭和四十七年三月一日)の効力は既に消滅しているとしているのか。
 (2) 空港公団は、石油パイプライン事業法施行前には右の業務方法書で定められた航空機給油施設の建設及び管理規程に基づくパイプライン施設の設置ということで、その設置に必要な道路の占用、行政財産等の使用の許可を受けて関係する工事を行つてきたと聞くが、石油パイプライン事業法施行後においても同法を前提として関係機関に対し、かかる許可の再申請をする必要がないとするならば、その理由は何か。また、許可等の更新、継続は、空港公団法、石油パイプライン事業法のいずれを前提としてなしたかを明示されたい。
三 石油パイプライン事業法の「技術基準」によれば、空港公団が既に埋設したパイプラインは、著しく右の技術基準に違反している。事実、成田市内「暫定」パイプライン埋設工事の東関東自動車道わきより新空港に至る区間のほり返しがそれを立証している。
 (1) 既に埋設のパイプラインが、右の「技術基準」に違反している事項を細大漏らさず具体的に明らかにされたい。
 (2) 右の事項に対し、現在までどのような処置をされたか、今後どのようにするつもりか、具体的に明らかにされたい。
四 空港公団総裁今井榮文氏が、昭和四十七年八月十九日付け文書をもつて、千葉市内パイプライン沿線住民、千葉市当局の三者で会談を行うことを約束し、さきの答弁書においても「今後も公団が地元住民との話し合いを積極的に行い、地元住民の理解と協力を得られるよう努めることについて十分指導していく方針である。」としている。
 (1) 右の三者会談は、今日に至るも実行されていないが、何ゆえ実行されないのか。
 (2) かかる三者会談をいつまでに実施させるつもりか。その理由は何か。
 (3) さきの答弁書にある地元住民の理解と協力を得る具体的な行為を今もつてなしていない理由は何か。
五 千葉市内埋立地のパイプライン埋設工事に使用した「埋戻用砂」に海砂を使用した報道につき、「事実なし」とされたが、その後住民の調査ではその疑いはますます増大している。よつて、空港公団が埋戻しに使用した山砂に関し、次の事項につき明らかにされたい。
 (1) 政府は、空港公団よりの報告を受けて「事実なし」としたが、何ゆえ自ら調査しなかつたのか。
 (2) 成田パイプライン全工区別に、山砂使用量、採取地を明示すること。
 (3) 空港公団「パイプライン工事標準仕様書」(昭和四十七年四月)3・2・8埋戻し(6)に記載された「監督職員の承認」は、具体的になにを示すのか明らかにされたい。
六 成田パイプライン埋設後の保守管理は、空港公団のパイプラインに関する管理規程や、空港公団と千葉県との協定(航空燃料パイプライン敷設に関する協定、昭和四十七年三月十五日)千葉市と交わした協定書(新東京国際空港に係る航空燃料輸送パイプラインに関する協定書、同年三月九日)に明確に記されているが、空港公団はそれを遵守していない。
  特に千葉市内海岸埋立地は民間による建設工事が多岐にわたり、パイプラインの保全がすこぶる困難であることを地元住民は計画公表時より常に指摘していた。それに対し、空港公団、地元公共団体は、恒常的かつ高度に技術的な保守管理体制を確保するとして、住民の抱く危ぐは杞憂にすぎないとしてきたが、次の各事項で明白のごとく、その保守管理体制のずさんさが当然のごとく露呈された。地元住民はこれらの事実が起こるのは「空港公団の姿勢として必然的に生じるもの」とし、また、それは氷山の一角にすぎないとしている。
 (1) 千葉港護岸敷内のパイプライン保安施設(バルブボックス、応力計、沈下計、電防ターミナル等のマンホール類及び漏油検知口)は、千葉県が本年一月より施工したアスファルト舗装下に埋没し、検知口のごときはその所在を知ることすら不可能である。
     これに対し、空港公団は本年三月三十一日現在なんら処置を講じていない。地元住民はこの事実に関し、去る三月二十八日千葉県知事に対し文書をもつて申し入れた。
     政府は、右の事実を調査の上、その責任の所在、処置を明確にされたい。
 (2) 同所において千葉市が企業者となり中央卸売市場橋りよう下部工事を施工中であるが、この工事によりパイプライン防護工(カルバート)が露出している。この防護工の防護がなんらなされないため、当該防護工の側壁は損傷を受け、満潮時には底床が洗い流され、また、防護工上部には多量の建設用仮設重量物が乗せられている。また、日曜日などの休日には監督係員の立ち合いなく、現場労務者のみ施工し、なんら保全策はなされていない。政府はかような事実を関知しているか。
 (3) 同市稲毛海岸五丁目地先のバルブボックスは、千葉市消防局駐車場の防護柵により開閉不能となつている。パイプラインの直接監督の任にある消防機関がかかる行為をなし、空港公団がそれを放置している理由はなにか。
 (4) 右の1〜3で明らかのように空港公団は、パイプラインの保守管理をなんら実施せず、住民の主張の正当性を立証している。政府の見解を示されたい。

 右質問する。





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