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昭和四十九年十二月十九日提出
質問第三号

 本山製作所の労使紛争に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年十二月十九日

提出者  渡辺三郎

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




本山製作所の労使紛争に関する質問主意書


 宮城県で、自動調節弁等の製造・販売を業とする株式会社本山製作所の労使紛争について、政府の見解を求める。

一 株式会社本山製作所は、労使の紛争に際して、昭和四十七年五月二十日、暴力ガードマン会社として知られている「特別防衛保障株式会社」のガードマンを導入した。この特別防衛保障株式会社は、労働争議などに専門に介入する会社といわれているが、これまでどのようなところに介入したか、またこの会社の性格などについて明らかにされたい。
二 「警備業法」の施行以来、本山製作所は、右ガードマンを従業員として採用した形式をとり、引続き雇用している。これについて政府は、職安法違反の疑いがありその捜査を行つたと国会で答弁しているが、その経過内容を明らかにされたい。
  また本山製作所の「暴力ガードマン従業員化」と職安法違反及び警備業法の脱法行為などとの関係を明らかにされたい。
三 昭和四十七年五月二十九日、仙台地方裁判所は、「会社職制・暴力ガードマンの組合活動妨害禁止」の仮処分決定を行つた。特にこの決定の中で次のように述べている。すなわち「休憩時間その他勤務時間外に債権者会社構内(ただし、事務所、作業所内を除く)においてするビラの配布、債権者会社構内の広場などの空地においてする組合集会・デモ行進を実力をもつて妨害してはならない」と。ところが、労働組合(全国金属労働組合宮城地方本部本山製作所支部―以下支部という)がこれら集会、ビラ配布、デモ行進を要求しているのに、経営者は一切これを拒否し妨害している。
  また宮城県警察は、会社職制・暴力ガードマンと一緒に機動隊を会社構内に導入し、組合活動を妨害している。
  このような会社、警察の態度と地裁仮処分決定の効力について見解を明らかにしてもらうとともに、仮処分決定の内容は、会社、警察も守らなければならないと思うがその明確な見解を求めたい。
四 これよりさきに仙台地裁は、本山製作所に対して、昭和四十六年七月五日、支部組合員青柳充君の地位保全の仮処分決定をしており、そして昭和四十七年五月二十九日には前述の仮処分を決定し、更に昭和四十八年四月十六日に支部組合員熊谷春男君の地位保全仮処分を決定、同年十月十三日には、本山製作所が実施したロックアウトは違法であるとして賃金仮処分決定がなされたのである。
  しかるに本山製作所はこれに従つていない。この違法ロックアウト中の賃金未払は労働基準法違反であると思うが政府の見解を求めるものである。
五 支部並びに組合員は、労働基準法違反について、同法第百四条に基づく申告を労働基準監督署に行つたといわれているが、どのような事案の申告を行い、それを受けた監督署の処理状況はどうなつているのか、それらの点を明らかにするとともに、同法第百四条では申告者の不利益取扱いを禁止しているが、申告者のほとんどが暴力行為を受け、かつ、また別棟就労の強制という差別取扱いを受けているといわれている。その事実についても明らかにされたい。
六 本山製作所に対し、宮城県地方労働委員会より実効確保の勧告が三回にわたつて行われている。また昭和四十八年四月十六日「暴力ガードマン退去」の地労委救済命令が出され、昭和四十八年六月二十七日には中央労働委員会より「初審命令の履行」勧告がなされているがそれらの履行状況はどうなつているか。また労働組合法第二十七条第五項の規定で明らかなように命令の効力が停止しないにもかかわらず、本山製作所が不当労働行為の命令に従わないことはまさに不法行為と思うが政府の見解を求める。
七 本山製作所が暴力ガードマンを導入して以来、支部組合員にかなりの負傷者が出ている。これらの事実についてどの程度の調査が行われたか。これに関しては支部側から警察・検察庁に告訴・告発がなされたといわれているがその件数と処理状況を明らかにされたい。
八 昭和四十七年六月、仙台人権擁護委員会に対して、支部組合員の人権侵害救済申立がなされているが、いまだ何らの処置もとられていないといわれている。これに対する法務当局の指導経過と措置について見解を求める。
  本山製作所東京支店従業員六十三名のうち二名の支部組合員がいるが、この二人に対して本山製作所はあらゆる方法によるいやがらせを行つている。この件について、東京都労働委員会に不当労働行為の救済申立、法務省人権擁護局長宛に人権擁護救済申立を行つているが、その救済状況はどうなつているか併せて明らかにしてもらいたい。
九 本山製作所のメイン・バンクである富士銀行が、暴力ガードマン導入等の争議介入について資金援助・融資などを行つているといううわさに対して日本社会党、全国金属労働組合中央本部は厳重な追及を行つた。その際富士銀行当局は「その事実はない。特にこのような会社に対して新規の融資等は行わない」と言明し、その事実を否定したが、最近本山製作所に対する援助を強化したといわれている。その事実を明らかにされたい。
十 昭和四十九年十月二十九日、総評主催の「本山支援全国集会」が、仙台市本山製作所前で開催され、その集会開催地から仙台市レジャーセンター前までおよそ五百名のデモ行進が行われた。その際、宮城県警は、機動隊約一千名を動員してデモ隊を取り巻き、行進を妨害するとともに警官をデモ隊列に入り込ませてあらゆる挑発を行つたといわれている。こうした異常な警備は、正当なる労働運動に対する官憲の不当なる介入と思うが政府の見解を求める。
十一 昭和四十九年十二月十日午前十時、経営者に対する抗議行動に行つた支部組合員石川則男君を、警視庁は、本山製作所東京支店前の路上において、「道交法違反」の現行犯として逮捕し、それに「威力業務妨害」の罪名を付け加えた。しかし東京地裁は、同年同月十四日、検察庁の拘留請求を却下したため、同日午後三時三十四分、本人は中央警察署より釈放された。ところが同署前で直ちに再逮捕されている。この再逮捕の理由は同年十一月二十六日の東京支店抗議の際の行動内容を挙げているが、このような警察の行為は、あたかも戦前、労働運動や社会運動を弾圧するために使われたいわゆるたらい回しにも等しいものである。政府の明確な見解を聞きたい。
十二 昭和四十八年九月十八日の本院社会労働委員会で、当時の加藤労働大臣は「裁判所なり中労委からいろいろな命令が出たものに対して(それを無視し従わないような場合)公共事業の発注を禁止するとか、指名入札をとりやめるという案件について(これまでも)建設省、運輸省などと相互通報して実施しており、その他の省もそれに準じて実施するのが当然」と答弁している。本山製作所の製品が運輸省、建設省を始め公共事業の機関と直接、間接に関係するならば、直ちに発注停止などの措置を取るのが右の大臣発言からして至当である。政府はその実態を直ちに調査し、結果を明らかにしてもらいたい。
十三 更に右委員会の中で、不当労働行為、労働基準法違反などの悪質企業について「@公共事業の発注停止、A金融、税制、貿易上などの優遇措置を一時停止してはどうか」という社会党議員の質問に対し、加藤労働大臣は「税制の問題だけはなかなかむずかしい関係があるが、金融の関係は措置できる」と答弁している。
   その後の調査結果、各省との折衝状況を明らかにされたい。
十四 最後に、本山製作所の労使問題について、政府、労働省当局は、その解決についてどのような努力をされたか。また今後どのような行政措置をとるか、その考え方を明らかにされたい。

 右質問する。





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