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昭和五十年三月十九日提出
質問第一一号

 入浜権に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十年三月十九日

提出者  田中武夫

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




入浜権に関する質問主意書


 去る二月二十七日予算委員会第一分科会(同日予算委員会第一分科会議録第四号二十六頁ないし二十八頁参照)において、本件に関する質問をしたところ、持時間の都合もあり、特に法務省古館参事官(政府委員ではなく説明員である。私は特に政府委員の出席を求め、同政府委員室もこのことは了承していた)の説明及びその態度等に納得がいかないので、国会法第七十四条による質問主意書を提出する。
 なお、その答弁をまつて、法務、決算各委員会又は、公害対策並びに環境保全特別委員会等で改めて質問する。

一 海ないし海浜は一体誰のものなのか。(法的根拠を示し、説明して頂きたい)
二 白砂青松といわれた由緒ゆかしい名勝の地、瀬戸内海及びその海浜を死の海と化し、きれいな海浜を住民から奪つた責任は一体誰にあるのか。
  生産第一主義高度成長政策をとつてきた政府、海岸埋立の許(認)可をし、それを実施してきた地方自治体なのか。その埋立地や海岸に進出し、公害を垂流した無責任企業なのか。政治、社会的責任及び法的根拠等に基づき、具体的にその責任の帰属を明らかにされたい。
  ケースバイケース等というような抽象的お座なりな答弁では了承できない。
三 入浜権主張の根拠は「元来、海は万民のものであり、地域の住民は自由に海岸に出て、潮くみ、流木拾い、貝採り、釣魚、のり摘みなどを行つて来た。山でいえば入会権のようなもので法律以前の人権、生活権だつた。市民は憲法でいう、よい環境のもとで生活できる権利の一部として、海岸を散策し、釣り、水泳のできることなどが保障されてよい。」というものであり、入会権にちなんで入浜権といつて住民運動を起こしている。私は入浜権即入会権とまではいわぬが、入浜権主張の一根拠となると思うがどうか。(会議録二十七頁第一段五行目以下参照)
  入会権に関する民法第二百六十三条、第二百九十四条はいずれも“慣習に従う”とあり、いずれもその地方の慣習が優先する。海浜において海水浴、潮干狩り、魚釣り等についてその地方に古くより慣習がある場合はどうか。また民法第二百六十三条、第二百九十四条の“慣習”をどう解するのか承りたい。
四 政府は国民の生活権、自然環境保全を確保する義務があり、生活環境保全、改善についてどう考えているのか。
五 現に兵庫県高砂市では市民(住民)運動として、同市長及び各企業に対し質問書などをもつて、せめて遊歩道ぐらいは造つて欲しいと要求しているが、いずれも何ら具体的な回答がないと聞いている。政府は地方自治体及び各企業に対し、これを解決するためにどのような指導をされるか。またこの種の市民(住民)運動は同じような環境にある各地にその運動の輪が広がると思うが、これに対する対策をどう考えられるか方針を承りたい。
  私の質問が新聞等で報道されて以来、和歌山県、福岡県などから書面、電話などで頑張つて欲しいとの激励が数多く来ている。
六 当日の分科会において法務省古館説明員は「私どもは……民法を所管している官庁でご座いますので……」(会議録二十七頁第一段終りから十二行目以下参照)―この説明員はまさか法務省設置法を知らないとは思わぬが―と説明しているが、私は何も民法所管の説明員の出席を求めたものでもなく、関係政府委員の出席を求めたものであり、法務省は何も民法のみを所管しているものではないと思うが、この説明をどう思うか。またこれに関連して国会法第六十九条、第七十条、第七十一条の政府委員(毎国会ごとに内閣総理大臣が政府委員を任命し、議長に通知、議長がこれを承認する)と説明員はどこが違うのか。私は説明員は単に事実について説明する者であると理解し、説明員は個人の主観を国会(委員会)において述べるべきではないと思うがどうか。従つて個人の主観を入れた説明は会議録より取り消すべきであると考えるがその点どうか。(この点については国会が決定すべきものであるが、まず政府の見解を問う)
七 美しく、楽しい海浜を奪われたための個人失費も相当額に達する。(入浜権を主張するに当たり、この運動を進めている“公害を告発する高砂市民の会”が昨夏、市内五百世帯について調査したもの(会議録二十七頁二段十九行目以下参照)がある)この失費等は今、直ちに訴訟(民事、行政)などで、損害賠償を請求することなど私は考えていないが、いずれ誰かが、何らかの方法で補償すべきものと思うが、政府はどう考えるか。

 右質問する。





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