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昭和五十二年六月八日提出
質問第二九号

 伊達火力発電所パイプライン建設に伴う農業問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年六月八日

提出者  小川国彦

          衆議院議長 保利 茂 殿




伊達火力発電所パイプライン建設に伴う農業問題に関する質問主意書


 北海道電力株式会社(以下、「北電」という)の伊達火力発電所燃料パイプライン(以下、「本件パイプライン」という)計画の進行によるルート沿線の農業破壊が現実のものとなりつつある。具体的には、農業振興地域の整備に関する法律(以下、「農振法」という)による農業振興地域指定解除、農地法による農地転用事前審査及び土地改良法に係る土地改良区の用水路工事等が関係行政諸機関によつて手続的にも内容的にも違法不当に取り扱われることによつて、沿線農民に営農上の不安を抱かせ、陳情・請願・抗議等の行動が行われてきただけでなく、パイプラインによる災害の危険と環境破壊を引き起こそうとしている。
 この懸念に基づき、以下の諸点について質問する。

一 農振法による農業振興地域指定解除について
 (1) 本件パイプラインに関する農振法による農業振興地域指定解除について、伊達市・北海道及び農林省が関与した諸措置を、日付・件名・根拠法令をそれぞれ付して示されたい。
 (2) 農林省は本年五月十日北海道に対して右指定解除に関する内諾を与えたとされているが、それは、次の事項を検討した上でのことか。
   (ア) パイプラインによる営農上の支障の有無
   (イ) パイプラインの安全性
   (ウ) 沿線農民の抱く営農上の不安の解消策
 (3) 右指定解除は、本件パイプラインに係る農地転用事前審査の内示(農地局長通達四六農地B第五〇〇号、第一の三の(三)のイに規定されているもの)以前になされるべきものか。また、伊達火力発電所建設に伴う送電用鉄塔に係る指定解除は、同鉄塔に係る農地転用許可以前になされたか。
 (4) 本件パイプライン設置を目的とする立坑並びにトンネルの建設が農業振興地域(伊達市館山)内に計画されているが、それらの建設には右指定解除を要するか。
     要するとすれば、農振法の目的にかんがみ、農林大臣は当該立坑並びにトンネルの建設工事並びに建設後の保全管理に関する行政上の権限と責任を有するか。
     また、建設大臣は右権限と責任を有するか。然りとすればその根拠法令を示されたい。
二 農地法による農地転用事前審査手続について
  本件パイプラインの農地転用事前審査手続として、北電は昭和五十一年十月十五日伊達市農業委員会に農地転用事前審査申出書を提出し、同委員会はこれを受理した。同委員会は十一月九日、これに抗議する市民を警察に逮捕せしめて決定を強行し、十一月十一日胆振支庁に意見書を進達した。これに対して十一月二十九日、右措置に関する措置請求が九十六名もの市民によつてなされ、伊達市監査委員会は昭和五十二年一月二十七日に通知された監査結果の中で、申出書に対する同委員会の措置が農地局長通達(四六農地B第五〇〇号)と異なる処理であることを認めた。
 (1) 農林省は、北電による右申出書並びに伊達市農業委員会による右意見書を承知しているか。
     然りとすれば、知るに至つた経過(日付等)を根拠法令を添えて示されたい。
 (2) 右局長通達は国家行政組織法第十四条に基づくものか。
     然りとすれば、農地転用手続に際しては、右局長通達は遵守さるべきものか。
 (3) 本件パイプラインの農地転用事前審査のためになされた手続は、右局長通達に違反してはいないか。
     然りとするなら、当該申出書並びに意見書は転用候補地の選定の適否について判断する対象となしうるか。
 (4) 農地を転用する場合の事前審査というのは、「二ヘクタールを超えるような大規模の農地転用の場合は、事業者が候補地の選定についてあらかじめ農林省と協議して、用地の選定が適当だと認められた場合、初めて用地の買収交渉に入るようにした」ということか。
三 農地法による農地転用の許可基準について
  本件パイプラインのための農地転用事前審査申出書に係る伊達市農業委員会の意見書(昭和五十一年十一月十一日担振支庁に進達されたもの)の許可方針該当事項は、甲種農地について、「市街化調整区域における農地転用許可基準の第二の一の(2)のCのアに該当」するとしている。
  右判断に関連して生じてくる以下の問題点について質問する。
 (1) 本件パイプラインのための農地転用が農林次官通達四四農地B第三一六五号の第二の一の(2)のCのアに該当するとされた場合は、本件パイプラインの設置が土地収用法の適用を受けることと定められた事業であると判断されたと解してよいか。
 (2) 農林大臣は電源開発調整審議会(以下、「電調審」という)委員として、伊達火力発電所建設のために必要となる、土地に関する権利の調整に関与したか。
 (3) 伊達火力発電所建設のために必要となる、土地に関する権利の調整が行われた年月日とその際権利が調整された土地の所在地(字名等)を示されたい。
     また、右以外に権利の調整を必要とする土地があれば併せて示されたい。
 (4) 農林大臣は、本件パイプライン建設のための、土地に関する権利の調整の必要をいつ・いかなる方法で承知したか。知るに至つた法令根拠と共に示されたい。
 (5) 第六十回電調審において本件パイプライン建設のための、土地に関する権利の調整がなされたか。
     否とするなら、本件パイプラインが伊達火力発電所の不可欠な構成部分でありながら、本件パイプライン建設のための土地に関する権利の調整が伊達火力発電所建設のために必要となる土地に関する権利の調整の一部とならない理由を示されたい。
四 北電は本年四月末から五月にかけて、本件パイプラインルート沿線住民に対し、一メートル当たり二万円余のいわゆる迷惑料を支払つたことが報ぜられている。
 (1) 右迷惑料は、電調審所掌事務のうち、「土地に関する権利の調整」に該当するものとして北電により執行されたものか。
 (2) あるいは、右迷惑料は、電調審所掌事務のうち、「損失の補償」に該当するものとして北電により執行されたものか。
 (3) 右迷惑料は、伊達火力発電所建設費のうち、どの項目に当たるものとして支出されたか。
 (4) 右迷惑料に関する監督官庁の財務監査は、いつ・いかなる方法でなされるのか。また発電原価に算入されるべき性質の支出か。
五 伊達土地改良区の用水路工事について
  北電は館山下地区において、伊達土地改良区の用水路敷に本件パイプラインを埋設する計画をたて、昭和五十一年五月十一日に用水路敷の使用願を提出し、同九月三日これに伊達改良区は承認を与えている。これに基づき北電は同十一月二十七日に用水路工事に着手したが十二月十五日に至つて同工事を中止し、さらに本年四月には、原状回復工事を行つた。
 (1) 農林大臣は、土地改良法所轄大臣として、右事情を承知しているか。
 (2) 伊達土地改良区の右承認の条件第三項に「北電が北海道と締結した協定の遵守」とあるが、同協定は昭和五十一年十月二十五日に締結されている。存在しない協定を条件として実質的財産処分を行うことは、土地改良法の立法趣旨に反しないか。
 (3) 右用水路工事について、伊達土地改良区は昭和五十一年十一月二十四日付組合員への依頼文において「土地改良法に基づく改良工事なので協力されたい」旨記し、一方北海道農地開発部管理指導課長は住民の質問に対する昭和五十二年三月二十八日付回答書(管指第六三六号)において「北電が行う補償工事」と記している。
   (ア) 右用水路工事が土地改良法に基づくとすれば、北電は工事実施の資格を有するか。
   (イ) 右管指第六三六号にある補償工事とは何を補償するための工事か。北電によつて営まれる電気事業によつて伊達改良区が被る損失を補償するためのものか。
   (ウ) 北電による右補償工事なるものは電気事業法及び土地改良法に係わらない「私契約」によるものか。
   (エ) 北電による右補償工事なるものは、電気事業法に規定される北電が営む電気事業の一部をなすものか。

 右質問する。





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