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昭和五十二年十一月十日提出
質問第一三号

 工業所有権制度の国際化に伴う審査体制に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年十一月十日

提出者  上坂 昇

          衆議院議長 保利 茂 殿




工業所有権制度の国際化に伴う審査体制に関する質問主意書


 工業所有権制度の国際化に伴う審査体制についての対策は緊急を要すると考える。
 特許協力条約(以下条約という)が近く発効する状況にあり、我が国もこの条約に加盟する方向で準備が進められている。また、この条約に基づく出願についての審査国は、その出願後一年半でサーチレポートを作成する義務を負い、アメリカ、西ドイツ、ソ連、国際特許協会(IIB)と並び、我が国も審査国の一員に予定されている。
 国会においても、今日まで種々論議されていることであるが、特許庁は膨大な未処理案件をかかえている現状のなかで、我が国が果たして条約における審査国としての義務を果たし得るか、また、国内的にも通常の出願の処理に影響があるのではないか懸念されるものが多々あるので、以下の諸点につき回答を求める。

一 アメリカ、西ドイツ及び我が国における特許出願(実用新案登録を含む)の件数、審査請求件数、年間処理件数、審査官一人当たりの処理件数及び平均処理期間の各項目について、過去五箇年につき経年別に提示されたい。
二 昭和五十一年五月十一日第七十七回国会において(参議院外務委員会)、特許庁長官は「審査請求制度導入後、昨年は要処理期間で二年十箇月まで下がつたが、最近は増加の傾向にあり、現在三年二箇月ぐらいになつている」旨の答弁を行つているが、このような状況で、条約にスムーズに加盟できるものか疑問視せざるを得ない。よつて、特許庁の要処理期間短縮の見通し及びそのための具体的対策を明らかにされたい。
三 条約に基づく出願に対しては、世界的に信頼されるサーチレポートを作成しなければならないが、そのために特許庁は、当然世界各国の特許文献及び非特許文献を収集しているはずである。現在でも特許情報量の増大が問題視されており、審査におけるサーチ負担は、条約加盟によりさらに増大するものと考えられる。よつて次の諸点につき回答を求める。
 (1) 条約に基づく出願は、条約加盟当初においては年間何件ぐらいと予測しているか、推定根拠を含め示されたい。
 (2) 条約に基づく出願を審査するために、今日まで収集した文献数を特許・非特許に分けて示されたい。またその文献を形態別(原本・抄録・マイクロフィルム等)に示されたい。
 (3) 条約に基づく出願の審査業務量は、現行の業務量に比較してどの程度の増大を予測しているか、その推定根拠を含め示されたい。
 (4) 現在、特許法第二十九条に規定する世界の刊行物についての公知制度を採用しているにもかかわらず、審査資料及び出願量の増大により、審査に当たつては現実として調査すべき資料も十分消化しきれない状況にある。しかし、条約加盟に際しては、当然世界の刊行物を精査しなければならないのであるから、早急にその体制を整備する必要があると思料する。よつて、審査体制整備の計画を、予算上の措置を含め示されたい。
 (5) 国際特許分類への移行に当たつては、審査官の分担変更及び膨大な審査資料の再配置に伴う混乱が予想される。さらに、出願人にとつては分類が権利調査の一番の目安であるだけに、現状における国際特許分類への移行は、現行制度の運用にも混乱ないし支障を来す恐れがある。よつて特許庁は、この移行計画について具体的に提示されたい。
 (6) 工業所有権審議会の中間報告によると、第七項その他に「国内審査には国際型調査を実施しない」旨が報告されている。もちろん条約においては義務付けられていないが、国内出願においても国際的に通用するレベルにまで質を高める必要があると思料する。従つて、国内審査においても国際型調査を実施し、真に権利が欲しいものだけを審査するといつたシステムを整備する必要があるのではないか。この件について特許庁の見解を示されたい。
 (7) アメリカ、イギリスにおいては、国際特許分類による審査体制の改革及び自国分類化について着手していないが、その理由とそれについての特許庁としての見解を示されたい。
四 特許庁における資料の増加は、審査処理能力向上のための人員増と相まつて深刻なスペース問題を提起しており、私の調査においても、分断された既存の二つの庁舎の許容限度をはるかに超えている。かかる観点から以下の件につき回答を求める。
 (1) 昭和四十四年七月一日、第六十一回国会衆議院商工委員会における通産大臣官房長両角政府委員の「日本の国力にふさわしい立派な特許庁の施設を完成したい」旨、また「特許庁関係の部局を最も近代的な設備の中に統一的に収容いたす」旨の答弁がなされ、さらに、昭和四十八年九月十四日、第七十一回国会衆議院商工委員会における齋藤特許庁長官の「昭和五十年度末までに特許庁庁舎を統合できる」旨の答弁がなされており、特許庁庁舎の改善については、国会でも強く要請されて来たところである。しかるに未だに改善されていない理由はどこにあるか明らかにされたい。
 (2) 特許庁庁舎は、現在通産本省庁舎、霞が関庁舎に分かれているが、計画では昭和五十年度末までに通産本省庁舎に一括収容の予定であつた。しかしながら既に二年を経過した今日なお実現に至らず、この間の資料増、人員増を考慮すれば、新たに計画を立て直す段階にあると考える。よつて、今後の資料増加状況の予測、収容必要スペース対策について明らかにされたい。
 (3) 通産省庁舎新設の三期庁舎の建設計画の進ちよく状況を、五十二年度予算方針との関連で明示されたい。
 (4) 条約加盟に際して、国際的審査体制を保障するために必要とする庁舎スペースの増について、審査系、事務系別の予測及び計画について明らかにされたい。
 また条約加盟に際し、ヨーロッパにおいてはヨーロッパ特許庁の新設等庁舎面での整備が進められているといわれるが、アメリカ、西ドイツ、ソ連の各国における特許庁庁舎スペースはどの程度であるか、審査系、事務系及び資料室のスペース及び各系別職員一人当たりのスペースを、我が国のそれと比較して明示されたい。

 右質問する。





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