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昭和五十二年十一月二十四日提出
質問第一六号

 伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十二年十一月二十四日

提出者  渡辺三郎

          衆議院議長 保利 茂 殿




伊達発電所の設置に係わる電気事業法等の運用の実態に関する質問主意書


 北海道電力株式会社(以下「北電」という)の伊達発電所は、その本体工事が既に完成されているにも係わらず、エネルギー源となる燃料の適正なる安定供給手段を欠いたため、未だに電力の供給が開始されていない。
 そこで、この間の事情を質すため、同題の質問主意書を提出したところ、内閣答弁書(内閣衆質八一第一号)の送付を受けた。しかし同答弁書には、今少し不明確・不充分な点もあると思料されるので、同答弁書に関連して、北電に対し監督責任を有する通商産業大臣の御見解を重ねて賜りたい。

一 公共事業用施設の設置に係わる適地判断の重要性に関する答弁について
 (1) 適地判断以外に電源開発にとつて最重要事項となるものは何か、そのすべてを列挙されたい。
 (2) 電源開発の実施に当つては、関係住民の理解と協力を得ていくことが不可欠であると答弁されるが、
   (イ) 何故不可欠であるとするのか。
   (ロ) 関係住民の理解と協力を得るための手続き及び要件を法的根拠を添えて示されたい。
 (3) 電源開発の実施に当つては、その実施場所の自然条件及び社会環境を充分に考慮することが不可欠であると答弁されるが、
   (イ) 充分に考慮された自然条件が満たすべき要件を項目別に列挙されたい。
   (ロ) 充分に考慮された社会環境が満たすべき要件を項目別に列挙されたい。
 (4) 電気の安定的な供給を確保するのに必要な要件は何か、そのすべてを列挙されたい。
二 昭和四十八年法律第八十四号による改正前の公有水面埋立法(以下「旧法」という)による埋立免許等に関する答弁について
 (1) 右免許は、旧法四条二号に該当するものとしてなされたものではないと答弁されるが、埋立免許の要件事実としての是非はともかくとして、
   (イ) 本件埋立は「その埋立に因りて生じる利益の程度が損害の程度に著しく超過するとき」に該当することにはならないというのか。またならないのであるならば、その原因は何か。
   (ロ) 本件埋立により生じる利益には、どのようなものがあり、その程度はどのように見積られていたのか。
   (ハ) 本件埋立により生じる損害には、どのようなものがあり、その程度はどのように見積られていたのか。
 (2) 右免許に係わる旧法六条一項による損失補償は、伊達漁業協同組合(以下「伊達漁協」という)と北電との間に締結された協定に基づいて行われたものであると答弁されるが、
   (イ) この協定は、旧法六条三項により北海道知事の裁定によるものなのか。その他北海道知事はこの協定の成立に、如何なる法的根拠によりどのような貢献をなしているのか。
   (ロ) この協定が成立し、その効力が発生するに至る経過について、@協議開始A協議成立B協定締結C協定発効の各年月日を示されたい。
   (ハ) この協定では、漁業損失に対する補償金として四億五千万円、温排水利用の研究開始に対する協力金として二千万円の計四億七千万円の支払いが取り決められているのか。またそうであるならば、これら金額の積算根拠を示されたい。
   (ニ) 右において、何故温排水利用の研究開発に対する協力金が漁業補償として支払われることとなつたのか。またこの研究開発を行う主体(研究機関)はどこか。
   (ホ) 補償金の支払いが四回の分割払いになつているが、これはそれらの支払いの年月日が、この協定で取り決められていたことによるのか。その他その理由を示されたい。
   (ヘ) この協定では、埋立着工の時期については、どのように取り決められていたのか。
 (3) 右免許に係わる旧法六条一項による損害防止の施設として海水汚濁防止対策が行われたと答弁されるが、
   (イ) この対策は、右(2)にいう協定に基づくものとしてよいのか。そうでなければ、この対策の根拠規定を示されたい。
   (ロ) 汚濁の発生及び拡散の原因を含めて、海水汚濁防止シートの具体的な内容を示されたい。
   (ハ) 排水浄化設備の具体的内容を示されたい。
 (4) 右免許に係わる旧法十一条の免許の告示の年月日及びその方法を示されたい。
 (5) 右免許に係わる申請において、北電は埋立工事の着手及びしゆん工の年月日をそれぞれいつとしていたのか。
 (6) 本件埋立のしゆん工認可の申請、同認可、北電による同埋立地の所有権取得及び同所有権登記の年月日を示されたい。
 (7) 本件埋立に関し、旧法二十五条による公共用国有地の下付が北電に対して行われていれば、その年月日、面積及び価格を示されたい。
 (8) ところで、公有水面埋立法を所管する省庁名を、局、部、課のレベルで明らかにされたい。
三 漁業法の手続きに関する答弁について
 (1) 本件埋立工事の施工区域内にあつたと答弁された昭和四十三年九月一日付海共第百三十五号の免許に係る第一種共同漁業を内容とする共同漁業権の一部(以下「本件漁業権」という)について
   (イ) 昭和四十七年五月三十一日の伊達漁協の総会で海共第百三十五号の漁業権に係る漁業権変更の特別決議(以下「本件決議」という)では本件漁業権の消滅又は放棄を含んでいたのか。その他この決議では本件漁業権についてどのように扱われたか。
   (ロ) 北海道知事が行つた昭和四十八年六月二十五日付の海共第百三十五号の漁業権に係る変更免許(以下「本件変更免許」という)は、本件漁業権を消滅させる効果をもつていたのか。
       その他この変更免許では本件漁業権についてどのように扱われたのか。
   (ハ) 本件漁業権に係わる漁業権行使規則の対象となつた漁民(伊達漁協の組合員)は何名だつたのか。
   (ニ) 本件漁業権に係る漁業権行使規則は、伊達漁協では、本件決議に当たりどのように扱われたのか。
   (ホ) 本件漁業権に係る漁業権行使規則は、本件変更免許の際、どのように扱われ、または考慮されたのか。
   (ヘ) 本件変更免許に係る変更事項とは何か。そのすべてを列挙されたい。
   (ト) 本件漁業権の消滅に伴う当該漁業権行使規則の変更又は廃止の手続きについて、@伊達漁協での水産業協同組合法五十条による特別決議の年月日と内容A北海道知事への認可の申請の年月日B同認可の年月日を示されたい。
 (2) 海共第百三十五号の漁業権は、昭和四十八年八月三十一日に存続期間の満了により消滅したと答弁されるが、
   (イ) 右において消滅したとされる漁業権は、本件漁業権以外の当該漁業権をさすものとしてよいのではないのか。
   (ロ) 本件漁業権が消滅したとする正式の年月日はいつか。
   (ハ) 漁業権免許の存続期間は、その満了により当該漁業権を消滅させるために設定されるものなのか。
   (ニ) 漁業権免許に存続期間を設定したのは、状況の進化の中で漁業権の内容をリフレッシュするためではなかつたのか。
   (ホ) 存続期間満了による漁業権の消滅では、漁業補償はどのように扱われるべきものなのか。
   (ヘ) 右において消滅したとされる漁業権に関する漁業補償は現実にはどのように扱われたのか。
 (3) 伊達漁協に対する漁業補償は、漁業損失に対する補償金として四億五千万円、温排水利用の研究開発に対する協力金として二千万円の計四億七千万円が、四回に分割されて北電より支払われ、伊達漁協は、配分委員会を設けて組合員各人に配分したと答弁されるが、
   (イ) 四回に分割されて伊達漁協に支払われた漁業補償について、その期日毎に分割して支払われた金額を、それぞれ示されたい。
   (ロ) 四億七千万円にのぼる伊達漁協に対する漁業補償を、権利補償(公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱十七条に該当するもの)と損失補償(同要綱五節に該当するもの)の別に、それぞれの総額及び積算根拠を示されたい。
   (ハ) 配分委員会を設けて組合員各人に配分するということが同要綱にある個別払いの原則に従つた措置であるとした北電の根拠は何か。
   (ニ) 補償金支払いに同要綱において個別払いの原則が設けられている理由は何なのか。
 (4) 北電が有珠漁業協同組合(以下「有珠漁協」という)に対し、同漁協と締結した協定に基づく覚書により、漁業振興資金及び再建助成金を支払つたと答弁されるが、
   (イ) 右協定及び覚書が締結された年月日はそれぞれいつか。
   (ロ) 漁業振興資金及び再建助成金を北電が支払つた年月日及び同日における支払い金額をそれぞれ示されたい。
   (ハ) 漁業振興資金及び再建助成金を、北電が協定まで締結して支払わねばならない理由は、それぞれ何か。
 (5) ところで、漁業法及び水産業協同組合法を所管する省庁はそれぞれどこか、局、部、課のレベルで明らかにされたい。
四 伊達発電所の設置に係わる適地判断並びに電源開発促進法(以下「電発法」という)及び電気事業法(以下「事業法」という)の手続き経過に関する答弁について
 (1) 伊達発電所の満たすべき公共用事業施設の設置に関する適地判断の是非に係わる法定要件は、電発法及び事業法の規定によつたとしてよいのか。
 (2) 伊達発電所の電源開発基本計画(以下「基本計画」という)への組入れについて電源開発調整審議会(以下「電調審」という)が聴取した北海道知事の意見について、次の事項を明らかにされたい。
   (イ) 聴取することを必要とした理由
   (ロ) 聴取した年月日
   (ハ) 聴取した意見の内容
 (3) 基本計画の立案に当たり考慮された国土の総合的な開発、利用及び保全、電力の需給その他電源開発の円滑な実施を図るため必要な事項について
   (イ) 右の事項を項目別に列挙されたい。
   (ロ) 伊達発電所の基本計画への組み入れについては、右の事項についてどのように評価されたのか、それぞれの事項毎に明らかにされたい。
   (ハ) 右の事項と事業法五条の各号の要件とは、どのような関係にあるのか。各号の要件毎に明らかにされたい。
 (4) 伊達発電所の基本計画を審議した電調審において燃料油の搬入方法についても説明が行われたと答弁されているが、次の事項を明らかにされたい。
   (イ) 説明者の氏名、所属
   (ロ) 説明が行われた年月日
   (ハ) 説明の内容
 (5) 右電調審において、伊達発電所への燃料油の搬入につき、タンクローリによる道路輸送、タンク貨車による鉄道輸送(必要となる線路を敷設するものとして)、陸地部でのパイプライン輸送、海中パイプライン輸送及びタンカーによる海上輸送について、どのような比較衡量が行われたのか、具体的に明らかにされたい。
 (6) 胆振地区の電力需要増加に見合う電源として、伊達発電所とそれ以外の候補地との比較衡量(適地判断)において、燃料油の搬入方法はどのように扱われたのか。
 (7) 胆振地区における電力の最大消費地は室蘭市ではないのか。
 (8) 伊達発電所を設置する代りに室蘭市に発電所を新設してはいけない理由は何か。
 (9) 事業法八条一項に基づく通商産業大臣の変更許可に当たり、内閣総理大臣が電調審の議を経て決定した基本計画を参酌しつつ、同法五条の基準に照らして、適地判断は総合的・概括的な形で行われていると答弁されているが、
   (イ) 「参酌する」とは、「くらべあわせていい方をとる」と解釈してよいのか。その他どのように解決すべきものか。
   (ロ) 基本計画における内閣総理大臣による適地判断と事業法八条一項による変更許可における通商産業大臣の適地判断とが異なる場合、事業法による通商産業大臣の処分権限は事業法上基本計画にき束されないとしてよいのか。
   (ハ)内閣法は、通商産業大臣の処分権限を内閣総理大臣の権限が拘束することを規定していると解釈してよいのか。その他、右(ロ)の場合に照らし内閣法はどのように解釈すべきものか。
   (ニ) 内閣法六条にいう「閣議にかけて決定した方針」とは、同法四条による閣議決定をさすのか。
   (ホ) 内閣法六条により、例えば通商産業大臣の処分権限が閣議決定によりき束されると解釈してよいのか。
 (10)内閣総理大臣による発電所設置に関する適地判断は、事業法五条の基準にき束されるものなのか。そうであるならば、その根拠及び理由を示されたい。
 (11) ところで電発法に係る事務は、どの省庁が所管しているのか。局、部、課のレベルで示されたい。
五 伊達発電所の石油パイプライン(以下「本件パイプライン」という)に関する答弁について
 (1) 本件パイプラインに係わるホース・コネクションを設置することにより、長大構造物としての構造強度等保安上どのようなデメリットがもたらされるとしているのか。
 (2) 右の如きデメリットを容認してまでして、パイプライン内の危険物と置換した水を殊更ホース・コネクションにより除去させねばならないとする理由は何か。
 (3) 法令による設置基準により設置が義務付けられ、または設置の態様がき束される施設以外の施設を設置するとき、その施設の設置に係わる安全性は、法令により担保されることにならないとしてよいのではないのか。
 (4) 石油パイプライン事業法(以下「パ事業法」という)に係わる石油パイプライン施設の安全性は、同法令によりすべて担保されているとしてよいのではないのか。
 (5) パ事業法に係わる技術基準は、パ事業に係わる石油パイプライン施設の安全性を完全に保証するものとしてよいのではないのか。
 (6) パ事業法に係わる技術基準告示(昭和四十八年九月二十八日付)の四十六条にある石油を除去するための措置は、表現が不鮮明であるが、次の三つの場合、実態にどのような差異が出るか明らかにされたい。
    @ 告示本文から「相隣接した二の」を取り去つた場合
    A 告示本文から「二の」を取り去つた場合
    B 告示本文通りの場合
 (7) パ事業法に係わる技術基準省令(昭和四十七年十二月二十五日付)の五十四条のピグ取扱い装置に係わるスフェアがパイプラインを例えば、パイプラインの伸びによる径の縮少、緊急しや断弁の不完全な開閉等の異常事態により通過することが不可能となつた場合、技術基準告示五十一条三号に定める緊急対策のための資機械を用いてどのように対処するのか、例示されたい。

 右質問する。





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