衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
昭和五十三年二月二十二日提出
質問第一四号

 東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年二月二十二日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 保利 茂 殿




東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する質問主意書


 東大医学部附属病院精神神経科病棟(以下「病棟」という。)は、昭和四十四年九月以降八年六箇月の長期にわたり、一部無法な医師グループに占拠されている。これがため精神神経科の機能は全く失われ、精神神経科の教育、研究及び診療に著しく支障を来して今日に及んでいる。
 このような大学の自治とは全く無関係な異常事態が密室の中の出来事のように一般に知らされず、従つて一般から批判されることもなく、延々と続けられてきているということは、真に奇怪至極であり、法の秩序と大学の使命にかんがみ、断じて看過することは許されない。
 よつて、一日も速やかにこれが正常化を図るべきであると考えるので、次の諸点につき政府の説明と見解を承りたい。

一 病棟の占拠等について
 (一) 病棟が占拠されるに至つた経緯及び現在まで占拠が続けられている事情は、何であるか。
     また、病棟を占拠した東京大学精神科医師連合とは、如何なる性質の団体であるか。
 (二) 占拠されている病棟の施設の用途、目的及び面積等を明らかにせられたい。
 (三) 占拠当時から現在に至るまでの占拠者全部の氏名及び職名並びにその首謀者の氏名、職名及び経歴等を明らかにせられたい。
 (四) 東大職員以外の医師約三十人が交代で診療の手助けをしていると聞くが、これらの医師の手助けは如何なる法的根拠、理由で正当化されているのか。また、これらの医師に対する報酬はどのように支払われているのか。
 (五) 病棟の病床は七割が空きベッドであり、かつ、病床は診療に関係のないゲバ学生らの宿泊にしばしば利用されていることが警視庁に確認されていると聞くが、その事実の有無等を詳細に明らかにせられたい。
 (六) 占拠直後から暴力事件が多発し、管理・監督の地位にある責任者が「暴力が起こるから(病棟に)入つてはいけない。暴力を誘発する人にも責任がある」などとの不可解な発言を続けていると聞くが、そのとおりの事実であるか。また、昨年十二月には入院患者に自殺者を出したと伝えられるが、これは病棟内での管理が極めて不十分であることに基因するのではないか。
 (七) 病棟が占拠されて以降、精神神経科に係る治療費や入院費、諸経費等収支の経理、物品・国有財産等の管理は、どのように行われてきているか。
 (八) 病棟が占拠されたことにより、精神神経科の教育、研究及び診療にどのような支障を来しているか。また、学生の病棟実習は、どのように実施されてきているか。
二 国有財産法との関係について
 (一) 国有財産法に基づく文部省所管国有財産取扱規程によれば、部局長は国有財産をその用途及び目的に応じ、常に良好な状態に維持し、保有し、これを最も効率的に運用する等、監督の責任を負うことになつているが、病棟の管理、監督の責任者である東大附属病院長は、忠実にこの管理、監督の責任を果たしてきているか。
 (二) また、国立大学の長は、教育及び研究に支障を来すこととなる国有財産の用途及び目的の阻害が発生し、又は発生するおそれがあると認めるときは、これを是正するため速やかに必要な措置を講じるとともに、速やかに当該事態及び措置状況について文部大臣に報告しなければならないことになつているが、東大の学長は、占拠された病棟につき今日まで如何に対処してきたのであるか。
 (三) 更に、文部大臣は、独自の権限をもつて、当該国立大学の長から報告を求め、国有財産の管理及び処分について特に必要があると認める場合には、当該大学の長に対し採るべき措置を指示することができることになつているが、文部大臣は、本件に関し東大の学長に対し如何なる指示をし、また、東大の学長は、当該指示に従い如何なる措置を講じてきたのであるか。
 (四) なお、文部大臣は、監査員を派遣して各部局に所属する国有財産の管理及び処分に関する事務について監査するものとされているが、文部大臣は、占拠された病棟について今日までどのような監査をしてきたのか。その監査状況の詳細について明らかにせられたい。
 (五) 物品管理法によれば、各省各庁の長は、その所管に属する物品を管理し、また、物品管理職員は、法令の規定に従い善管注意をもつて物品管理事務を行わなければならないことになつているが、病棟内の物品管理はどのように行われてきたのであるか。
 (六) 会計検査院法によれば、会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図ることになつているが、会計検査院は、病棟に関する会計検査を徹底的に行つてきたのか。また、その非違をどのように是正してきたのか。
三 教育公務員特例法等との関係について
 (一) 教育基本法によれば、法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職務の遂行に努めなければならないことを明記しているが、病棟を占拠している医師グループの行動は、この法の規定に違反する暴挙と考えるがどうか。
 (二) 教育公務員特例法によれば、教育公務員の服務については、国家公務員法の規定が一般的に適用され、国家公務員と同様、その職務を遂行するについては、法令に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないとされ、また、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならないとされているが、病棟を占拠している医師グループの行動は、教育公務員としての服務規定に違反するものと考えるがどうか。
 (三) 病棟を占拠している医師グループの今日までの行動にかんがみ、任命権者たる東大の学長は、速やかに所要の手続きを採り、これら職員を法に基づいて処断するとともに、直ちに退去命令を出して速やかに病棟の秩序回復を断行すべきではないか。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.