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昭和五十三年十月十二日提出
質問第八号

 新東京国際空港公団の航空機給油施設の設置場所の選定理由及び地域住民の意思尊重の必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年十月十二日

提出者  木原 実

          衆議院議長 保利 茂 殿




新東京国際空港公団の航空機給油施設の設置場所の選定理由及び地域住民の意思尊重の必要性に関する質問主意書


 新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)は、千葉市から成田市までの航空燃料輸送パイプライン計画を昭和四十六年八月に公表し(以下「四十六年計画」という。)、これを変更した計画を昭和五十三年一月に公表した(以下「五十三年計画」という。)。
 空港公団は、四十六年計画の沿線住民との間で争われたパイプライン工事中止仮処分命令申請事件の決定(昭和四十七年七月)において、千葉地方裁判所から住民の不安解消の方法等を批判された。国会においても、昭和四十七年六月、石油パイプライン事業法(以下「石パ法」という。)の附帯決議がなされ、そこには関係地域住民の意思尊重が明記されている。すなわち、石油パイプライン事業を行うに当たつては、石パ法立法の精神にかんがみ、地域住民の理解と協力を得ることが必要である。
 しかるに五十三年計画公表以来、空港公団及び千葉市の言動には不可解なものがあるので、石パ法附帯決議との関連において質問する。

一 空港公団は、昭和五十三年四月から五月にかけて千葉市内で行われた沿線住民への説明会において、住民からの素朴な「なぜ出発点が千葉港頭であつてそうでなくてはならないのか」という質問(以下「石油ターミナルの必然性」という。)に対し、「千葉県から分譲を受けたものである」という答弁とは言えない答弁に終始したと聞いている。
 1 千葉市が作成した五十三年計画の検討報告書には、その検討が千葉港頭と東関東自動車道路を結ぶという前提でなされていることが明示されている。地域住民は石油ターミナルの必然性の説明を求めているが、この説明は不要であると考えるのか否か、政府の見解を承りたい。
 2 千葉県は、千葉港頭の敷地を空港公団に分譲したとのことであるが、この際に、この敷地を石油ターミナル用地として使用するように、空港公団に対して指導した事実があるか。その事実があるならば、その指導に当たり想定していた航空燃料の輸送方法、経路を明らかにし、同敷地が石油ターミナルの場所として最適なものであるとの確認がなされていたか否かを明らかにされたい。
 3 石油ターミナルの必然性について、空港公団が検討報告書を作成した事実があるか。その事実があれば、作成期日及び報告書名を明らかにされたい。
 4 空港公団は、四十六年計画に関する前述の仮処分事件における答弁書において、海に面するパイプライン起点の基地の選定理由を次のように主張した。すなわち、検討の対象を「想定される」という理由で京葉地帯に限定し、さらに、「候補地としてあげられる」という理由で候補地を京葉シーバース(姉崎沖)と千葉港頭の二ヵ所に限定した。
  イ これだけの理由で、候補地がこの二ヵ所以外にないことを地域住民が理解しかつ納得すると考えられるか否か政府の見解を承りたい。
  ロ 空港公団はさらに、京葉シーバース(姉崎沖)は、原油揚陸施設であるから航空燃料のために使用することは不可能であり、また能力的にも限界にきていると主張した。にもかかわらず、空港公団は昭和五十三年三月以来、同地を暫定貨車輸送基地として使用している。不可能なものが可能となつたいきさつを明らかにされたい。
 5 空港公団が千葉市内の説明会において、石油ターミナルの必然性を真面目に説明しなかつた理由を明らかにされたい。
 6 石油ターミナルの必然性という問題への検討には、そこから目的地までの燃料の輸送方法と経路及び費用並びに安全性、地域の特殊性は含まれねばならないと思慮されるが、この問題に対する政府の見解を承りたい。
二 五十三年計画策定に当たり、空港公団が使用した地盤等に関する資料及び設計計算資料並びに安全性検討のための資料(以下これらを「技術資料」という。)の提供を地域住民が要求したにもかかわらず、空港公団はこれを拒否した。(昭和五十三年四月二十一日付空公給管第百二号外各地における説明会発言)
 1 空港公団が拒否した理由を承りたい。
 2 石パ法附帯決議に明記された、「関係地域住民の意思尊重と不安の解消」という立法府の意思にかんがみ、技術資料の提供を拒み、また施設の設置場所の選定理由さえ説明しないという空港公団の姿勢には重大な疑義を感ずる。政府の見解を承りたい。
三 千葉市長は、昭和五十三年八月二十二日、千葉市議会各会派代表者会議において、五十三年計画に関連して三十二項目の要求を運輸省に対して行つたこと(以下「三十二項目要求」という。)を明らかにしたとのことである。
 1 三十二項目要求がなされた期日及び決着した期日、さらに各項目を明らかにされたい。
 2 三十二項目要求のうち、要求が満たされた項目を明らかにされたい。
 3 要求を実現するために要求する費用の総額概算を明らかにされたい。そのうち、国及び千葉市の負担する費用の概算をそれぞれ明らかにされたい。
 4 三十二項目要求は、石パ法第三条第五項または同法第八条第三項に定める関係市町村長の意見であるのか。
 5 運輸省が三十二項目要求に対して行つた対応は、石パ法附帯決議(参議院)に明示された、関係地方公共団体の意思を尊重するという意を満たすものであるとの判断に立脚していると解すればよいのか。
 6 右附帯決議は、関係地域住民の意思も尊重すべきことを明示している。しかるに、三十二項目要求の項目及び内容は、昭和五十三年十月一日現在、関係地域住民に知らされていないという。そうであるならば、三十二項目要求は、関係地域住民の意思とは関係がないことになる。真偽のほどを明らかにし、関係地域住民の意思はいかにして尊重されるかを示されたい。
 7 千葉市長は、三十二項目要求の動機として、地域環境の整備及び遅れた千葉市の都市発展のために政府の目を向けさせることを挙げているとのことである。事実に相違はないか。事実であるならば、運輸省の対応は今後の石パ法と関係地方公共団体の関係に対する政府の指針を示したことになると思慮されるが、政府の見解を承りたい。
四 昭和五十三年十月一日、千葉市真砂で行われた五十三年計画に関する千葉市長と真砂地区住民の対話集会において、「市長は、なぜこの集会の前に石パ法八条の許可への同意を与えたのか」という住民の質問に対し、千葉市長は、「このあとに合意をいただけるという確約があれば、場合によつては待つたかも知れません。だけどおそらく、全体の方がすべて納得をしていただくという情勢には、この地域はまだないなという感触のもとに私は判断した」と述べ、住民を怒らせていると聞く。
 1 録音されたこの発言が市長の真意でないとすれば、まことに誠意を欠く対応であるし、真意であるとすれば、「反対の意思が見込まれたから事前に手続きを進めた」ことになる。これは、石パ法附帯決議に対する重大な違反である。千葉市長の真意と政府の見解を承りたい。
 2 千葉市長が五十三年計画に関連した対話を真砂地区で行つたのは、この十月一日の対話集会が最初であると聞くが、事実相違ないか。
 3 石パ法第三条に基づく基本計画の告示及び同法第八条に基づく事業の変更許可のそれぞれについて、千葉県知事及び千葉市長がそれぞれの条項に基づく意見の提示を行つた期日を明らかにされたい。

 右質問する。





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