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昭和五十四年一月十八日提出
質問第二号

 会社更生法の運用等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年一月十八日

提出者  渡辺武三

          衆議院議長 保利 茂 殿




会社更生法の運用等に関する質問主意書


 会社更生法(以下「法」という。)の運用いかんは、単に更生会社の債権者、株主、その他の利害関係人に多大の影響を及ぼすばかりでなく、同業他社の経営や、ひいては当該業界の隆替にも重大な影響を与えるおそれがあるので、更生手続が行われるに際しては関係行政庁の意見等が十分に反映される必要があると考える。
 ついては、株式会社興人の更生手続に関して、次の諸点につき政府の見解を承りたい。

一 株式会社興人の主たる事業のパルプ、レーヨン、セロハン等の業界は設備過剰のため、その稼動率は低く、業界各社は大幅な自主操短を余儀なくされ、ために構造的改革を必至とする状態にあるので、これらの製造設備の処理については、特に慎重な考慮を必要とするわけであるが、所管庁である通商産業大臣は、裁判所に対し、株式会社興人の更生計画案等につきいかなる意見を述べられたか、また、述べられる考えであるか。
二 更生会社の財産の評定については、法第百七十七条によると、財産の価額の評定は更生手続開始のときにおける価額であつて、会社の事業を継続するものとしなければならないことになつている。即ち、いわゆるゴーイング・コンサーン・バリューによるということになつているが、その内容についてはそれが簿価ではないこと、また、処分価額でもないことを規定している(法第百七十八条、第百八十二条参照)以外何等規定していない。
  ところで、株式会社興人の営む事業については平均的に収益性に乏しい業種であり、財産評定に際し、収益還元法に準拠した場合、その評価額は相対的に低いものとならざるを得ない。法的にそれが妥当とされたとしても、常識的な担保能力価値を下まわる場合は、債権者、株主の権利に重大な影響がある。
  現在、債権者たる北陸銀行、北国銀行並びに福岡銀行の三行が、株式会社興人の更生管財人の財産評定につき異議申立をしているが、あえて収益性の乏しい事業を基準としてゴーイング・コンサーン・バリューを求むることにより、常識的担保価値と遊離することは、取引の安全性の確保という点で問題となるので、財産評定にあたつては、徒らにゴーイング・コンサーン・バリュー万能ではなく、処分価額も併せて採用されるべきではないか。
三 更生手続における株主の地位は、特に会社に破産の原因たる事実があるときは議決権すら有せず、極めて劣位にあることは当然としても、会社更生法の目的が更生担保権者、更生債権者及び株主の三者の利害を調整しつつ、会社の維持更生を図ることにある以上、更生計画における株主の権利の変更という名目の下に、一〇〇パーセント減資して株主の権利を全部剥奪するが如きは、三者間の公正、衡平な差等の範囲を逸脱するものであり、到底是認されないものと考えるがどうか。
四 株式会社における企業の所有と経営が分離し、株式投資の大衆化が進み、また株式が経済的に見て債権化しつつある現状に顧みるときは、更生計画において、更生担保権者と更生債権者間、更生債権者と株主間の利害を調整する場合に、一〇〇パーセント減資を是認することは、余りにも株主の権利を無視し、冷遇することにならないか。
  この点につき、証券取引や投資家保護を所掌事務とする大蔵大臣は、どのように考えるか。また、大蔵大臣は、株式会社興人の更生計画案で定めた一〇〇パーセント減資につき、裁判所に対しいかなる意見を述べられたか、また述べる考えであるか。
五 これを要するに、更生計画において一〇〇パーセント減資を定めることは、会社更生法の法意に合致しないものと考えるので、会社更生法を改正し、株主の権利の変更とは株式の縮減を意味するものであり、一〇〇パーセント減資を含まない旨を明文をもつて規定すべきであると思うが、政府の見解はどうか。

 右質問する。





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