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昭和五十四年二月三日提出
質問第四号

 生命保険契約上の告知事項等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年二月三日

提出者  春日一幸

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




生命保険契約上の告知事項等に関する質問主意書


 生命保険契約の締結に当たり保険契約者又は被保険者が悪意又は重大なる過失により重要なる事実を告げず又は重要なる事項につき不実の事を告げたときは、保険会社は契約の解除をすることができることになつているが、告知義務をめぐつて当事者間に紛争を生ずる事例が少なくない。
 よつて、次の諸点につき政府の見解を承りたい。

一 過去三年間における告知義務違反により契約を解除された件数及び保険金を減額された件数はどのくらいか。なお、保険金を減額されたものについてはその減額の理由を明らかにせられたい。
二 保険会社が保険契約者に交付する告知書用紙の告知事項欄を見ると、例えば既往症について上段には「治療をうけたこと」の有無についての質問項目、下段には「手術をうけたこと」の有無についての質問項目が印刷されてあるにもかかわらず、回答欄にはこれら二つの質問項目ごとに「有」、「無」の文字を並列して印刷することなく、単に左側上段に「有」、右側下段に「無」の文字を印刷してそのいずれかを○で囲むことを求めているものがあるが、このような質問形式は不当に保険契約者をまどわせ、正確を期しがたいと思うが政府の見解はどうか。
三 生命保険会社の中には、その告知書用紙に既往症の質問項目中「最近五年間に、病気や外傷で一週間以上の治療をうけたことまたは休養したことがありますか」と印刷しているが、これはその日数が継続して一週間以上なのか、断続して一週間以上なのかが明確でなく、このことは後日に紛争の種を残すことにならないか。
四 病気の症状の程度が極めて軽微であるにもかかわらず、当今は通院一回だけで一週間以上の投薬をうけるような過剰診療に類する事例は珍らしくなくなつてきているが、このような場合でも「一週間以上の治療」に該当することになるのか。
五 二年以前に身体機能に障害があるとの懸念で診察をうけ、数回投薬をうけたことがあつたとしてもその症状が極めて軽微なために、その時医師から病状について格別に明確、適切なる注意もなく、通院の前後期間を通じ常に正常に職務に従事し、例えばこの間しばしば海外旅行までしていた程罹病の認識のなかつた被保険者が、前記のごとき受診者の事項につきあえて告知しなかつたとしても、それは悪意又は重大なる過失によるものとは言えないと思うが政府の見解はどうか。
六 その告知書では、既往症について「最近五年間に、病気や外傷で一週間以上の治療をうけたことまたは休養したことがありますか」と、その有無について告知を求めているが、五年間という期間は記憶力の限界からして過剰に過ぎるのではないか。
  保険約款では、この病状など告知義務なるものはそれが契約日から二年を超えているものに対しては、告知義務違反による契約解除権が消滅することを定めていることからすれば、この既往症に関する告知義務は、既往二年間における病気等について告知を求めることに改めるのが適当ではないか。
七 告知事項は被保険者の利益に重大なる関係があるにもかかわらず、現行のこれらの方式はあいまいで疑義が多く、かくては被保険者の権利は著しく阻害されている疑いなしとしない。
  よつて政府はこの際生命保険事業の公正なる運営を確保するため、前記のごとき現に保険会社が行使している告知書について厳格なる検討を加え公正妥当な基準を定めるとともに、このようなあいまいな方式に基づく告知義務違反のゆえに、解約並びに減額をうけた被保険者を救済するよう、適切な措置を講ずべきではないか。

 右質問する。





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