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昭和五十四年六月十四日提出
質問第五一号

 私人である台湾島民の日本国に対して有する債権に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十四年六月十四日

提出者  竹本孫一

          衆議院議長 (注)尾弘吉 殿




私人である台湾島民の日本国に対して有する債権に関する質問主意書


 日本国政府は、元日本国民で元日本国領土であつた台湾島に居住する台湾島民(以下単に「台湾島民」と称す。)に負担する左に掲げる債務(何れも私人に対するもの)をいかに処理する考えであるか次のとおり質問する。
 (1) 閉鎖機関株式会社台湾銀行の特別当座預金及び定期預金
 (2) 同銀行本店又は支店発行の小切手
 (3) 同銀行が通貨として発行した台湾銀行券
 (4) 閉鎖機関横浜正金銀行の特別当座預金、普通預金、定期預金、内地払預金及び国債貯金開設資金預入金
 (5) 日本国大蔵省発行の支那事変国庫債券及び大東亜戦争国庫債券
 (6) 日本銀行発行の日銀券
 (7) 軍票
 (8) 軍事郵便貯金
 (9) 台湾記号普通郵便貯金

一 冒頭(8)記載の軍事郵便貯金及び(9)記載の台湾記号の郵便貯金の払戻について、政府は昭和五十年二月二十八日に衆議院外務委員会において外務大臣出席の上、右郵便貯金は日本国政府において速やかに支払うべき義務があることを認められているが、これについてこれまでいかなる措置をとつたか、また今後いかなる措置をとるか。
二 台湾記号の郵便貯金の支払いについて、所管庁では原簿が台北にあつて調査ができないことを理由にして支払えないと言うが、(イ)政府がなぜ原簿を取寄せることができないのか。(ロ)今までその取寄せにどのような努力をされたのか。
三 軍事郵便貯金も台湾記号の郵便貯金も共に通帳を所持していることで債権を立証することができるので、通帳と引換えに支払いができないのか。通帳があつても支払えないという根拠を明らかにされたい。
四 閉鎖機関台湾銀行並びに同横浜正金銀行は、日本国政府がそれぞれ新会社を設立したことによつて無財産となつたのだから、日本国政府は台湾銀行及び横浜正金銀行の台湾島民個々人に対する冒頭(1)、(2)及び(4)記載の預金は当然に支払うべきではないか。
五 冒頭(5)記載の日本国大蔵省の発行した支那事変国庫債券及び大東亜戦争国庫債券について、日本国政府は日支事変及び大東亜戦争を遂行する戦費を賄うために、台湾島民にほとんど強制的に国庫債券を割当てて購入せしめたものであることは否定できない事実であるが、政府は台湾島民に対してこれらの債券を償還する用意があるか。
六 政府は、台湾島民が所持する日本銀行券を換算して補償する用意ありや、補償する必要なしとせばその根拠はなにか。
七 台湾島民が終戦前に日本軍占領地において正当に通貨として取得した軍票で、終戦後引揚げる際これを携えて帰島し現在これを所持する者に対しては、もともと有効な軍票として使用せしめていたときに正当に取得したものであり、日本国が敗戦した結果無価値無効となつたのであるから、日本政府はその軍票の所持者(保管証所持者を含む。)に対し冒頭(6)記載の日本銀行券及び(3)記載の台湾銀行券の通貨と同様補償するものと考えその措置をとるや否や。
八 台湾島民は冒頭(1)ないし(9)記載の債券以外に、株式会社第一勧業銀行に対し株式会社勧業銀行の商号で発行した戦時貯蓄債券・報国債券及び勧業割引債券(ほとんど無記名である。)を所持し、償還請求をしているが、日本国政府は何らかの形で責任があるのではないか。
九 台湾島民が日本国政府に請求するすべての債権が終戦前の通貨によつて表示されているものである。終戦後三十数年を経過した今日物価ははなはだしく騰貴し、貨幣価値は著しく下落している。終戦前に表示された貨幣を今日の貨幣に換算するのに何の指数に依拠するか。日本銀行統計局発行の経済統計年表記載の卸売物価指数の総平均数値によるより外に基準なく、これによることが公平なりと考えるが政府の考えいかん。

 右質問する。





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